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「そんな事言ってぇ、本当はローズがレオンハルト様と仲良くされるのが気にいらないんですよねぇ~?この学園では平等なんだから、ローズがレオンハルト様と仲良くなったっていいと思いますぅ。そうやってリリア様がレオンハルト様に近づく人を意地悪して追い出してたんですかぁ?」
丁度、頼んだ紅茶が運ばれてきた時にわざとわたくしか意地悪していると言って、チラリとメイドの反応を見てますわね。
それにしても、意外と好戦的な性格ですこと。
貴族の常識を知らない事を武器にしているようですわね。
「平等だからといって婚約者のいる男性と親しくする理由にはならないですわよ。ローズさんも将来を見据えて婚約者を探さなくてはならないでしょう。時間は有限ですので無駄な時間をお使いになるより、教養を学んだりと自分の為に使った方がよろしいですわ」
「お言葉ですがローズの人生はローズのものですぅ。リリア様に口を出されたくないです。ローズが邪魔だから意地悪ばかり言うんですよねぇ。ローズ怖い」
握った両手の拳を口の前に寄せ、上目遣いで目を潤まされていますけど、それが通用するとでも?
「このままではローズさんの為にもなりませんの。ローズさんは慣習や教養、常識が不足しています。高位貴族の方には敬意を払う必要があります。学園内で許されても外に出れば不敬となります。学生だからこそ今学ばなければ」
「酷いっ、リリア様はローズが馬鹿だから勉学だけしてろって言いたいんですよね。レオンハルト様に近づくのが嫌だからって悪口ばっかり」
ローズさんって自分の都合の良い様に解釈される方のようね。 会話が噛み合わないわ。
わざとわたくしを悪者に仕立てたいように見受けられます。
「わたくし、ローズさんを心配しての発言でしたのにそのように受け取られると悲しいわ」
「そう思ってたらローズの邪魔しないと思いますぅ」
「邪魔?ならば致しません」
にこりと微笑む。邪魔どころか協力してあげましょう。
「え?」
「何回も言わないと理解出来ませんの?邪魔致しませんのでお好きにどうぞ。お話したい事はお伝え出来ましたのでお帰りくださいませ」
お互い一方的な会話となりましたが、ローズさんの為人は確認出来たのでよいでしょう。
話してみてわかりましたが、この方はレオンハルト様に危害を加えるつもりはないでしょう。感情が漏れすぎです。
ローズさんは、ムッとした表情を浮かべ、何かを思い付いたのかまたニヤリと悪い笑みを浮かべます。
「失礼しまぁす」
立ちあがろうとして、何故か自分の分の紅茶のカップに手をかけ引っ掛けるように持ち上げ、自分の制服に紅茶を零しました。
「きゃあ!! 酷ぉ~いリリア様ぁ」
え?
「リリア様がローズを邪魔だと言って紅茶を掛けるなんて酷すぎますぅ」
今、自分で紅茶を掛けられましたよね?
わたくしの紅茶は殆ど減っておりませんけれど。
ミルクティーとストレートティーですので色も違います。
給仕したメイドに聞けば、直ぐに判明しますけれどそれ続けます?
「そんなにぃローズの事、嫌いですかぁ」
泣き真似をしながら、チラリチラリと周囲を見渡すローズさんですが「ヒッ」っと小さな悲鳴をあげましたわ。
「・・・」
談笑でざわめいていたはずなのに今や無音。カフェテリアにいる学生や、給仕のメイドが無言でこちらを凝視しています。誰一人、同情の目を向ける方がいないのはローズさんの人望の為せる業でしょうか。
流石にわたくしも内心、怖いって思っておりますが顔には出しませんわよ。
「えっ、え?え?」
「・・・」
「・・・」
「え、いや、何か・・・怖っ」
「・・・」
こちらを見ないで下さいまし。先程まであからさまに挑発されていましたのに、助ける理由がないですわ。
「アーア、申シ訳ゴザイマセン。紅茶ヲ零シヤスイ位置二置イテシマイマシター」
給仕をしたメイドが現れ、一つも心のこもっていない謝罪の言葉を述べ、会釈程度の角度で頭を下げる。
「制服の染みを落させていただきます。服を脱いで下さい」
「ちょっと。ここで脱がそうとしないでよ。頭おかしいんじゃないの」
「では、こちらに。お見苦しいモノをいつまでも晒すわけにはまいりません」
ローズさんの右腕を掴んで組むと、別のメイドが現れて左腕を組む。
「何すんの!」
「染み抜きです」
「汚いモノを綺麗にします」
メイド二人に引き摺られるようにしてローズさんはカフェテリアから姿を消しました。
その間、カフェテリアにいる全員の視線がローズさんを追ってます。
「ひぃぃぃぃぃ」
ローズさんは小さな悲鳴を上げ続けてましたわ。
ローズさんが退場した途端、無音静止画の世界が動き出します。
今の出来事が無かったかのように。
・・・これはやりすぎではないでしょうか。
丁度、頼んだ紅茶が運ばれてきた時にわざとわたくしか意地悪していると言って、チラリとメイドの反応を見てますわね。
それにしても、意外と好戦的な性格ですこと。
貴族の常識を知らない事を武器にしているようですわね。
「平等だからといって婚約者のいる男性と親しくする理由にはならないですわよ。ローズさんも将来を見据えて婚約者を探さなくてはならないでしょう。時間は有限ですので無駄な時間をお使いになるより、教養を学んだりと自分の為に使った方がよろしいですわ」
「お言葉ですがローズの人生はローズのものですぅ。リリア様に口を出されたくないです。ローズが邪魔だから意地悪ばかり言うんですよねぇ。ローズ怖い」
握った両手の拳を口の前に寄せ、上目遣いで目を潤まされていますけど、それが通用するとでも?
「このままではローズさんの為にもなりませんの。ローズさんは慣習や教養、常識が不足しています。高位貴族の方には敬意を払う必要があります。学園内で許されても外に出れば不敬となります。学生だからこそ今学ばなければ」
「酷いっ、リリア様はローズが馬鹿だから勉学だけしてろって言いたいんですよね。レオンハルト様に近づくのが嫌だからって悪口ばっかり」
ローズさんって自分の都合の良い様に解釈される方のようね。 会話が噛み合わないわ。
わざとわたくしを悪者に仕立てたいように見受けられます。
「わたくし、ローズさんを心配しての発言でしたのにそのように受け取られると悲しいわ」
「そう思ってたらローズの邪魔しないと思いますぅ」
「邪魔?ならば致しません」
にこりと微笑む。邪魔どころか協力してあげましょう。
「え?」
「何回も言わないと理解出来ませんの?邪魔致しませんのでお好きにどうぞ。お話したい事はお伝え出来ましたのでお帰りくださいませ」
お互い一方的な会話となりましたが、ローズさんの為人は確認出来たのでよいでしょう。
話してみてわかりましたが、この方はレオンハルト様に危害を加えるつもりはないでしょう。感情が漏れすぎです。
ローズさんは、ムッとした表情を浮かべ、何かを思い付いたのかまたニヤリと悪い笑みを浮かべます。
「失礼しまぁす」
立ちあがろうとして、何故か自分の分の紅茶のカップに手をかけ引っ掛けるように持ち上げ、自分の制服に紅茶を零しました。
「きゃあ!! 酷ぉ~いリリア様ぁ」
え?
「リリア様がローズを邪魔だと言って紅茶を掛けるなんて酷すぎますぅ」
今、自分で紅茶を掛けられましたよね?
わたくしの紅茶は殆ど減っておりませんけれど。
ミルクティーとストレートティーですので色も違います。
給仕したメイドに聞けば、直ぐに判明しますけれどそれ続けます?
「そんなにぃローズの事、嫌いですかぁ」
泣き真似をしながら、チラリチラリと周囲を見渡すローズさんですが「ヒッ」っと小さな悲鳴をあげましたわ。
「・・・」
談笑でざわめいていたはずなのに今や無音。カフェテリアにいる学生や、給仕のメイドが無言でこちらを凝視しています。誰一人、同情の目を向ける方がいないのはローズさんの人望の為せる業でしょうか。
流石にわたくしも内心、怖いって思っておりますが顔には出しませんわよ。
「えっ、え?え?」
「・・・」
「・・・」
「え、いや、何か・・・怖っ」
「・・・」
こちらを見ないで下さいまし。先程まであからさまに挑発されていましたのに、助ける理由がないですわ。
「アーア、申シ訳ゴザイマセン。紅茶ヲ零シヤスイ位置二置イテシマイマシター」
給仕をしたメイドが現れ、一つも心のこもっていない謝罪の言葉を述べ、会釈程度の角度で頭を下げる。
「制服の染みを落させていただきます。服を脱いで下さい」
「ちょっと。ここで脱がそうとしないでよ。頭おかしいんじゃないの」
「では、こちらに。お見苦しいモノをいつまでも晒すわけにはまいりません」
ローズさんの右腕を掴んで組むと、別のメイドが現れて左腕を組む。
「何すんの!」
「染み抜きです」
「汚いモノを綺麗にします」
メイド二人に引き摺られるようにしてローズさんはカフェテリアから姿を消しました。
その間、カフェテリアにいる全員の視線がローズさんを追ってます。
「ひぃぃぃぃぃ」
ローズさんは小さな悲鳴を上げ続けてましたわ。
ローズさんが退場した途端、無音静止画の世界が動き出します。
今の出来事が無かったかのように。
・・・これはやりすぎではないでしょうか。
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