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16.二日目の夜も抱かれることになりそうです
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寝室と寝室の間を繋ぐ扉の鎖はギリギリまで解かれなかった。
ヴィクトーリア様は殊更ゆっくりと入浴をした。
「ローゼ、おいで」
ヴィクトーリア様は私に背中を流させると、裸になっている私を抱き寄せた。(お仕着せでお世話をしようとすると無理矢理脱がされそうになるので諦めた)
「あっ……」
「洗ってやろう」
「え? いえ、その、自分で洗いますから……」
「だめだ」
「えええ?」
ヴィクトーリア様は手に石鹸をつけると、それで私の全身を洗った。
「あっ、ヴィクトーリア様、そこは……」
「洗っているだけだろう? ここは丁寧に洗わないとな……」
なんかもっともらしいことを言いながら、文字通りあそこもここも恥ずかしいところも全て洗われてしまったのだった。え? 具体的に? むりむりむり。ううう……もうお嫁に行けない。
「ローゼは細すぎる。もっと食べろ」
「そんなことできるわけがないじゃないですか。そうじゃなくたって公爵家に連れて行かれてから料理が豪華になっているんですから! すぐにぶくぶく太ってしまいます」
浴槽に浸かりながらヴィクトーリア様は考えるような顔をした。
「……ぶくぶくに太ったローゼもころころしてかわいいだろうな」
「っ! そんなこと言って……絶対太ったら見向きもしなくなるに違いありませんよっ!」
何故こんなに私が自分の体重を気にしているかというと、前世の私はデブだったのだ。家族全員太っていたから全然気にならなかったが、中学生ぐらいになるといろいろ意識して……も食べることが大好きだった私は全然ダイエットなんてできなかった。家での食事はおいしいし、お弁当箱も小さかったらすぐにおなかがすいてしまうし、夕飯は夕飯で好物の揚げ物が出たりとダイエットなんかとてもできる環境ではなかったのだ!(ただの言い訳です)
そりゃあ私だって一食置き換えとか試してみようとしたけど、そもそも一食置き換えができるような人間はそうそう太らない。意志の弱い私には無理だったけどね!
容姿もそうだがこの性格が災いして全然モテなかった。好きな人がいたはいたが、告白などできようはずもなく。おかげでそういった経験など皆無だった。
あ、このぐだぐだでどうしようもない性格は前世からのものだったのかとようやく気付いた。そして内心落ち込んだ。落ち込みながらもヴィクトーリア様の身体を拭き、
「ローゼはこれを着ろ」
とヴィクトーリア様に渡された寝衣を機械的に着て、彼の着替えを手伝い、そして寝室の隅に立った。ヴィクトーリア様は今日もドレスシャツにスラックス姿でたいへんお美しい。身体もそれなりに鍛えているせいか、細マッチョと言えるような素敵な体型である。魔法が優れていたとはいえ、今ではどうしてこの方が女性に見えていたのか疑問だった。
ヴィクトーリア様が寝室を繋ぐ扉にかけた鎖を外すと、そう間もおかないうちに扉が開かれた。
「ヴィクトーリア、いったいなんのつもりだ」
「なんのことでございましょう?」
現れたのはいらいらした様子の王太子だった。それで私はやっと自分の恰好に気づいた。なんというか、昨夜よりも更に薄い、シースルーと言ってもいいような布の寝衣を着せられていたのだ。これでは胸も何もかも見えてしまう。でもここで動揺して隠したりしたら幻術が解けてしまうかもしれないと思い、私はどうにか平静を保とうとした。
「ヴィクトーリア、この扉は開けておくように言っておいたはずだが?」
「ええ……でも私どうしても恥ずかしくて……ついこんな時間までためらってしまいましたの」
「そ、そうか……ならばしかたない。だが明日は開けておくようにするのだぞ」
「善処しますわ」
それ、やる気はないって言ってるのと同じだよね。王太子ににっこりと笑みかけるヴィクトーリア様が神々しいです。
「ヴィクトーリア、もう入浴はしたのだろう?」
「はい」
「ならば、よいな?」
王太子はそう言ったかと思うとヴィクトーリア様をベッドに押し倒した。
……まぁ、王太子の責務なんてまずは子どもを作ることだもんね。次世代の王族をぽんぽん産ませて足場固めをしながら政務を学んでいくということだろう。そう考えると平時の王太子の役割ってまんま種馬みたいだ。王族が途絶えたら困るから妃との間に子を成せなかったら妾もどんどん連れてこられるみたいだし。
庶民と王族はそもそも考え方自体が違うのだ。だからって、女心としてはそう簡単に割り切れないけどね。
ヴィクトーリア様は昨日と同じように王太子に幻術をかけ、少し様子を見た。
「……かかったな」
目を見れば相手が幻術にかかったかどうかがわかるらしい。ヴィクトーリア様はため息をつくと、また王太子をベッドから蹴り落とした。あんなことをして大丈夫なんだろうか。そしてベッドから下りると、王太子を蹴って部屋の隅まで転がして、存在を隠すようにシーツをかけた。
「もっと効率よく幻術をかけられればいいのだが……」
いやいやすでにかなり効率もいいですから。これ以上っていうのは難しいのではないかと思われます。
ヴィクトーリア様は私に近づいてくると、私を軽々と抱き上げてベッドに運んだ。
「さぁローゼ。今宵からは私に抱かれながらイケるようになろう」
「え? えええ?」
そうして私はヴィクトーリア様に口づけられ、またおいしくいただかれてしまったのだった。
ヴィクトーリア様は殊更ゆっくりと入浴をした。
「ローゼ、おいで」
ヴィクトーリア様は私に背中を流させると、裸になっている私を抱き寄せた。(お仕着せでお世話をしようとすると無理矢理脱がされそうになるので諦めた)
「あっ……」
「洗ってやろう」
「え? いえ、その、自分で洗いますから……」
「だめだ」
「えええ?」
ヴィクトーリア様は手に石鹸をつけると、それで私の全身を洗った。
「あっ、ヴィクトーリア様、そこは……」
「洗っているだけだろう? ここは丁寧に洗わないとな……」
なんかもっともらしいことを言いながら、文字通りあそこもここも恥ずかしいところも全て洗われてしまったのだった。え? 具体的に? むりむりむり。ううう……もうお嫁に行けない。
「ローゼは細すぎる。もっと食べろ」
「そんなことできるわけがないじゃないですか。そうじゃなくたって公爵家に連れて行かれてから料理が豪華になっているんですから! すぐにぶくぶく太ってしまいます」
浴槽に浸かりながらヴィクトーリア様は考えるような顔をした。
「……ぶくぶくに太ったローゼもころころしてかわいいだろうな」
「っ! そんなこと言って……絶対太ったら見向きもしなくなるに違いありませんよっ!」
何故こんなに私が自分の体重を気にしているかというと、前世の私はデブだったのだ。家族全員太っていたから全然気にならなかったが、中学生ぐらいになるといろいろ意識して……も食べることが大好きだった私は全然ダイエットなんてできなかった。家での食事はおいしいし、お弁当箱も小さかったらすぐにおなかがすいてしまうし、夕飯は夕飯で好物の揚げ物が出たりとダイエットなんかとてもできる環境ではなかったのだ!(ただの言い訳です)
そりゃあ私だって一食置き換えとか試してみようとしたけど、そもそも一食置き換えができるような人間はそうそう太らない。意志の弱い私には無理だったけどね!
容姿もそうだがこの性格が災いして全然モテなかった。好きな人がいたはいたが、告白などできようはずもなく。おかげでそういった経験など皆無だった。
あ、このぐだぐだでどうしようもない性格は前世からのものだったのかとようやく気付いた。そして内心落ち込んだ。落ち込みながらもヴィクトーリア様の身体を拭き、
「ローゼはこれを着ろ」
とヴィクトーリア様に渡された寝衣を機械的に着て、彼の着替えを手伝い、そして寝室の隅に立った。ヴィクトーリア様は今日もドレスシャツにスラックス姿でたいへんお美しい。身体もそれなりに鍛えているせいか、細マッチョと言えるような素敵な体型である。魔法が優れていたとはいえ、今ではどうしてこの方が女性に見えていたのか疑問だった。
ヴィクトーリア様が寝室を繋ぐ扉にかけた鎖を外すと、そう間もおかないうちに扉が開かれた。
「ヴィクトーリア、いったいなんのつもりだ」
「なんのことでございましょう?」
現れたのはいらいらした様子の王太子だった。それで私はやっと自分の恰好に気づいた。なんというか、昨夜よりも更に薄い、シースルーと言ってもいいような布の寝衣を着せられていたのだ。これでは胸も何もかも見えてしまう。でもここで動揺して隠したりしたら幻術が解けてしまうかもしれないと思い、私はどうにか平静を保とうとした。
「ヴィクトーリア、この扉は開けておくように言っておいたはずだが?」
「ええ……でも私どうしても恥ずかしくて……ついこんな時間までためらってしまいましたの」
「そ、そうか……ならばしかたない。だが明日は開けておくようにするのだぞ」
「善処しますわ」
それ、やる気はないって言ってるのと同じだよね。王太子ににっこりと笑みかけるヴィクトーリア様が神々しいです。
「ヴィクトーリア、もう入浴はしたのだろう?」
「はい」
「ならば、よいな?」
王太子はそう言ったかと思うとヴィクトーリア様をベッドに押し倒した。
……まぁ、王太子の責務なんてまずは子どもを作ることだもんね。次世代の王族をぽんぽん産ませて足場固めをしながら政務を学んでいくということだろう。そう考えると平時の王太子の役割ってまんま種馬みたいだ。王族が途絶えたら困るから妃との間に子を成せなかったら妾もどんどん連れてこられるみたいだし。
庶民と王族はそもそも考え方自体が違うのだ。だからって、女心としてはそう簡単に割り切れないけどね。
ヴィクトーリア様は昨日と同じように王太子に幻術をかけ、少し様子を見た。
「……かかったな」
目を見れば相手が幻術にかかったかどうかがわかるらしい。ヴィクトーリア様はため息をつくと、また王太子をベッドから蹴り落とした。あんなことをして大丈夫なんだろうか。そしてベッドから下りると、王太子を蹴って部屋の隅まで転がして、存在を隠すようにシーツをかけた。
「もっと効率よく幻術をかけられればいいのだが……」
いやいやすでにかなり効率もいいですから。これ以上っていうのは難しいのではないかと思われます。
ヴィクトーリア様は私に近づいてくると、私を軽々と抱き上げてベッドに運んだ。
「さぁローゼ。今宵からは私に抱かれながらイケるようになろう」
「え? えええ?」
そうして私はヴィクトーリア様に口づけられ、またおいしくいただかれてしまったのだった。
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