13 / 77
12.智紀、ピー太に呼ばれる
しおりを挟む
部屋に戻ったら、何故か窓の外にピー太がいた。
自分の家に帰ったんじゃなかったのか?
「村西、ごめん。窓開けていいか?」
「断らなくていいよ」
村西は苦笑した。でもこういうのって断らないといけないと思うんだよな。俺一人の部屋じゃないしさ。
それに村西は鳥が苦手っぽいし。
窓を開けるとピー太が窓枠に留まった。
「ピータ、トモーノリー」
「うんうん、どうした?」
とりあえず制服から部屋着に着替えた。ここは二階だし東側は林だか森だから誰も見る人はいない。つーか俺の裸なんか見ても誰も興奮しないだろう。興奮されても困る。
ピー太はコキャッと首を傾げると、林の方へ飛んで行った。そしてまた戻ってきた。
「なんだ?」
またバサバサと林の方へ飛んで行き、一度木に止まってから戻ってくる。
この行動の意味はなんだろう。
「ピータ、トモーノリー」
「うん」
ピータはまた首をコキャッと傾げた。その首が元に戻らない。
「……コッチー」
「ああ……」
以前覚えた言葉を思い出したらしい。
「トモーノリー、コッチー」
ピー太はそう言うとまた林へバサバサと飛んで行き、一度木に止まってから戻ってきた。体力あるなぁ。
じゃなくて。
「大林、多分林の方へ来いって言ってるんじゃないか?」
村西がピー太の意図に気づいてくれたらしい。
「あ、そっか」
俺はどうも察しが悪いみたいだ。
「ピー太、もしかして……林の中を案内してくれるのか?」
ピーッ! とピー太が鳴く。当たりみたいだ。特に用事もないので付いていきたいのはやまやまだが、確か林の中へは一人で入っちゃいけないことになっている。
「誰か一緒に行ってくれる奴がいればいいんだけどな。村西、これからなんか予定ある?」
とりあえず聞いてみる。村西は苦笑した。
「いいよ。付き合うよ」
「やった! ありがとー。あ、そうだ、稲村も誘っていい?」
「いいよ」
「ピー太、寮の玄関の方に先に行っててくれ。俺たちいくらなんでもここからは行けないから」
二階から飛び降りて行けないことはないだろうが、怪我をしそうで嫌だ。
ピー太はわかったと言うようにピーと鳴き、窓から出て行った。窓を閉めてパーカーを羽織り、村西と部屋を出た。稲村の部屋は二階の一番西側の部屋である。わかりやすくていい。
誘ったら「行く行くー!」と面白がって出てきてくれた。
で、階段を下りてから寮監がいる入口の受付に顔を出した。出かける時は一応伝えないといけないんである。
「嵐山さん、ちょっと出てきます」
「んー? 行先は? ざっくりでいいけど」
「東の林に行ってきます。ピー太がなんか来てほしそうなんで」
「えっ? じゃあ僕も行くよ!」
「ええ?」
ってことで何故か嵐山さんも一緒に行くことになってしまった。嵐山さんも受付を無人にするわけにはいかないということで、「ちょっと待ってて!」とどこかへ電話をかけた。ピー太を待たせてしまうのも悪いので一旦寮の表へ出ると、ピー太が飛んできて俺の頭に乗った。留まりやすいのはわかるけど頭の上とかホント勘弁してほしい。
爪が食い込んで痛いんだっての。
「ピー太、嵐山さんも一緒に行くことになったから、ちょっと待ってもらえるか?」
腕に移ってもらって聞くと、ピー太はコキャッと首を傾げた。
「もう少し待ってくれ」
ピー、とピー太は鳴き、早く行こうとばかりに林の方へ飛んだ。
「待って!」
ピーッ! と呼ばれる。俺は首を振った。
「言葉がわかってそうでわかってないのか?」
「わかってても聞けない場合もあるんじゃないかな~」
村西と稲村がのん気に何か言っている。またピー太が飛んできて俺の頭に留まる。それらの行動を何度かくり返してからやっと嵐山さんが出てきた。
「ごめんごめん、遅くなった。三年の生徒に受付は頼んだから行こう」
「はーい」
ピー太はやっと来たとばかりに軽く嵐山さんをつついた。なんだよ、わかってるんじゃないかよ。
「ピー太君、ごめんよ~」
嵐山さんが笑っている。
ピー太が林の方へ飛ぶのをみんなで追っていく。ピー太は目の届くところで待っていてくれた。
林に入ってから十分程歩いただろうか。ピー太はある木の枝に留まった。俺たちがその木の下に着くと、トトトトッと木を少し上った。
「あっ、巣かな?」
「僕が作った鳥小屋だよ」
嵐山さんが得意そうに答えた。林の中はけっこう涼しい。
ピー太は小屋に入ると顔を出し、ピーと鳴いた。
どうやら巣を見せてくれたらしい。かわいいところもあるじゃないかと思った。
自分の家に帰ったんじゃなかったのか?
