侯爵令嬢は悪役だったようです

Alice

文字の大きさ
31 / 35

しおりを挟む
「そんな事言ってぇ、本当はローズがレオンハルト様と仲良くされるのが気にいらないんですよねぇ~?この学園では平等なんだから、ローズがレオンハルト様と仲良くなったっていいと思いますぅ。そうやってリリア様がレオンハルト様に近づく人を意地悪して追い出してたんですかぁ?」


 丁度、頼んだ紅茶が運ばれてきた時にわざとわたくしか意地悪していると言って、チラリとメイドの反応を見てますわね。
 それにしても、意外と好戦的な性格ですこと。
 貴族の常識を知らない事を武器にしているようですわね。



「平等だからといって婚約者のいる男性と親しくする理由にはならないですわよ。ローズさんも将来を見据えて婚約者を探さなくてはならないでしょう。時間は有限ですので無駄な時間をお使いになるより、教養を学んだりと自分の為に使った方がよろしいですわ」


「お言葉ですがローズの人生はローズのものですぅ。リリア様に口を出されたくないです。ローズが邪魔だから意地悪ばかり言うんですよねぇ。ローズ怖い」


 握った両手の拳を口の前に寄せ、上目遣いで目を潤まされていますけど、それが通用するとでも?



「このままではローズさんの為にもなりませんの。ローズさんは慣習や教養、常識が不足しています。高位貴族の方には敬意を払う必要があります。学園内で許されても外に出れば不敬となります。学生だからこそ今学ばなければ」


「酷いっ、リリア様はローズが馬鹿だから勉学だけしてろって言いたいんですよね。レオンハルト様に近づくのが嫌だからって悪口ばっかり」
 

 ローズさんって自分の都合の良い様に解釈される方のようね。 会話が噛み合わないわ。
 わざとわたくしを悪者に仕立てたいように見受けられます。
 


 「わたくし、ローズさんを心配しての発言でしたのにそのように受け取られると悲しいわ」


「そう思ってたらローズの邪魔しないと思いますぅ」



「邪魔?ならば致しません」
 
 にこりと微笑む。邪魔どころか協力してあげましょう。
 


「え?」

「何回も言わないと理解出来ませんの?邪魔致しませんのでお好きにどうぞ。お話したい事はお伝え出来ましたのでお帰りくださいませ」


 お互い一方的な会話となりましたが、ローズさんの為人ひととなりは確認出来たのでよいでしょう。
 話してみてわかりましたが、この方はレオンハルト様に危害を加えるつもりはないでしょう。感情が漏れすぎです。
 




 ローズさんは、ムッとした表情を浮かべ、何かを思い付いたのかまたニヤリと悪い笑みを浮かべます。


「失礼しまぁす」

 立ちあがろうとして、何故か自分の分の紅茶のカップに手をかけ引っ掛けるように持ち上げ、自分の制服に紅茶を零しました。




「きゃあ!! 酷ぉ~いリリア様ぁ」
 
 え?

「リリア様がローズを邪魔だと言って紅茶を掛けるなんて酷すぎますぅ」




 今、自分で紅茶を掛けられましたよね?
 わたくしの紅茶は殆ど減っておりませんけれど。
 ミルクティーとストレートティーですので色も違います。
 給仕したメイドに聞けば、直ぐに判明しますけれどそれ続けます?



「そんなにぃローズの事、嫌いですかぁ」

  泣き真似をしながら、チラリチラリと周囲を見渡すローズさんですが「ヒッ」っと小さな悲鳴をあげましたわ。



「・・・」
 談笑でざわめいていたはずなのに今や無音。カフェテリアにいる学生や、給仕のメイドが無言でこちらを凝視しています。誰一人、同情の目を向ける方がいないのはローズさんの人望の為せる業でしょうか。


 流石にわたくしも内心、怖いって思っておりますが顔には出しませんわよ。




「えっ、え?え?」
「・・・」
「・・・」
「え、いや、何か・・・怖っ」
「・・・」

 こちらを見ないで下さいまし。先程まであからさまに挑発されていましたのに、助ける理由がないですわ。



 
「アーア、申シ訳ゴザイマセン。紅茶ヲ零シヤスイ位置二置イテシマイマシター」

 給仕をしたメイドが現れ、一つも心のこもっていない謝罪の言葉を述べ、会釈程度の角度で頭を下げる。



「制服の染みを落させていただきます。服を脱いで下さい」

「ちょっと。ここで脱がそうとしないでよ。頭おかしいんじゃないの」


「では、こちらに。お見苦しいモノをいつまでも晒すわけにはまいりません」

 ローズさんの右腕を掴んで組むと、別のメイドが現れて左腕を組む。


「何すんの!」

「染み抜きです」
「汚いモノを綺麗にします」

 メイド二人に引き摺られるようにしてローズさんはカフェテリアから姿を消しました。
 その間、カフェテリアにいる全員の視線がローズさんを追ってます。



「ひぃぃぃぃぃ」
 ローズさんは小さな悲鳴を上げ続けてましたわ。
 



 ローズさんが退場した途端、無音静止画の世界が動き出します。
 今の出来事が無かったかのように。






 ・・・これはやりすぎではないでしょうか。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勝手にしなさいよ

恋愛
どうせ将来、婚約破棄されると分かりきってる相手と婚約するなんて真っ平ごめんです!でも、相手は王族なので公爵家から破棄は出来ないのです。なら、徹底的に避けるのみ。と思っていた悪役令嬢予定のヴァイオレットだが……

【完結】悪役令嬢は断罪後、物語の外で微笑む

あめとおと
恋愛
断罪され、国外追放となった悪役令嬢エレノア。 けれど彼女は、泣かなかった。 すべてを失ったはずのその瞬間、彼女を迎えに来たのは、 隣国最大商会の会頭であり、“共犯者”の青年だった。 これは、物語の舞台を降りた悪役令嬢が、 自由と恋、そして本当の幸せを手に入れるまでの、 ざまぁと甘さを少しだけ含んだショートショート。

婚約破棄してくださって結構です

二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。 ※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています

私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。 「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

悪役令嬢だとわかったので身を引こうとしたところ、何故か溺愛されました。

香取鞠里
恋愛
公爵令嬢のマリエッタは、皇太子妃候補として育てられてきた。 皇太子殿下との仲はまずまずだったが、ある日、伝説の女神として現れたサクラに皇太子妃の座を奪われてしまう。 さらには、サクラの陰謀により、マリエッタは反逆罪により国外追放されて、のたれ死んでしまう。 しかし、死んだと思っていたのに、気づけばサクラが現れる二年前の16歳のある日の朝に戻っていた。 それは避けなければと別の行き方を探るが、なぜか殿下に一度目の人生の時以上に溺愛されてしまい……!?

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

婚約破棄すると言われたので、これ幸いとダッシュで逃げました。殿下、すみませんが追いかけてこないでください。

桜乃
恋愛
ハイネシック王国王太子、セルビオ・エドイン・ハイネシックが舞踏会で高らかに言い放つ。 「ミュリア・メリッジ、お前とは婚約を破棄する!」 「はい、喜んで!」  ……えっ? 喜んじゃうの? ※約8000文字程度の短編です。6/17に完結いたします。 ※1ページの文字数は少な目です。 ☆番外編「出会って10秒でひっぱたかれた王太子のお話」  セルビオとミュリアの出会いの物語。 ※10/1から連載し、10/7に完結します。 ※1日おきの更新です。 ※1ページの文字数は少な目です。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年12月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、番外編を追加投稿する際に、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?

ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」 バシッ!! わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。 目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの? 最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故? ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない…… 前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた…… 前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。 転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?

処理中です...