デッドエンド・ウェディング

うてな

文字の大きさ
42 / 53

42 ダイヤモンド:永遠の絆

しおりを挟む
ヒナツは焦って包丁を振り下ろしたが、リョウキがエリコを庇った。振り下ろされた包丁は、エリコを庇ったリョウキの腕に刺さる。リョウキは痛みで表情を歪め、ヒナツはリョウキを睨みつけて言った。

「リョウキあんた…私を裏切る気?」

しかしリョウキは言う。

「俺の意思に姉貴は関係ねぇだろ。」

そう言ったリョウキも、ヒナツを強く睨みつけていた。ヒナツは怒りに支配されており、歯止めが効かない状態になっている。リョウキから包丁を抜くと、二度目は心臓を目掛けて刺そうとした。しかし海が追いつき、ヒナツを押さえ込む。

「いい加減にしろォ!!ヒナツゥ!!」

海はそう言って包丁を奪うと、包丁を遠くへ投げた。リョウキは安堵の息をつくと、エリコの拘束を解く。エリコは涙を溜めながらもリョウキに言った。

「おじさん…ごめ…」

と言った所で、リョウキは言う。

「変な所で謝んな。」

それが冷たく感じたのか、エリコは俯いてしまう。ヒナツは上手くいかなかったせいか、顔を真っ赤にしながらも発狂した。

「離せっ…!離せって言ってんでしょうがァー!!」

そこへ騒ぎを聞きつけた綺瑠が入ってくる。綺瑠は血を腕から流しているリョウキに駆け寄った。

「リョウキくん!その腕…!」

リョウキは綺瑠に気づくと、立ち上がってエリコから離れる。そしてすれ違い様に言った。

「ケーサツ呼んでくる。エリコを頼んだ。」

「え…いや待って、応急処置が先!」

綺瑠はリョウキの腕を引っ張ると、痛むのか表情を歪めた。

「いってぇ!!」

リョウキが言うと、綺瑠は強く腕を掴んだまま言う。

「ほらやっぱり、傷が深いんだ。応急処置するから、ここに座って!」

「いやまず、その手離せよ!」

「いいから!」

根気負けし、リョウキは大人しく処置を受ける事に。綺瑠はヒナツの荒れ様に感心した様子だったが、次にエリコを見ると優しく笑んだ。

「エリコ、よく頑張ったね。」

そう言われると、エリコは俯きながらも小さく頷いた。続いて海と押さえ込まれているヒナツを、悲しそうに見つめる。ヒナツは罵詈雑言を海に言い放ち、海は悔しそうな顔を浮かべてから力なく溜息を吐いた。…もう彼女とは、話し合いができないと感じたのだろう。





一時間後。辺りはすっかり暗くなり、空の星が綺麗に光った。
ヒナツはパトカーに乗せられ、去っていく。リョウキも病院に運ばれているようで、綺瑠とエリコと海が残っていた。エリコは海の腕の中で既に眠っており、海は安堵した様子でエリコを眺める。綺瑠は笑みを浮かべると、海に言った。

「良かったね、エリコに傷一つなくて。」

「そうね。身体はないけれど…」

そう言って海は虚しい表情を見せた。そしてエリコを抱きしめる。

「心の傷は深いでしょうね…。」

「確かにそうだ。」

綺瑠は目を丸くしてそう言うと、海は綺瑠に笑んだ。

「全てを払拭する事はできないでしょうけど…エリコの為に限りを尽くすわ、私。」

「僕にできる事があれば、なんでも相談してよ。」

「あら、頼もしい。」

海が笑うと、綺瑠も一緒になって笑った。それから海は綺瑠に聞く。

「そう言えば、美夜ちゃんと結婚を取り止めたんだって?いきなりどうしてよ。」

「ああ。僕の家族や恋人の扱いが全く同じらしくて…そう言われて美夜が本当に好きか自信無くしちゃったんだ。」

綺瑠が眉を困らせて言うと、海は思わず笑う。それを見ると、綺瑠は眉を潜めた。

「ちょっと、笑い事じゃないんだけど。」

「だって、面白いんだもの…!」

「真面目に悩んでいるのに…。」

綺瑠が溜息をつくと、海は笑うのをやめて言った。

「じゃあ私の言う事、一つ実行してみてよ。」

「え?何を?」

「それは…」

と海は綺瑠に耳打ちで何やら案を出した。それを聞くと、綺瑠は眉を潜めて言う。

「えぇー?嫌だ。」





それから数日後。ここは広也達の通う中学。広也は自分のクラスにて、数成に謎の贈呈品を渡していた。ショルダーバッグに筆記用具(中身有り)に新しいワークにハンカチにティッシュに絆創膏…。全て新品の物で、所々にブランドがチラつく。数成は表情を歪めてしまうと言った。

「なんだこれ。」

「海で全部落としちまったからよ 謝罪の気持ちに」

「いや、広也が申し訳なく思う理由が全く検討つかないが。」

すると進也は笑顔で言う。

「いいから受け取るっすよぉ数成!こう見えて兄貴が丸一日かけて選んだ物なんすから!」

話を聞くと驚く数成。しかし広也は怒りの表情で言った。

「言うなッテナ!」

謎の語尾も健在である。事情を聞いた数成は貰わないのも相手に悪いと考え、息を軽くつくと贈呈品を手に取る。それから笑みを浮かべると言った。

「ありがとう、壊さないよう大切に使うよ。」

そう言われると照れた様子を見せる広也。進也もニッコリ笑顔になると、広也は数成から視線を逸らして言った。

「オレ達の知り合いの事で迷惑かけちまって 悪かった」

反省した様子の広也を見ると、数成は笑顔を見せる。

「迷惑だなんてとんでもない。僕達の仲だろ?」

そう言われると、広也は嬉しいのかうるっとした瞳を見せまいと顔を逸らした。進也も感動している様子で、数成は目を丸くする。

「そんな感動する事か?」

「いやだって…」

進也がそう呟くと、広也は鼻を啜った。

(かつて家族の様に一緒に過ごしたお前に言われちゃ… そう感じざるを得ないだろ…)

数成は広也がプライドが高い事を知っているので、これ以上つついても逆効果だと思い触れないようにした。すると数成は進也の人差し指と中指に絆創膏がついているのに気づく。

「進也、指どうしたんだ?」

「あ、これは色々あったんすよ。」

「色々?」

数成が首を傾げると、進也は続けた。

「実は数日前から、姉の美夜と別居したんす。」

それを聞くなり数成は目を丸くする。

「別居!?結婚したとか、一人暮らしとかじゃなくて!?」

「別居っす。だから代わりに料理しようとしたんすけど、この有様っす。」

数成はそれを聞くなり冷や汗を浮かべつつ上の空。

(一体何が起こったんだ…。)





一方、美夜は高層マンションにある綺瑠の家にいた。美夜は苦笑しつつ溜息。

(軟禁されたこの場所で、暫く一人暮らしする事になるとは…。)

そして美夜は眉を困らせる。

(海さんの提案で、暫く私の居ない生活を綺瑠さんに過ごしてもらって…綺瑠さんに変化があるか見るんだったわね。今どうしてるだろう…?私は逢いたくて仕方ないけど…。)

そう思うと、急に美夜は寂しそうな表情を浮かべた。

(綺瑠さんがさっぱりしてたら…悲しいな。)





場面は変わり、綺瑠の方では。綺瑠は仕事から帰ってきた所。

「ただいまー。」

「おかえり。」

と出てきたのは璃沙。綺瑠はそれを見て目を丸くした。変に思った璃沙は、眉を潜める。

「なんだよ、その顔。」

「いつもは美夜もいるから、すっごく変な感じ。」

「あっそ。」

璃沙は素っ気なくそう答えると、リビングの方へ向かった。綺瑠も同じくリビングの方へ向かうと、璃沙は料理の途中だった。璃沙は綺瑠の晴れない様子を見ると言う。

「そう言えば、本郷やヒカリやクルミが捕まったろ。結婚もかなり安全になってきたんじゃないか?」

そう言われると、綺瑠は深い溜息。

「マヒルちゃんやコトネちゃんが残ってるじゃない。それに、結婚するって決まった訳でもない。」

「本郷がいなくなったのは大きいだろ。あの女が主導でやってた感じするし。」

「確かに爆弾を仕掛けられる事はなくなるだろうね。」

「爆弾なんか仕掛けられた事あるのかよ…」

璃沙は呆れた表情でそう言った。綺瑠は美夜と離れたせいか、いつもより元気がない。璃沙はそれに気づいており、モヤモヤとした表情を見せていた。





その日の夜。美夜は駅近くの路上でテントも無しに占い屋を開いている、リッカの元へ来ていた。リッカは水晶を使って占いをすると、美夜に言う。

「彼の気持ちも尊重できる様になると…恋愛は成就します。」

美夜はそれを聞くと、深い溜息。

「綺瑠さんの家族を抱きしめてしまう癖…あれを尊重できる様になるには、まだ時間が要りそうです…。」

「普通に両想いなら、気にしなくてもいいと思うわよ。ましてや男の子とロボット相手でしょ?」

「でもぉ…!」

美夜は拳を握って耐えている様子。リッカは呆れた表情で言った。

「異性なら私も怒り心頭だけど、そのくらいは許してあげなって。綺瑠って束縛されるの嫌いだよ?あの悪魔っぽい綺瑠はわかんないけど…。」

「うぅ…」

美夜が悩ましく困っていると、そこへ一人の女性がやってきた。それはは最近ヒナツの家に出入りしていた、綺瑠の元カノの姉であるマキコだった。マキコは美夜に笑むと言った。

「私があなたの悩みを解決して差し上げましょう。」

その言葉に二人は顔を上げ、マキコの話を聞くのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】こっち向いて!少尉さん - My girl, you are my sweetest! - 

文野さと@書籍化・コミカライズ
恋愛
今日もアンは広い背中を追いかける。 美しい近衛士官のレイルダー少尉。彼の視界に入りたくて、アンはいつも背伸びをするのだ。 彼はいつも自分とは違うところを見ている。 でも、それがなんだというのか。 「大好き」は誰にも止められない! いつか自分を見てもらいたくて、今日もアンは心の中で呼びかけるのだ。 「こっち向いて! 少尉さん」 ※30話くらいの予定。イメージイラストはバツ様です。掲載の許可はいただいております。 物語の最後の方に戦闘描写があります。

助けた騎士団になつかれました。

藤 実花
恋愛
冥府を支配する国、アルハガウンの王女シルベーヌは、地上の大国ラシュカとの約束で王の妃になるためにやって来た。 しかし、シルベーヌを見た王は、彼女を『醜女』と呼び、結婚を保留して古い離宮へ行けと言う。 一方ある事情を抱えたシルベーヌは、鮮やかで美しい地上に残りたいと思う願いのため、異議を唱えず離宮へと旅立つが……。 ☆本編完結しました。ありがとうございました!☆ 番外編①~2020.03.11 終了

【完結】ルースの祈り ~笑顔も涙もすべて~

ねるねわかば
恋愛
悪路に閉ざされた貧しい辺境ルースライン領。 兄を支えたい子爵令嬢リゼは、視察に来た調査官のずさんな仕事に思わず異議を唱える。 異議を唱えた相手は、侯爵家の子息で冷静沈着な官吏ギルベルト。 最悪の出会いだった二人だが、領の問題に向き合う中で互いの誠実さを知り、次第に理解し合っていく。 やがてリゼが王都で働き始めたことを機に距離を縮める二人。しかし立ちはだかるのは身分差と政略結婚という現実。自分では彼の未来を縛れないと、リゼは想いを押し込めようとする。 そんな中、故郷の川で拾われる“名もなき石”が思わぬ縁を呼び、リゼの選択と領の未来を動かしていく――。 想いと責務の狭間で揺れる青年と、自分を後回しにしがちな少女。 すれ違いと葛藤の先で、二人は互いを選び取れるのか。 辺境令嬢の小さな勇気が恋と運命を変えていく。 ※作中の仕事や災害、病、小物の知識などは全てフィクションです。史実や事実に基づいていないことをご理解ください。 ※8万字前後になる予定です。

後宮の死体は語りかける

炭田おと
恋愛
 辺境の小部族である嶺依(りょうい)は、偶然参内したときに、元康帝(げんこうてい)の謎かけを解いたことで、元康帝と、皇子俊煕(しゅんき)から目をかけられるようになる。  その後、後宮の宮殿の壁から、死体が発見されたので、嶺依と俊煕は協力して、女性がなぜ殺されたのか、調査をはじめる。  壁に埋められた女性は、何者なのか。  二人はそれを探るため、妃嬪達の闇に踏み込んでいく。  55話で完結します。

【完結】孤高の皇帝は冷酷なはずなのに、王妃には甘過ぎです。

朝日みらい
恋愛
異国からやってきた第3王女のアリシアは、帝国の冷徹な皇帝カイゼルの元に王妃として迎えられた。しかし、冷酷な皇帝と呼ばれるカイゼルは周囲に心を許さず、心を閉ざしていた。しかし、アリシアのひたむきさと笑顔が、次第にカイゼルの心を溶かしていき――。

【完結】冷徹執事は、つれない侍女を溺愛し続ける。

たまこ
恋愛
 公爵の専属執事ハロルドは、美しい容姿に関わらず氷のように冷徹であり、多くの女性に思いを寄せられる。しかし、公爵の娘の侍女ソフィアだけは、ハロルドに見向きもしない。  ある日、ハロルドはソフィアの真っ直ぐすぎる内面に気付き、恋に落ちる。それからハロルドは、毎日ソフィアを口説き続けるが、ソフィアは靡いてくれないまま、五年の月日が経っていた。 ※『王子妃候補をクビになった公爵令嬢は、拗らせた初恋の思い出だけで生きていく。』のスピンオフ作品ですが、こちらだけでも楽しめるようになっております。

貴方だけが私に優しくしてくれた

バンブー竹田
恋愛
人質として隣国の皇帝に嫁がされた王女フィリアは宮殿の端っこの部屋をあてがわれ、お飾りの側妃として空虚な日々をやり過ごすことになった。 そんなフィリアを気遣い、優しくしてくれたのは年下の少年騎士アベルだけだった。 いつの間にかアベルに想いを寄せるようになっていくフィリア。 しかし、ある時、皇帝とアベルの会話を漏れ聞いたフィリアはアベルの優しさの裏の真実を知ってしまってーーー

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

処理中です...