17 / 35
3
しおりを挟む
「正直にお話しますね。お父様からは金髪碧眼の美少年の王子に気に入られて来い、と言われて来ました。わたしは変わっているから正妃になれとは言わない、側妃狙いで行けと」
「・・・随分あけすけにものを言うお父上だね」
「正直な方なのです。それなのにわたしがお父様譲りと言われると変なお顔をするのです」
「えっと」
「髪色や爪など容姿が似ているだけの事ですが、娘が変り者と噂されているので自分もそう見られていると思い心外に感じられるようです。お父様も充分、変わっているのに自覚がないんです」
「ソウナンダ」
「でも、殿下とこうしてお話してみて楽しかったですわ。他の方も虜になるのが何となくわかります」
「え?」
「それでは失礼します」
執事が呼びに来たタイミングでリリア嬢が席を立つ。
肝心の聞きたい事が何一つ聞けず、彼女は去って行った。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「レオンハルト、疲れたでしょう。今日はゆっくり休みなさい。明日、忘れないうちに報告しに来てくれるかしら?」
「はい、母上。失礼します」
部屋に戻り、ベットに身体を預けると僕付きの執事とメイドが誕生日会用に誂えた堅苦しい服と靴を脱がす。
「暫し休む。夕食の前に起こせ」
誕生日という事でこの後の予定は入っていない。
「疲れた」
照明を落した寝室のベッドに横たわり、ポツリと呟き瞼を閉じる。
あの中で選ぶなら彼女がいいな。
母上は認めてくれるだろうか。
瞼が重く、微睡む頭は思考を放棄しすぐに意識が沈んだ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「ヴェルザード侯爵家の娘ね」
翌日、母上の元に出向き案の定投げかけられた質問に答えると、僅かに落胆の声が響く。
やはり、僕が選んだリリア嬢は、母上のお気に召さなかったようだ。
「レオンは彼女の何を気に入ったの?貴方、可愛らしい子が好きだと思ったのだけど」
「僕の事を自分に置き換えて考えてくれたことです。それに彼女は僕の嫌な部分を見ても嫌いにならない気がしたんです」
「・・・そう。嫌な部分を見ても嫌いにならない、ね。そう言われたら何も言えないわね。執事から貴女がヴェルザード家の娘を気に入ったとの報告も受けているわ。母としては他の令嬢を推薦しますけれども、これからの教育次第で何とかなるでしょう」
こうして、何とか無事にリリア・ヴェルザード嬢が僕の婚約者に決定した。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「条件があります」
後日、改めてリリアに婚約者として会いにいくと婚約者として受け入れる為の条件を提示された。
普通であれば受け入れも何も決定事項であるので拒否は出来ないのだが。
「殿下がこれから学ばれる教育をわたしにも受けさせて頂きたいのです。勿論座学ですが、出来る事ならダンスやマナーもですね」
「何故?」
「お父様がわたしの教育にお金をかけさせるか不明です。お母様の浪費癖を見ているし、お兄様がわたしに自分より多くの教師が付くと知ればお怒りになられるでしょう。わたし、殿下のお飾りとして生きたくないの」
驚いた。
彼女が自分の家の問題を淡々と告げた事に。それに何故こんなに冷静なのかも。
「僕の一存では決めれない。母上に相談してからの回答で良いかい?」
そう告げると、お願いしますと少しだけ顔が緩む。
それからリリア嬢に庭園を案内されながら会話を楽しんだ。
薔薇園は大輪の赤い薔薇ばかりが占め中々の見応えがあったけどリリア嬢いわく、お母様の見栄の詰まった面白味のない庭と酷評していた。
「花は好きではない?」
「いいえ、花を愛でるのは好きです。内緒でここの傷んだ薔薇でサシェを作ってもらっているんです。普段、此処は子供達は来ては行けない場所なのです。今日は殿下がいらっしゃるので許しを得てますけれど。お母様が案内すると言うのを押しとどめるのが大変でした」
淡々と話すリリアは寂しげにも見え、その横顔が印象に残る。
リリアに会うと不思議な気持ちにさせられる。
なんとも言い難い気持ちが僕の胸を占める。
王城に戻り、母上にお目通りを求めるとすんなりと通った。
多分、今日リリアと会う事はご存知なので、婚約撤回してくれと嘆願するかと思ったのだろうか。
「・・・随分あけすけにものを言うお父上だね」
「正直な方なのです。それなのにわたしがお父様譲りと言われると変なお顔をするのです」
「えっと」
「髪色や爪など容姿が似ているだけの事ですが、娘が変り者と噂されているので自分もそう見られていると思い心外に感じられるようです。お父様も充分、変わっているのに自覚がないんです」
「ソウナンダ」
「でも、殿下とこうしてお話してみて楽しかったですわ。他の方も虜になるのが何となくわかります」
「え?」
「それでは失礼します」
執事が呼びに来たタイミングでリリア嬢が席を立つ。
肝心の聞きたい事が何一つ聞けず、彼女は去って行った。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「レオンハルト、疲れたでしょう。今日はゆっくり休みなさい。明日、忘れないうちに報告しに来てくれるかしら?」
「はい、母上。失礼します」
部屋に戻り、ベットに身体を預けると僕付きの執事とメイドが誕生日会用に誂えた堅苦しい服と靴を脱がす。
「暫し休む。夕食の前に起こせ」
誕生日という事でこの後の予定は入っていない。
「疲れた」
照明を落した寝室のベッドに横たわり、ポツリと呟き瞼を閉じる。
あの中で選ぶなら彼女がいいな。
