上 下
126 / 290
7章【そんなに幸せにしないで】

12 *

しおりを挟む



 カナタの弱点であるポイントを狙うツカサは、唇で弧を描く。


「カナちゃんのナカ、すっごく気持ちいいよ。すぐ出ちゃいそう。……なんか俺、早漏みたいで恥ずかしいなぁ」


 そう言いながら、ツカサは何度もカナタの内側を犯す。
 激しい抽挿に、カナタは堪らず声を上げた。


「そん、なに……激しく、しないで……っ! だめっ、オレまた──イ、んん、っ!」
「でも、俺よりカナちゃんの方がイってるか。一緒なら、別に恥ずかしくないねっ」


 談笑のように話しかけ、笑みを浮かべながらもツカサはカナタを休ませない。

 何度も連続で絶頂を迎えさせられているカナタは、首を横に振りながらツカサの腕を掴んだ。


「やだ、や……っ! オレばっかり、いや……っ! んっ、あっ! はっ、ぁ……っ!」
「そんなエッチな顔と声で言われてもなぁ。……カナちゃんは、俺と一緒がいいの?」
「ん、んっ!」


 懸命に、カナタは何度も頷く。

 腕を掴んでいた手は、そのままツカサの背へ回る。
 そしてカナタは、濡れた瞳でツカサを見つめた。


「オレのナカで、イってください……っ。お願い、ツカサさん……っ」


 カナタは、理解していなかったのだ。
 ツカサが言っていた【天然】という意味を。
 だからこそ、カナタはツカサを求めた。

 ……ゆえに。


「マスターに隠れて洗濯するの、結構大変なんだけどなぁ……」


 ツカサはそう、呟いたのだ。

 カナタは、自身の嬌声に似た声のせいで、ツカサの言葉が聞こえなかった。
 もしかすると聞こえていたのかもしれないが、理解できなかったのだろう。


「好き、です……っ。ツカサさん、大好きです……っ! もっと、オレで気持ち良くなってください……っ。好きっ、好きです、好き、ぃ……っ!」


 譫言うわごとのように、カナタは何度も気持ちを零す。

 等身大のカナタを与えられたツカサは、胸の奥が熱くなる感覚に気付いていた。
 なので、あえてそのまま突き進むことを選ぶ。


「──カナちゃん、愛しているよ……ッ」


 決して、ツカサの気持ちは【愛】や【恋】では片付けられない。
 そんな自負が、ツカサにはある。

 それでも、可愛い恋人がその言葉を求めたのならば。
 可愛い恋人が、その言葉を選んだのならば……ツカサはいくらだって、捧げる覚悟なのだろう。

 そう気付くことができただけでも、今日のカナタはハナマルものだった。


「ツカサさん、ツカサ、さ……っ! あっ、あぁ、あっ!」
「……ッ!」


 内側に、ツカサの劣情が迸る。
 火傷をしてしまうのではと錯覚するほど、ツカサの熱が鮮烈で……。

 カナタは思わず、可愛らしいスカートを自身の精液によって汚してしまった。


「あ、つい……っ。ツカサさんのが、いっぱい……っ」


 うっとりとした様子で目を細めるカナタに、ツカサは手を伸ばす。


「もう一回、シたい。一回だけじゃなくて、もっと、沢山。カナちゃんのナカに出したい」


 頬を撫でられたカナタは、潤む視界にツカサを映した。
 そのまま、ふにゃりと柔らかい笑みを返す。


「ほし、ぃ……っ。もっと、ツカサさんがほしいです……っ」


 小さく微笑むカナタを見て、ツカサは顔を寄せる。


「本当に、カナちゃんは可愛いね」


 そう囁いた後、ツカサはカナタの唇に口付けた。
 



しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【R-18】僕と彼女の隠れた性癖

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:681pt お気に入り:26

改稿版 婚約破棄の代償

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:1,540pt お気に入り:856

王妃となったアンゼリカ

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:169,393pt お気に入り:7,830

こじらせ読者の推し活動

BL / 連載中 24h.ポイント:42pt お気に入り:17

転生したら男女逆転世界

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:688pt お気に入り:684

貴方の『好きな人』の代わりをするのはもうやめます!

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:6,356pt お気に入り:1,776

【R18】酔って溺れて沼の中

恋愛 / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:92

処理中です...