29 / 35
第九章
第三話
しおりを挟む
死んでしまった人だったなら、子供が生まれているのに番契約を結ばなかったり、責任を取れない理由が解る。
責任を取りたくてもこの世に居ないんだったなら、責任の取り様が無いのだ。
嘉生館への帰りのタクシーに乗り込み、車に揺られながら窓の外を見る。
辺りはとっくの昔に真っ暗になってしまっていて、冬の日は陽が落ちるのが早いと思う。
さっき迄泣いていた大女将は、泣き止んで落ち着いた表情に戻っていた。
「死んだ男に何が出来るんやって、何度も操に話したわ………。それでも操は新しい相手は、作らへんって言い放って。
親のうちでさえ死んだって諦めた男を、操はずっと思ってた………。
荒療治って事は解ってたんや。操をあの家で、アンタに抱かせる事は。悪人扱いはうちが一番慣れとる………」
こんなにしおらしい大女将を、俺は初めて見たと思う。
確かに庭の家での事は、手荒で強引な事ではあった。死んでしまった人だと知ると、納得できる自分が居る。
操さんはずっと「彼の帰りを待っている」と言っていた。
あの人は誠治さんの死を、全く受け入れてなんていない。
「ごめんなさい。俺、ずっと生きてると思ってました………」
俺がそう言いながら項垂れると、大女将は呆れた表情を浮かべる。
「操が隠しとったんやろ………相手がいる事にしておけば、変な虫は付かへん。仕向けた男は皆、それで全滅してなぁ………。
……………でも、アンタとは寝たやろ??それに操から関わっとった。アンタは操にとって特別やと思うわ」
特別。その言葉が俺の中に染み渡る。
俺は操さんに突っぱねられた事は無い。呆れた様に笑われても、突き放された事だけは無かったのだ。
愛するのを赦されていた。心を受け入れて貰えていた。俺の存在は、操さんの中に赦されていたのだ。
「操は誠治から、嘉生館の人間にさせられたせいで、重たいもん背負わされる羽目に陥っとる………。
そのうちのお荷物の一つは、うちや…………。血の繋がらない人間を、親の様に慕う………。
嘉生館と一緒に、誠治の血が繋がったもの全部、守ろうと身を粉にし過ぎや………!!
せやからアンタが、無理矢理にでも操を連れて、逃げてくれたら良いと思った…………!!!」
あの気丈な大女将が、自棄に弱弱しい事を口にしている。
それに大女将が操さんへの想いを口に出すと、重たい位の愛が伝わった。
大女将にとって操さんは、本当の子供と同じように、大事な存在なんだと思う。
この人の愛はとてもとても大きい。そして全うな愛情だった。
「操さんは、大女将をお荷物だなんて思ってません。とても優しくて温かい人で、恩があるって言ってました。
操さんは大女将の事を、心から愛していると思います」
俺がそう言い切ると、大女将は俺を見てまた泣き出しそうな顔をする。
この人は思っていたより弱い人だと、この時に気が付いた。
タクシーは嘉生館ではなく、嘉生荘の前に横付けされた。
嘉生荘の前で俺だけ下ろすと、大女将は何にも言わずにタクシーに乗ったまま去ってゆく。
その表情はまるで操さんを託しているかのようで、胸がきつく締め付けられた。
操さんの部屋を見上げると煌々と灯りが付いている。
俺は吸い寄せられるように、錆びた鉄の階段を登っていた。
操さんの部屋の前に着き、ドアをノックする。恐る恐る開いたドアからは、操さんが顔を出す。
操さんは俺を見るなり、猫のように大きな目を輝かせた。
逢いたくて仕方がなかった俺の思い人が、今俺の目の前にいる。
けれど全てを知ってしまった今は、どんな顔で向かい合えばいいか解らなかった。
「あれ!?虎ちゃんどうしたの!?!?」
そういって明るく振る舞う操さんの背後からは、何時もの騒々しい声が聞こえない。
佐京と侑京の姿が、一切其処には見えないのだ。
「あ………その、偶然通りがかって………」
そう言いながら玄関に入り、靴を脱ぎながら靴箱の上に目をやる。
其処には罵声や卑猥な言葉が、沢山書かれた紙が置いてあった。
凍り付いた俺に対して操さんが無理して笑う。八重歯をみせながら、目を細める何時もの笑顔。
気丈に振る舞う操さんは俺にこう言った。
「あっは♡なんかうちにも奴ら来てさぁ………。すっごいよねぇ………これぇ………
だからぁ、佐京と侑京は今、林さんチ♡初めてのお泊まりー♡」
こんな時に、どうして無理して笑うんだよ。
気が付くと俺は操さんの事を抱き寄せて、ボロボロ涙を流していた。
操さんの方が笑っているというのに、俺が代わりに泣いてしまっている状態だ。
操さんは泣く俺を見て、鈴を転がした様に笑う。
俺に電話を掛けた時、操さんは心底辛かったに違いない。
それが靴箱の上に乗った紙だけで、一瞬にして垣間見ることが出来るのだ。
何も出来ない自分が余りにも無力で、情けなくて辛い。
「虎ちゃんってばぁ!!どうして泣くのぉ??ほら、笑って??ね??」
操さんは俺の顔を玩具みたいに弄りながら、啄ばむだけのキスをする。
ちゃんと今のこの人と、話をしなければいけない。でないとこの人は壊れてしまう。
俺がもう全てを知ってしまっている事を、話さなければいけない。
俺はキスの終わりに、操さんの目を真っ直ぐ見つめた。
「…………誠治さんが亡くなっている事を、さっき知りました」
俺がそう言うと、操さんの顔から笑顔が消える。操さんは目を泳がせて俺の身体から離れた。
「………操さんっ!!!」
俺の腕から逃れようとする操さんの、白魚のような手を掴む。
強引に胸に引き寄せれば、操さんの大きな目から、ボロボロ涙が流れ始めた。
「なんで!?どうして!?!?誰からそんな事を聞きだしたの!?!?」
俺に向かって泣きながら操さんは叫ぶ。俺相手に取り乱す操さんを初めて見た。
暴れる操さんを羽交い絞めるかの様に抱き留めて、一緒に床に転がる。
操さんは崩れ落ち、声にならない泣き声を上げた。
慟哭という言葉を俺は今まで使った事がないが、まさにこの状態の事を言うんだと思う。
泣き崩れた操さんは、無理矢理に笑みを浮かべ、懸命に取り繕おうとする。
俺は観念して操さんに告げた。
「大女将から、さっき聞きました………。彼を探し出せば、この騒動が収まると信じてた………」
俺がそう言うと、操さんは項垂れる。
それから涙を流した儘で、桐箪笥の置いてある部屋へフラフラと歩き始めた。
操さんは文机の上にある、扉の付いた箱に歩み寄る。それを器用に指先で開くと、小さな仏壇が現れた。
大女将によく似た男の写真を取り出した時、その人が誠治さんなんだと理解する。
操さんは泣きはらした顔で、俺に向かってこう言った。
「ごめんね虎ちゃん………。俺ね、この人のお陰で今があるの………。
虎ちゃんと過ごした時間はね、楽しかった………。寂しいって気持ち、見ないで済んだよぉ??
佐京と侑京もあんなに大事にしてくれたの、虎ちゃんだけだったぁ……………」
操さんは取り繕うかの様に、俺に対して懸命に笑う。
まるで別れの直前の様な言葉を並べ、俺に対して辛い時にする笑顔を見せる。
操さんは俺との関係性を終わらせるつもりだと、この時に気付いた。
「…………待って下さい操さん………!!それじゃあ別れの挨拶みたいじゃないですか………!!!」
俺が焦って操さんの身体に手を伸ばすと、その手を叩いて振り払う。
操さんが初めて俺を拒否した。
じわじわと手の甲が痛む。けれど痛いのは何よりも心だ。
操さんからの拒否は、俺の自惚れをぶち壊した。
「だって俺、この人の大切にしていたもの、一人で守らなきゃ………。もう匂いも思い出せない………笑顔も段々思い出せなくなってる………。
このままじゃ俺、嘉生館もあの人の想い出も、全部全部失くしてしまうから…………!!!」
この人の感情はもう、愛じゃなくって執着だ。まるで呪いみたいに染みついている。
俺はこの時の操さんから、命の灯が消える様な不安を感じた。
「嘉生館を背負ってくのは、俺一人だけで良いからぁ………。
誠治さんが何時か、あの世から俺の迎えにくる日迄、ずっと此処で待つ。俺は彼の形見の嘉生館を守る………。
………だからね虎ちゃん、俺は虎ちゃんの気持ちに答えられない。そんな余裕なんかない。
こんなに重たくて大きいもの、他の人には背負わせられない。だから………他の人とは生きれない………。
出て行って………!!此処から…………!!お願いだから…………!!!」
この人は嘉生館と共に、死ぬつもりなんだとこの時に察した。
泣きじゃくる操さんに向かって、俺が伝えられる言葉は一つしかない。
けれど今それを言ったところで、まるで捨て台詞みたいだと思った。
俺は何も言わずに背を向けて、操さんの部屋から出てゆく。錆びた鉄の階段を降りながら、俺は小さく囁いた。
「…………世界で一番、愛してる………」
こんなに大好きなのに、俺はちっぽけでとても弱いから、操さんに何かをしてあげる事さえ出来ない。
俺は自分の無力さに、泣き崩れる事しか出来ないでいた。
責任を取りたくてもこの世に居ないんだったなら、責任の取り様が無いのだ。
嘉生館への帰りのタクシーに乗り込み、車に揺られながら窓の外を見る。
辺りはとっくの昔に真っ暗になってしまっていて、冬の日は陽が落ちるのが早いと思う。
さっき迄泣いていた大女将は、泣き止んで落ち着いた表情に戻っていた。
「死んだ男に何が出来るんやって、何度も操に話したわ………。それでも操は新しい相手は、作らへんって言い放って。
親のうちでさえ死んだって諦めた男を、操はずっと思ってた………。
荒療治って事は解ってたんや。操をあの家で、アンタに抱かせる事は。悪人扱いはうちが一番慣れとる………」
こんなにしおらしい大女将を、俺は初めて見たと思う。
確かに庭の家での事は、手荒で強引な事ではあった。死んでしまった人だと知ると、納得できる自分が居る。
操さんはずっと「彼の帰りを待っている」と言っていた。
あの人は誠治さんの死を、全く受け入れてなんていない。
「ごめんなさい。俺、ずっと生きてると思ってました………」
俺がそう言いながら項垂れると、大女将は呆れた表情を浮かべる。
「操が隠しとったんやろ………相手がいる事にしておけば、変な虫は付かへん。仕向けた男は皆、それで全滅してなぁ………。
……………でも、アンタとは寝たやろ??それに操から関わっとった。アンタは操にとって特別やと思うわ」
特別。その言葉が俺の中に染み渡る。
俺は操さんに突っぱねられた事は無い。呆れた様に笑われても、突き放された事だけは無かったのだ。
愛するのを赦されていた。心を受け入れて貰えていた。俺の存在は、操さんの中に赦されていたのだ。
「操は誠治から、嘉生館の人間にさせられたせいで、重たいもん背負わされる羽目に陥っとる………。
そのうちのお荷物の一つは、うちや…………。血の繋がらない人間を、親の様に慕う………。
嘉生館と一緒に、誠治の血が繋がったもの全部、守ろうと身を粉にし過ぎや………!!
せやからアンタが、無理矢理にでも操を連れて、逃げてくれたら良いと思った…………!!!」
あの気丈な大女将が、自棄に弱弱しい事を口にしている。
それに大女将が操さんへの想いを口に出すと、重たい位の愛が伝わった。
大女将にとって操さんは、本当の子供と同じように、大事な存在なんだと思う。
この人の愛はとてもとても大きい。そして全うな愛情だった。
「操さんは、大女将をお荷物だなんて思ってません。とても優しくて温かい人で、恩があるって言ってました。
操さんは大女将の事を、心から愛していると思います」
俺がそう言い切ると、大女将は俺を見てまた泣き出しそうな顔をする。
この人は思っていたより弱い人だと、この時に気が付いた。
タクシーは嘉生館ではなく、嘉生荘の前に横付けされた。
嘉生荘の前で俺だけ下ろすと、大女将は何にも言わずにタクシーに乗ったまま去ってゆく。
その表情はまるで操さんを託しているかのようで、胸がきつく締め付けられた。
操さんの部屋を見上げると煌々と灯りが付いている。
俺は吸い寄せられるように、錆びた鉄の階段を登っていた。
操さんの部屋の前に着き、ドアをノックする。恐る恐る開いたドアからは、操さんが顔を出す。
操さんは俺を見るなり、猫のように大きな目を輝かせた。
逢いたくて仕方がなかった俺の思い人が、今俺の目の前にいる。
けれど全てを知ってしまった今は、どんな顔で向かい合えばいいか解らなかった。
「あれ!?虎ちゃんどうしたの!?!?」
そういって明るく振る舞う操さんの背後からは、何時もの騒々しい声が聞こえない。
佐京と侑京の姿が、一切其処には見えないのだ。
「あ………その、偶然通りがかって………」
そう言いながら玄関に入り、靴を脱ぎながら靴箱の上に目をやる。
其処には罵声や卑猥な言葉が、沢山書かれた紙が置いてあった。
凍り付いた俺に対して操さんが無理して笑う。八重歯をみせながら、目を細める何時もの笑顔。
気丈に振る舞う操さんは俺にこう言った。
「あっは♡なんかうちにも奴ら来てさぁ………。すっごいよねぇ………これぇ………
だからぁ、佐京と侑京は今、林さんチ♡初めてのお泊まりー♡」
こんな時に、どうして無理して笑うんだよ。
気が付くと俺は操さんの事を抱き寄せて、ボロボロ涙を流していた。
操さんの方が笑っているというのに、俺が代わりに泣いてしまっている状態だ。
操さんは泣く俺を見て、鈴を転がした様に笑う。
俺に電話を掛けた時、操さんは心底辛かったに違いない。
それが靴箱の上に乗った紙だけで、一瞬にして垣間見ることが出来るのだ。
何も出来ない自分が余りにも無力で、情けなくて辛い。
「虎ちゃんってばぁ!!どうして泣くのぉ??ほら、笑って??ね??」
操さんは俺の顔を玩具みたいに弄りながら、啄ばむだけのキスをする。
ちゃんと今のこの人と、話をしなければいけない。でないとこの人は壊れてしまう。
俺がもう全てを知ってしまっている事を、話さなければいけない。
俺はキスの終わりに、操さんの目を真っ直ぐ見つめた。
「…………誠治さんが亡くなっている事を、さっき知りました」
俺がそう言うと、操さんの顔から笑顔が消える。操さんは目を泳がせて俺の身体から離れた。
「………操さんっ!!!」
俺の腕から逃れようとする操さんの、白魚のような手を掴む。
強引に胸に引き寄せれば、操さんの大きな目から、ボロボロ涙が流れ始めた。
「なんで!?どうして!?!?誰からそんな事を聞きだしたの!?!?」
俺に向かって泣きながら操さんは叫ぶ。俺相手に取り乱す操さんを初めて見た。
暴れる操さんを羽交い絞めるかの様に抱き留めて、一緒に床に転がる。
操さんは崩れ落ち、声にならない泣き声を上げた。
慟哭という言葉を俺は今まで使った事がないが、まさにこの状態の事を言うんだと思う。
泣き崩れた操さんは、無理矢理に笑みを浮かべ、懸命に取り繕おうとする。
俺は観念して操さんに告げた。
「大女将から、さっき聞きました………。彼を探し出せば、この騒動が収まると信じてた………」
俺がそう言うと、操さんは項垂れる。
それから涙を流した儘で、桐箪笥の置いてある部屋へフラフラと歩き始めた。
操さんは文机の上にある、扉の付いた箱に歩み寄る。それを器用に指先で開くと、小さな仏壇が現れた。
大女将によく似た男の写真を取り出した時、その人が誠治さんなんだと理解する。
操さんは泣きはらした顔で、俺に向かってこう言った。
「ごめんね虎ちゃん………。俺ね、この人のお陰で今があるの………。
虎ちゃんと過ごした時間はね、楽しかった………。寂しいって気持ち、見ないで済んだよぉ??
佐京と侑京もあんなに大事にしてくれたの、虎ちゃんだけだったぁ……………」
操さんは取り繕うかの様に、俺に対して懸命に笑う。
まるで別れの直前の様な言葉を並べ、俺に対して辛い時にする笑顔を見せる。
操さんは俺との関係性を終わらせるつもりだと、この時に気付いた。
「…………待って下さい操さん………!!それじゃあ別れの挨拶みたいじゃないですか………!!!」
俺が焦って操さんの身体に手を伸ばすと、その手を叩いて振り払う。
操さんが初めて俺を拒否した。
じわじわと手の甲が痛む。けれど痛いのは何よりも心だ。
操さんからの拒否は、俺の自惚れをぶち壊した。
「だって俺、この人の大切にしていたもの、一人で守らなきゃ………。もう匂いも思い出せない………笑顔も段々思い出せなくなってる………。
このままじゃ俺、嘉生館もあの人の想い出も、全部全部失くしてしまうから…………!!!」
この人の感情はもう、愛じゃなくって執着だ。まるで呪いみたいに染みついている。
俺はこの時の操さんから、命の灯が消える様な不安を感じた。
「嘉生館を背負ってくのは、俺一人だけで良いからぁ………。
誠治さんが何時か、あの世から俺の迎えにくる日迄、ずっと此処で待つ。俺は彼の形見の嘉生館を守る………。
………だからね虎ちゃん、俺は虎ちゃんの気持ちに答えられない。そんな余裕なんかない。
こんなに重たくて大きいもの、他の人には背負わせられない。だから………他の人とは生きれない………。
出て行って………!!此処から…………!!お願いだから…………!!!」
この人は嘉生館と共に、死ぬつもりなんだとこの時に察した。
泣きじゃくる操さんに向かって、俺が伝えられる言葉は一つしかない。
けれど今それを言ったところで、まるで捨て台詞みたいだと思った。
俺は何も言わずに背を向けて、操さんの部屋から出てゆく。錆びた鉄の階段を降りながら、俺は小さく囁いた。
「…………世界で一番、愛してる………」
こんなに大好きなのに、俺はちっぽけでとても弱いから、操さんに何かをしてあげる事さえ出来ない。
俺は自分の無力さに、泣き崩れる事しか出来ないでいた。
0
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学で逃げ出して後悔したのに、大人になって再会するなんて!?
灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。
オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。
ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー
獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。
そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。
だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。
話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。
そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。
みたいな、大学篇と、その後の社会人編。
BL大賞に応募しましたので、見て頂けると嬉しいです!
※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました!
※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました!
旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
【完結】end roll.〜あなたの最期に、俺はいましたか〜
みやの
BL
ーー……俺は、本能に殺されたかった。
自分で選び、番になった恋人を事故で亡くしたオメガ・要。
残されたのは、抜け殻みたいな体と、二度と戻らない日々への悔いだけだった。
この世界には、生涯に一度だけ「本当の番」がいる――
そう信じられていても、要はもう「運命」なんて言葉を信じることができない。
亡くした番の記憶と、本能が求める現在のあいだで引き裂かれながら、
それでも生きてしまうΩの物語。
痛くて、残酷なラブストーリー。
【完結】この契約に愛なんてないはずだった
なの
BL
劣勢オメガの翔太は、入院中の母を支えるため、昼夜問わず働き詰めの生活を送っていた。
そんなある日、母親の入院費用が払えず、困っていた翔太を救ったのは、冷静沈着で感情を見せない、大企業副社長・鷹城怜司……優勢アルファだった。
数日後、怜司は翔太に「1年間、仮の番になってほしい」と持ちかける。
身体の関係はなし、報酬あり。感情も、未来もいらない。ただの契約。
生活のために翔太はその条件を受け入れるが、理性的で無表情なはずの怜司が、ふとした瞬間に見せる優しさに、次第に心が揺らいでいく。
これはただの契約のはずだった。
愛なんて、最初からあるわけがなかった。
けれど……二人の距離が近づくたびに、仮であるはずの関係は、静かに熱を帯びていく。
ツンデレなオメガと、理性を装うアルファ。
これは、仮のはずだった番契約から始まる、運命以上の恋の物語。
アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました
あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」
穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン
攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?
攻め:深海霧矢
受け:清水奏
前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。
ハピエンです。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
自己判断で消しますので、悪しからず。
【完結】運命なんかに勝てるわけがない
藍
BL
オメガである笹野二葉《ささのふたば》はアルファの一ノ瀬直隆《いちのせなおたか》と友情を育めていると思っていた。同期の中でも親しく、バース性を気にせず付き合える仲だったはず。ところが目を覚ますと事後。「マジか⋯」いやいやいや。俺たちはそういう仲じゃないだろ?ということで、二葉はあくまでも親友の立場を貫こうとするが⋯アルファの執着を甘くみちゃいけないよ。
逃さないα✕怖がりなΩのほのぼのオメガバース/ラブコメです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる