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11.智紀、部活動をどうするか考える

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 その授業(というか説明)の後は教室に戻った。
 なんとこれから部活の説明に先輩たちが入れ替わり立ち代わりやってくるらしいと聞き、それはそれで面白いなと思った。

「体育館とかで集まってとかじゃないんだね」

 稲村が俺が思ったことを口に出した。

「だな」

 そんなわけで先輩たちがやってきた。まずは運動部から、ベタに「三年間、青春の汗を俺たちと流してみないか!」とかいう熱いのから、「入ってくださいお願いしまーす」というやる気があるんだかないんだかわらないような部活までさまざまだった。
 実際に見てなかなか面白かった。
 一応部活動として生徒会から部費がもらえるのは部員が五名かららしく、それ未満だと存続はできるけど生徒会から予算が出ないのだそうだ。
 だから部費の為に入って! とかいう現金な文化部もあった。
 まぁうん、気持ちはわかる。
 中には委員会と一緒に活動する部活なんかもあった。農業管理部とかいういかつい名前の部だ。主に田んぼと畑の世話、それから学校周辺の山菜など食べられる野菜などの採取を主としているらしい。委員会と一緒の活動なので内申点がばっちりつくよ! とかこれまた現金なことを言っていた。

「……生物管理部いきものかんりぶってやっぱりなかったね」

 稲村がぼそっと呟いた。

「これから作るみたいなことを嵐山さんが言ってなかったっけ」
「そうだったっけ?」

 そこらへんは覚えていないみたいだ。今ある部活の他に作るってことなんだろうけど、部室とかどうするんだろうなと思った。
 まぁ多分寮に戻れば入口の受付のところにいるんだろうから、そこで詳細とかを聞けばいいかなと思った。
 今日は弁当給食があった。食べ終えたら掃除してHRやって下校だそうだ。だったら先に掃除とHRやって下校してから寮でお昼食べればよくね? と思ったけど、弁当は山の下の給食センターから運んできているらしい。あ、お仕事大事だなと思った。
 寮のごはんを作ってくれるおばさんたちは、住み込みのおばさんと下の町から通いで来ている人もいるらしい。雇用を守るって大事だ。
 で、稲村と、ジャージに着替える時ノリがよかった緒方と山根というクラスメイトも一緒に昼食を共にした。
 緒方と山根は背が高く、緒方はバスケ部、山根は農業管理部に入るつもりらしい。

「農業管理部? マジで?」
「自力で米を作りたい」
「それは壮大だな」

 米は大好きだが、作る手間がハンパないと聞いているから作りたいとは思わない。

「お前らは?」

 緒方に聞かれた。俺は稲村と顔を見合わせた。

「……まだ決めてない」
「そっか」
「そういえば大林君て、昨日狂暴なオカメインコと一緒にいなかった?」

 山根に聞かれて、ちょっと引っかかった。

「別に狂暴じゃないぞ」
「あー、ごめん。でもなんか先輩たちつつき回してるの見ちゃって」
「えええ」

 ピー太は本当にいったい何をやっているんだろう。

「そういえば俺らの見守りをインコに誰かが頼んでるって言ってたな……」

 緒方が少し考えるような顔をした。それは理事長兼校長兼寮監の嵐山さんだな。

「ってことは、先輩たちがなんかやらかしたんじゃないのかな?」

 稲村が思いついたように言う。

「あー、それはありそう」
「あるかも」

 二人共納得したように頷いた。
 緒方と山根は人がよさそうだ。まぁ確かになんの理由もなくつつかれるってことはなさそう。相手はカラスじゃないしな。カラスにもつつくだけの理由があるかもしれないけどさ。(光るものを身に着けていると奪う為につついたりするとは聞いている)
 そんなことを話しているうちに昼食の時間が終った。弁当給食、それなりにおいしかったと思う。中身あったかかったし。
 ただ、足りない場合はどうなるのかなとは思ったりした。

「明日からは通常授業で六時間目まであるからな」

 担任は無情にもそう言った。さっそく時間割表を渡されてげんなりした。入学して三日でもう六時間目まであるとか死にそう。
 今日もちょうど村西のクラスも終わったところだったので一緒に戻ることにした。稲村も一緒だ。
 で、校舎を出たらピーッ! という鳴き声がしてバサバサッという羽の音共に頭の上に留まられた。

「ピー太?」
「ピータ!」
「そっかー。お迎えありがとなー」

 朝の見送りはないようだがお迎えはあるらしい。つーかなんでこんなにタイミングがいいんだ? もしかして嵐山さんに聞いたりしてるのかなと思った。
 腕に移動してもらい、歩いて五分の寮に戻れば入口でピー太は俺の腕から飛び立った。

「ピータ、トモーノリー」
「完全にお迎えだねー」
「頭がいいな」

 稲村と村西に言われて、なんなんだと思った。ピー太は昨日とは違い、俺たちの頭の上を旋回すると、寮の東側へ飛んでいった。東側は林になっているから、今日はこれで帰ったのかなと思ったのだった。
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