「村西、ごめん。窓開けていいか?」
「断らなくていいよ」
村西は苦笑した。でもこういうのって断らないといけないと思うんだよな。俺一人の部屋じゃないしさ。
それに村西は鳥が苦手っぽいし。
窓を開けるとピー太が窓枠に留まった。
「ピータ、トモーノリー」
「うんうん、どうした?」
とりあえず制服から部屋着に着替えた。ここは二階だし東側は林だか森だから誰も見る人はいない。つーか俺の裸なんか見ても誰も興奮しないだろう。興奮されても困る。
ピー太はコキャッと首を傾げると、林の方へ飛んで行った。そしてまた戻ってきた。
「なんだ?」
またバサバサと林の方へ飛んで行き、一度木に止まってから戻ってくる。
この行動の意味はなんだろう。
「ピータ、トモーノリー」
「うん」
ピータはまた首をコキャッと傾げた。その首が元に戻らない。
「……コッチー」
「ああ……」
以前覚えた言葉を思い出したらしい。
「トモーノリー、コッチー」
ピー太はそう言うとまた林へバサバサと飛んで行き、一度木に止まってから戻ってきた。体力あるなぁ。
じゃなくて。
「大林、多分林の方へ来いって言ってるんじゃないか?」
村西がピー太の意図に気づいてくれたらしい。
「あ、そっか」
俺はどうも察しが悪いみたいだ。
「ピー太、もしかして……林の中を案内してくれるのか?」
ピーッ! とピー太が鳴く。当たりみたいだ。特に用事もないので付いていきたいのはやまやまだが、確か林の中へは一人で入っちゃいけないことになっている。
「誰か一緒に行ってくれる奴がいればいいんだけどな。村西、これからなんか予定ある?」
とりあえず聞いてみる。村西は苦笑した。
「いいよ。付き合うよ」
「やった! ありがとー。あ、そうだ、稲村も誘っていい?」
「いいよ」
「ピー太、寮の玄関の方に先に行っててくれ。俺たちいくらなんでもここからは行けないから」
二階から飛び降りて行けないことはないだろうが、怪我をしそうで嫌だ。
ピー太はわかったと言うようにピーと鳴き、窓から出て行った。窓を閉めてパーカーを羽織り、村西と部屋を出た。稲村の部屋は二階の一番西側の部屋である。わかりやすくていい。
誘ったら「行く行くー!」と面白がって出てきてくれた。
で、階段を下りてから寮監がいる入口の受付に顔を出した。出かける時は一応伝えないといけないんである。
「嵐山さん、ちょっと出てきます」
「んー? 行先は? ざっくりでいいけど」
「東の林に行ってきます。ピー太がなんか来てほしそうなんで」
「えっ? じゃあ僕も行くよ!」
「ええ?」
ってことで何故か嵐山さんも一緒に行くことになってしまった。嵐山さんも受付を無人にするわけにはいかないということで、「ちょっと待ってて!」とどこかへ電話をかけた。ピー太を待たせてしまうのも悪いので一旦寮の表へ出ると、ピー太が飛んできて俺の頭に乗った。留まりやすいのはわかるけど頭の上とかホント勘弁してほしい。
爪が食い込んで痛いんだっての。
「ピー太、嵐山さんも一緒に行くことになったから、ちょっと待ってもらえるか?」
腕に移ってもらって聞くと、ピー太はコキャッと首を傾げた。
「もう少し待ってくれ」
ピー、とピー太は鳴き、早く行こうとばかりに林の方へ飛んだ。
「待って!」
ピーッ! と呼ばれる。俺は首を振った。
「言葉がわかってそうでわかってないのか?」
「わかってても聞けない場合もあるんじゃないかな~」
村西と稲村がのん気に何か言っている。またピー太が飛んできて俺の頭に留まる。それらの行動を何度かくり返してからやっと嵐山さんが出てきた。
「ごめんごめん、遅くなった。三年の生徒に受付は頼んだから行こう」
「はーい」
ピー太はやっと来たとばかりに軽く嵐山さんをつついた。なんだよ、わかってるんじゃないかよ。
「ピー太君、ごめんよ~」
嵐山さんが笑っている。
ピー太が林の方へ飛ぶのをみんなで追っていく。ピー太は目の届くところで待っていてくれた。
林に入ってから十分程歩いただろうか。ピー太はある木の枝に留まった。俺たちがその木の下に着くと、トトトトッと木を少し上った。
「あっ、巣かな?」
「僕が作った鳥小屋だよ」
嵐山さんが得意そうに答えた。林の中はけっこう涼しい。
ピー太は小屋に入ると顔を出し、ピーと鳴いた。
どうやら巣を見せてくれたらしい。かわいいところもあるじゃないかと思った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
630
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる