侯爵令嬢は悪役だったようです

Alice

文字の大きさ
19 / 35

しおりを挟む
  語学の授業は発音は聞いて覚えるしかないが、リリが単語帳なる物を提案しそれに読み上げながら写す事をしているうちに読み書きが出来るようになってきた。
 隣国は共通語なのだが、大陸の一部の大きな国は独自の言語の為必須教科となっている。






 座学とダンスはリリと共に学んだが、それ以外のマナーや剣術などは別れて学ぶ。


 まさか、リリのマナーの授業に教師と共に母上も参加しているとは思わなかった。
 教師と母上の二人から指導されるリリはこの授業の後は流石に疲れていて、お菓子を勧めてもどこで監視されてるか分からないと、中々口に付けなかった。
 後に母上から、リリが綺麗なカーテシーを身につける為に授業中に自ら縄で縛らせ体で覚えさせたと聞いた時はいくら大好きでも引いた。





 母上からは、リリアは根性も担も据わっている。貴方の人を見る目は間違ってませんでした。
 あの時、反対しようとした事を反省していると仰って頂き、自分が褒められているようでとても嬉しかった。





 マナーの授業後、ふらふらになりながらリリが戻ってきた時に、リリに仕えさせている侍女が貴族年鑑を抱えて運んできた。

 母上から頂いた貴族年鑑を預かって欲しいとリリにお願いされたので、僕の部屋へと運ばせる。


「リリ、どうしてこれを?」

「ええと、ミランダ王妃様に以前、貴族年鑑を見せていただいたのですが、あまりの酷さに逆修正しようと思って、本を頂いてきましたの」

「あまりの酷さ?逆修正?」

「レオは貴族年鑑をご覧になられた事はあって?」

「一応、目は通した事はある」
 
「その時拝見したら、爵位や血縁関係の他に肖像画も載せられた優れた一冊でした。でもレオの知るお方で、肖像画とお顔が一致する方はいらっしゃいます?」

「うん?」

「試しにヴェルザード家を見てみたら、正確なのは髪と瞳の色だけですわ。鼻が細く高く、目の位置や顎の形まで変えられていましたの。お兄様なんて顔の肉まで削がれていますもの。わたくしは幼すぎて描かれなかったようで安心致しました。レオはまだ他の貴族の方と顔を合わせる事がありますが、わたくしデビューもしてませんもの。それでも他の貴族の顔を覚えていませんという理由は通じないでしょう。それでレオにお願いがありますの。こんな風に」



 リリがヴェルザード家の肖像画にサラサラとペンで何かを付け足す。
 ヴェルザード夫人の眉が釣り上がり黒子が書き加えられ、リリの兄上には頬と顎に肉が足されている。

「レオにも真実を書きたして欲しいのです」
 



「くっ」
 吹きそうになるのを堪えるのに苦労する。片腹を抑えて耐えた

 リリは本気だから始末に悪い。

 

「念の為の確認だけど母上は」

「勿論、ご承知です。好きに使いなさいと最新版をご用意して下さいました」


「分かった。リリのお願いを叶えないわけにいかない。では、こちらのお願いも聞いてくれる?」

 
「わたくしに出来る事であれば」


「リリからのハグとキスでいい」



「それは、他のお願いでは駄目?」


 リリは、こういう触れ合いに未だに慣れなくて、直ぐに顔を赤らめる。
 キスをされると思うと瞳をぎゅっと閉じるのが可愛い。
 不慣れでいつまで経っても初々しいリリが愛おしい。



「駄目。ほら、リリおいで」

「うう、」

 恐る恐る近づき、両手を広げるとゆっくり手を回す。
 視線をリリと合わせ、ぐっと顔を寄せるとじわじわと赤く染まっていく。
 
「リリ、早くしないともっと恥ずかしくなるよ」

 ぎゅっと目を瞑り頬に口を寄せてきたので、顔をずらして唇に触れるようにする。

 

 思っていた感触と違い驚いたリリが離れようと動く気配を察し強く抱きしめ唇を押し付けキスを続けた。




  後で真っ赤になったリリから叱られるだろうけど、彼女の照れ隠しと知っている。
 何時も君に振り回されるのだから、偶にはこちらが振り回しても良いと思わないか?

 




 

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勝手にしなさいよ

恋愛
どうせ将来、婚約破棄されると分かりきってる相手と婚約するなんて真っ平ごめんです!でも、相手は王族なので公爵家から破棄は出来ないのです。なら、徹底的に避けるのみ。と思っていた悪役令嬢予定のヴァイオレットだが……

【完結】悪役令嬢は断罪後、物語の外で微笑む

あめとおと
恋愛
断罪され、国外追放となった悪役令嬢エレノア。 けれど彼女は、泣かなかった。 すべてを失ったはずのその瞬間、彼女を迎えに来たのは、 隣国最大商会の会頭であり、“共犯者”の青年だった。 これは、物語の舞台を降りた悪役令嬢が、 自由と恋、そして本当の幸せを手に入れるまでの、 ざまぁと甘さを少しだけ含んだショートショート。

婚約破棄してくださって結構です

二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。 ※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています

私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。 「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

悪役令嬢だとわかったので身を引こうとしたところ、何故か溺愛されました。

香取鞠里
恋愛
公爵令嬢のマリエッタは、皇太子妃候補として育てられてきた。 皇太子殿下との仲はまずまずだったが、ある日、伝説の女神として現れたサクラに皇太子妃の座を奪われてしまう。 さらには、サクラの陰謀により、マリエッタは反逆罪により国外追放されて、のたれ死んでしまう。 しかし、死んだと思っていたのに、気づけばサクラが現れる二年前の16歳のある日の朝に戻っていた。 それは避けなければと別の行き方を探るが、なぜか殿下に一度目の人生の時以上に溺愛されてしまい……!?

婚約破棄すると言われたので、これ幸いとダッシュで逃げました。殿下、すみませんが追いかけてこないでください。

桜乃
恋愛
ハイネシック王国王太子、セルビオ・エドイン・ハイネシックが舞踏会で高らかに言い放つ。 「ミュリア・メリッジ、お前とは婚約を破棄する!」 「はい、喜んで!」  ……えっ? 喜んじゃうの? ※約8000文字程度の短編です。6/17に完結いたします。 ※1ページの文字数は少な目です。 ☆番外編「出会って10秒でひっぱたかれた王太子のお話」  セルビオとミュリアの出会いの物語。 ※10/1から連載し、10/7に完結します。 ※1日おきの更新です。 ※1ページの文字数は少な目です。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年12月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、番外編を追加投稿する際に、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?

ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」 バシッ!! わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。 目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの? 最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故? ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない…… 前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた…… 前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。 転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

処理中です...