デッドエンド・ウェディング

うてな

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44 サンゴ:確実な成長

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数日後の休日。美夜は実家の玄関前にいた。美夜は思わず苦笑を浮かべる。

(結局あの占い師さんの事が気になって、家まで帰ってきてしまった…!謹慎中だけど、いいかしら?でも緊急よね緊急……本当に緊急?)

自問自答していると、そこへ買い物帰りの璃沙が登場。

「美夜!」

その声に気づいて、美夜は目を丸くした。

「璃沙さん!」

璃沙は笑みを浮かべると、家の門を開けた。

「帰ってきてたのか。綺瑠も美夜の気持ちに気づけたみたいだから、もう会ってもいいんじゃないか?」

「え…!」

美夜は頬をピンクにすると、次に違和感を感じた。美夜は首を傾げて言う。

「璃沙さん、綺瑠さんの事が好きですよね?なんで嬉しそうなんですか?」

真面目な様子で聞く美夜。璃沙は言った。

「綺瑠が言ってくれたんだ。『美夜と結婚しても、今まで通り家族だ』って。私、ずっとその言葉が欲しくて…そんな事に気づいたんだ。私はロボットだから、所有者に捨てられる事が不安だった。」

「な、なるほど…!」

(確かに捨てられると思って恐怖していたら、私と綺瑠さんの間を邪魔した未来があったのにも納得できる。綺瑠さんの事が好き過ぎてってわけじゃなかったんだ…!)

美夜は璃沙に気持ちが無いと確認すると納得し、璃沙に笑みを向ける。

「良かったですね!」

「……ああ。」

璃沙は間を空けてそう言い、玄関の扉を開いた。美夜は綺瑠の部屋へ一直線で向かうと、広也と進也の部屋が騒がしかった。綺瑠の声も聞こえてくるので、美夜はノックする。

「綺瑠さん?広也くん達と遊んでいるの?」

そう言うと、扉が開いた。一発目に出てきたのは進也、綺瑠はそのすぐ後ろにいた。綺瑠は美夜を見ると嬉しそうに唸る。

「美夜!」

綺瑠は美夜に抱きつくので、美夜は頬を赤らめた。広也も顔を出すと言う。

「帰ってくんの早いな」

「あっ…実は綺瑠さんに聞きたい事があって…!」

「なぁに?」

「綺瑠さんの元カノさんの写真とか…全員分残ってませんか?確認したいんです。」

綺瑠は目を丸くした。何事かと思いつつも、綺瑠は携帯を確認した。

「わかった、全員分ね。」

「何かあったのか?」

広也が聞くと、美夜は頷く。

「実は…コトネさんやマヒルさん以外にももう一人、増えたかもしれないの…。」

「六人目か」

「ええ。」



少しして、一同はリビングに集まっていた。元カノ全員の写真を見たが、美夜は困った顔を見せる。

「いないわ、あの日の人が。」

「本当に六人目なのか?その女は。」

璃沙が聞くと、美夜は難しい顔に。

「私が時を遡っている事を知っていそうな口ぶりだったし…結婚式が上手くいっていない事と、邪魔されている事も言い当てたのよ。」

「凄い占い師さんだねぇ。」

綺瑠が純粋に感心した様子で言うと、美夜はガクッと伏せてしまう。続いて広也が言った。

「情報は不十分だが 警戒するに越した事はない 誰も知らない女って事だけは気にかかるが…」

「じゃあ綺瑠と美夜の蟠りも解けた事だし、結婚式をあげるっすよ!」

と言ったのは進也。進也は普通に「結婚式を挙げたら?」という提案だったのだが、一同が閃いたのか目を丸くした。そして第一声を上げたのは璃沙。

「確かに結婚式で必ず邪魔される法則が通用するなら…襲ってくる元カノを誘き寄せられるな。」

「偽の結婚式とかどうかな?」

綺瑠が案を出すと、広也はニヤリ。

「いいな 儀式に縛られてちゃいざって時に動けないからな」

それに対して慌ててしまう美夜。

「ま、待って!偽の結婚式ってどういう事!?」

それに対し、綺瑠は答えた。

「式場を借りて、結婚式を執り行うんだけど…悪い子ちゃんをおびき寄せる為のもので本当の結婚式じゃない。そのままの意味!」

「いやいや、そんなの通用しますかね!?だって今までの結婚式の事件はきっと、本郷さんが情報を流して計画を練ったものです。本郷さんがいない今…」

「ヤツ等の耳に入るようにすればいいんじゃねぇの? マヒルとか…小学校の臨時教師だろ」

広也が言うと、綺瑠も頷いた。

「コトネちゃんの今の就業先も、調べればわかるよ。そうすれば自然と、その女性にも情報が行くんじゃないかな?」

「その可能性もありますが、本当に他の元カノ達と繋がってるかどうかなんて…。」

「それを知る為にやんだろ …美夜もいい加減 夢叶えたいだろ」

広也の一言に、美夜はふと思い出した顔。

最初の話だ。
綺瑠との結婚式の為に元カノの問題をどう解決すべきか、みんなにも協力を仰いでいた。しかし謎が多かったのも相まり問題解決に対するやる気はみんな曖昧。その中で再び結婚式を挙げ、綺瑠や璃沙を失う未来を描いてしまった事。
その後の璃沙が元カノと協力していた問題に、広也達の友人が事件に巻き込まれたり…徐々にみんなにも自覚が芽生えてきた。
今までは偶然で元カノ達の悪事に対面し阻止してきたが、今度は家族で力を合わせて元カノ達の悪事を暴くのだ。これは今までの未来には絶対に無かった流れであり、良い兆候と感じる。

(こんな流れ、今までに絶対に無かった。璃沙さんが元カノさん達から手を引いた事、広也くんと進也くんもその問題を身近に感じ始めた事…全て全てが繋がって、今になってる…!)

美夜の瞳は希望の光を強く灯す。絶望とも言える未来に希望を感じ始めたのだ。同時に今に至るまで、何度か時を遡ろうとして家族に止められた事を思い出す。

(私はこの未来を何度、手放そうと考えただろう…。
諦めずに今を生きて良かった…!みんなを信じて良かった…!)

涙を薄ら浮かべ始めた美夜だったが、それを指で拭ったのは綺瑠。綺瑠は優しく笑む。

「こらこら、何を感じているのかお見通しだよ。そういう事を考えるのは、作戦が成功してからじゃないと。」

ごもっともな事を言われ、美夜は思わず一笑。一同も笑みを浮かべると、次に美夜は真摯な表情で頷いた。すると進也は手を挙げる。

「じゃあ早速準備するっすよー!披露宴の食事も用意して欲しいっすー!」

「それは進也が食いたいだけだろ。」

璃沙が呆れて言うと、進也は笑顔で頷く。すると一同はやる気になったのか、早速作戦会議を始めるのであった。





一方、とあるカフェでは。
マキコはカフェでマヒルとコトネに会っていた。コトネは俯いており、マヒルも緊張した様子。マキコは優雅に茶を一口飲むと言った。

「あの研究所の人達は、不可思議な力を持っているのよね。時を遡る以外に…どんな力があるの?」

するとマヒルは即答する。

「知らないわよ。」

しかし、コトネが口を開いた。

「能力が分からない子が一人。もう一人は人の記憶を書き換える事もできる能力。前者は頭が悪いけれど、後者は頭が切れるから要注意人物。」

「そう。後者の少年がかなり厄介ね。綺瑠さんに直接復讐する為には、彼を守っている人達も邪魔よ。どうにかして、行動を無効化させないと。」

「行動を無効化って、どうやって?」

マヒルが聞くと、マキコは笑みを浮かべた。

「うーん…監禁かしら?流石に本郷さんみたいに殺してしまうだなんて…大袈裟な事は出来ないわね。」

するとコトネは再び口を開いた。

「あの男だけは殺させて。」

コトネは獣の様にマキコを睨みつける。コトネの心は決まっているようで、マキコは笑みを浮かべた。

「ええ。綺瑠さんだけは絶対に…と私も思っているから。」

するとマヒルは苦笑。

「じゃ、じゃあ私は抜けるつもりなのでこれでー。」

颯爽と抜けようとするマヒルに、空かさずマキコは口を開いた。

「そうね。じゃあ記憶を弄れる子を捕獲する役を担ってくれないかしら?記憶を消される危険性もあるから…報酬はこのくらいはどうかしら…?」

マキコはそう言って金額を提示すると、マヒルは目を輝かせた。

「人を捕まえるだけでこんな大金…!?」

(誘拐は悪い事だけど、お金には代えられないわよね…!その子とは初対面だし、上手く立ち回れば罪に問われない状況を作り出せるかも…?)

「考えときます…!」

「ええ、早めにね。」

マキコはそう答えると、マヒルを見つめる。マキコは茶を飲みながらも思った。

(彼女は本郷さんを裏切った女…。捕まってくれたり、記憶を消されてしまった方がこちらとしては助かるんだけど…。どうなるかしらね。)

どうやらマキコはマヒルを信用しておらず、マヒルを陥れる気があるようだった。
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