母上は認めてくれるだろうか。
瞼が重く、微睡む頭は思考を放棄しすぐに意識が沈んだ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「ヴェルザード侯爵家の娘ね」
翌日、母上の元に出向き案の定投げかけられた質問に答えると、僅かに落胆の声が響く。
やはり、僕が選んだリリア嬢は、母上のお気に召さなかったようだ。
「レオンは彼女の何を気に入ったの?貴方、可愛らしい子が好きだと思ったのだけど」
「僕の事を自分に置き換えて考えてくれたことです。それに彼女は僕の嫌な部分を見ても嫌いにならない気がしたんです」
「・・・そう。嫌な部分を見ても嫌いにならない、ね。そう言われたら何も言えないわね。執事から貴女がヴェルザード家の娘を気に入ったとの報告も受けているわ。母としては他の令嬢を推薦しますけれども、これからの教育次第で何とかなるでしょう」
こうして、何とか無事にリリア・ヴェルザード嬢が僕の婚約者に決定した。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「条件があります」
後日、改めてリリアに婚約者として会いにいくと婚約者として受け入れる為の条件を提示された。
普通であれば受け入れも何も決定事項であるので拒否は出来ないのだが。
「殿下がこれから学ばれる教育をわたしにも受けさせて頂きたいのです。勿論座学ですが、出来る事ならダンスやマナーもですね」
「何故?」
「お父様がわたしの教育にお金をかけさせるか不明です。お母様の浪費癖を見ているし、お兄様がわたしに自分より多くの教師が付くと知ればお怒りになられるでしょう。わたし、殿下のお飾りとして生きたくないの」
驚いた。
彼女が自分の家の問題を淡々と告げた事に。それに何故こんなに冷静なのかも。
「僕の一存では決めれない。母上に相談してからの回答で良いかい?」
そう告げると、お願いしますと少しだけ顔が緩む。
それからリリア嬢に庭園を案内されながら会話を楽しんだ。
薔薇園は大輪の赤い薔薇ばかりが占め中々の見応えがあったけどリリア嬢いわく、お母様の見栄の詰まった面白味のない庭と酷評していた。
「花は好きではない?」
「いいえ、花を愛でるのは好きです。内緒でここの傷んだ薔薇でサシェを作ってもらっているんです。普段、此処は子供達は来ては行けない場所なのです。今日は殿下がいらっしゃるので許しを得てますけれど。お母様が案内すると言うのを押しとどめるのが大変でした」
淡々と話すリリアは寂しげにも見え、その横顔が印象に残る。
リリアに会うと不思議な気持ちにさせられる。
なんとも言い難い気持ちが僕の胸を占める。
王城に戻り、母上にお目通りを求めるとすんなりと通った。
多分、今日リリアと会う事はご存知なので、婚約撤回してくれと嘆願するかと思ったのだろうか。
0
あなたにおすすめの小説
『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています
六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。
しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。
「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!
勝手にしなさいよ
棗
恋愛
どうせ将来、婚約破棄されると分かりきってる相手と婚約するなんて真っ平ごめんです!でも、相手は王族なので公爵家から破棄は出来ないのです。なら、徹底的に避けるのみ。と思っていた悪役令嬢予定のヴァイオレットだが……
婚約破棄してくださって結構です
二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。
※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています
悪役令嬢だとわかったので身を引こうとしたところ、何故か溺愛されました。
香取鞠里
恋愛
公爵令嬢のマリエッタは、皇太子妃候補として育てられてきた。
皇太子殿下との仲はまずまずだったが、ある日、伝説の女神として現れたサクラに皇太子妃の座を奪われてしまう。
さらには、サクラの陰謀により、マリエッタは反逆罪により国外追放されて、のたれ死んでしまう。
しかし、死んだと思っていたのに、気づけばサクラが現れる二年前の16歳のある日の朝に戻っていた。
それは避けなければと別の行き方を探るが、なぜか殿下に一度目の人生の時以上に溺愛されてしまい……!?
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
10日後に婚約破棄される公爵令嬢
雨野六月(旧アカウント)
恋愛
公爵令嬢ミシェル・ローレンは、婚約者である第三王子が「卒業パーティでミシェルとの婚約を破棄するつもりだ」と話しているのを聞いてしまう。
「そんな目に遭わされてたまるもんですか。なんとかパーティまでに手を打って、婚約破棄を阻止してみせるわ!」「まあ頑張れよ。それはそれとして、課題はちゃんとやってきたんだろうな? ミシェル・ローレン」「先生ったら、今それどころじゃないって分からないの? どうしても提出してほしいなら先生も協力してちょうだい」
これは公爵令嬢ミシェル・ローレンが婚約破棄を阻止するために(なぜか学院教師エドガーを巻き込みながら)奮闘した10日間の備忘録である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる