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第2部 嫁ぎ先を決めろと言われました
134.相変わらず自分のことは棚上げします
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いろいろ吹っ切れたのかなんなのか、紅児はあれから紅夏の室で夜を過ごすことが多くなった。好き合っている者同士だし、紅児の国では王侯貴族以外純潔にこだわることがないと聞いてはいるからいちいち香子が口を出すことではない。ただ複雑な気持ちにはなった。
(さすがに最後まではしてないだろうけど……ああ、生々しい……)
保護をしている子の閨事情など知りたくはない。
とはいえ紅児については一段落したようである。あとは適宜対応していけばいいだけだろう。
人の問題が片付いたなら、次は自分の問題である。
(……でも……そんなに急いで考えないといけないことかな……)
肉体関係もあるのに何を言っているのだと言われるかもしれない。だがまだ白虎とは交わっていないし、虎の姿で、というのはハードルが高すぎる。
なのに先代の花嫁はまず白虎に奪われた。どれほど恐ろしかっただろう。よく精神を保てたものだと、香子は想像しただけで身震いした。先代の花嫁について詳しく尋ねるならば朱雀が適任だろう。なにせ紅夏を含む眷族を何人か産んでもらっているのだから。
(ん? 産んでもらったってことはお互いに想いがあったってことだよね?)
花嫁の気持ちが伴わなければ子は産まれないと香子は聞いている。複数の神に同時に抱かれるというのは香子も同様だ。だが全員の子を産みたいかと言われるとまだわからない。
『ああああもう!!』
部屋付の侍女たち(紅児含む)がビクッとする。延夕玲は一瞬だが眉を寄せた。
『……花嫁さま、どうなされました』
夕玲の目がなんとも冷ややかだ。絶対花嫁に対する扱いじゃないと香子はいつも思う。だからといって咎める気は全くないが。
『んー……いろいろ考えてもわからないってだけの話よ』
呟くように言いながら、香子はふと夕玲たちはどうなっているのだろうと考えた。
『そういえば夕玲は? 青藍とはどうなの?』
『……花嫁さま』
夕玲の低い声に香子はまずいと思った。こんな、部屋付の侍女たちとはいえ他人がいる場所で聞く内容ではなかった。
『夕玲、奥で話しましょう。ほら、お茶持っていくわよ~。貴女たちは悪いけど一度部屋の表に出ててくれる? 終ったら呼ぶから』
『はい』
『承知しました』
紅児ともう一人の侍女は軽く膝を曲げて礼をし、しずしずと部屋を出て行った。頭を下げない挨拶に香子は未だ慣れない。夕玲を見ると、困ったような顔をしていた。睨まれたらどうしようと思っていただけに香子は内心胸を撫で下ろした。
『奥に入って』
夕玲を寝室に誘う。簡単な卓と椅子があるので、卓にお茶のお盆を置き、椅子に座るよう促した。
『……失礼します』
『ごめんね、人がいるところで青藍の話なんてしちゃいけなかったわね』
『いえ……』
夕玲の頬が少し赤くなっている。やはり恥ずかしかったのだろう。気をつけようと香子は思った。
『で、ただの好奇心なんだけど』
一応前置きをする。
『最近夕玲は青藍とはどうなの? 夕玲はその……青藍に恋愛感情はあるの?』
『花、花嫁さまっ……!』
夕玲の白い肌が一気に赤くなった。それを見て聞くだけ野暮ということはわかった。
『……あー、うん。そうなのね』
香子は納得した。
『でも、最初はなんとも思ってなかったわけでしょ? いつ頃気持ちの変化があったの?』
『……そ、それは……』
夕玲が頬に手を当てながら目をそらす。大祭の後にはもういいかんじになっていたような気がする。
『そ、その……どうしても答えなければなりません、か?』
『どうしても嫌なら聞かないけど。でもできれば知りたいわ。だって、青藍が強引に迫ったとかだったら黙ってられないし』
夕玲は目線を下に向ける。どうやらある程度は強引なところもあったらしい。ただそれを言ったら紅夏の紅児に対する迫りようも問題である。紅児が流されていないなんて断言はできない。
『え、ええと……最初のうちはその……』
『強引だった、と』
『はい……ですが……あの……老佛爷に挨拶にと言われて……』
『えええ? そんな話聞いてないわよ!?』
どうやら青藍は夕玲をもらい受ける為に皇太后に挨拶に行くつもりらしい。それも皇帝夫妻がわちゃわちゃしていた頃には言われていたというから驚きだ。すぐにでも挨拶に行きそうな青藍を夕玲は必死で止めたらしい。
『まぁねぇ……夕玲はいいところのお嬢さんだから順序ってものもあるだろうし……』
結婚適齢期ということもあり早ければ早いほどいいのだろうが、夕玲は現在香子付の女官である。せめて香子が四神の誰かに嫁がなければ結婚などできないだろう。
(ん? もしかして私けっこう急いで決めなきゃいけない?)
『挨拶についてはまた青藍も一緒に相談しましょう。しきたりとかは私にはわからないしね』
『はい……』
花も恥らう乙女である。青藍との話はもっと詳しく聞きたかったが夕玲はさわりしか話さなかった。だが夕玲が青藍との関係を嫌がってなければそれでいい。
(もう少し真面目に考えないといけないかな……)
香子は自分の置かれた情況をまた思い出し、だがやはりどうしたらいいものかと天を仰いだ。
ーーーーー
「貴方色に染まる」59話の後辺りです。60話まで少し間が空きます。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/977111291/934161364
(さすがに最後まではしてないだろうけど……ああ、生々しい……)
保護をしている子の閨事情など知りたくはない。
とはいえ紅児については一段落したようである。あとは適宜対応していけばいいだけだろう。
人の問題が片付いたなら、次は自分の問題である。
(……でも……そんなに急いで考えないといけないことかな……)
肉体関係もあるのに何を言っているのだと言われるかもしれない。だがまだ白虎とは交わっていないし、虎の姿で、というのはハードルが高すぎる。
なのに先代の花嫁はまず白虎に奪われた。どれほど恐ろしかっただろう。よく精神を保てたものだと、香子は想像しただけで身震いした。先代の花嫁について詳しく尋ねるならば朱雀が適任だろう。なにせ紅夏を含む眷族を何人か産んでもらっているのだから。
(ん? 産んでもらったってことはお互いに想いがあったってことだよね?)
花嫁の気持ちが伴わなければ子は産まれないと香子は聞いている。複数の神に同時に抱かれるというのは香子も同様だ。だが全員の子を産みたいかと言われるとまだわからない。
『ああああもう!!』
部屋付の侍女たち(紅児含む)がビクッとする。延夕玲は一瞬だが眉を寄せた。
『……花嫁さま、どうなされました』
夕玲の目がなんとも冷ややかだ。絶対花嫁に対する扱いじゃないと香子はいつも思う。だからといって咎める気は全くないが。
『んー……いろいろ考えてもわからないってだけの話よ』
呟くように言いながら、香子はふと夕玲たちはどうなっているのだろうと考えた。
『そういえば夕玲は? 青藍とはどうなの?』
『……花嫁さま』
夕玲の低い声に香子はまずいと思った。こんな、部屋付の侍女たちとはいえ他人がいる場所で聞く内容ではなかった。
『夕玲、奥で話しましょう。ほら、お茶持っていくわよ~。貴女たちは悪いけど一度部屋の表に出ててくれる? 終ったら呼ぶから』
『はい』
『承知しました』
紅児ともう一人の侍女は軽く膝を曲げて礼をし、しずしずと部屋を出て行った。頭を下げない挨拶に香子は未だ慣れない。夕玲を見ると、困ったような顔をしていた。睨まれたらどうしようと思っていただけに香子は内心胸を撫で下ろした。
『奥に入って』
夕玲を寝室に誘う。簡単な卓と椅子があるので、卓にお茶のお盆を置き、椅子に座るよう促した。
『……失礼します』
『ごめんね、人がいるところで青藍の話なんてしちゃいけなかったわね』
『いえ……』
夕玲の頬が少し赤くなっている。やはり恥ずかしかったのだろう。気をつけようと香子は思った。
『で、ただの好奇心なんだけど』
一応前置きをする。
『最近夕玲は青藍とはどうなの? 夕玲はその……青藍に恋愛感情はあるの?』
『花、花嫁さまっ……!』
夕玲の白い肌が一気に赤くなった。それを見て聞くだけ野暮ということはわかった。
『……あー、うん。そうなのね』
香子は納得した。
『でも、最初はなんとも思ってなかったわけでしょ? いつ頃気持ちの変化があったの?』
『……そ、それは……』
夕玲が頬に手を当てながら目をそらす。大祭の後にはもういいかんじになっていたような気がする。
『そ、その……どうしても答えなければなりません、か?』
『どうしても嫌なら聞かないけど。でもできれば知りたいわ。だって、青藍が強引に迫ったとかだったら黙ってられないし』
夕玲は目線を下に向ける。どうやらある程度は強引なところもあったらしい。ただそれを言ったら紅夏の紅児に対する迫りようも問題である。紅児が流されていないなんて断言はできない。
『え、ええと……最初のうちはその……』
『強引だった、と』
『はい……ですが……あの……老佛爷に挨拶にと言われて……』
『えええ? そんな話聞いてないわよ!?』
どうやら青藍は夕玲をもらい受ける為に皇太后に挨拶に行くつもりらしい。それも皇帝夫妻がわちゃわちゃしていた頃には言われていたというから驚きだ。すぐにでも挨拶に行きそうな青藍を夕玲は必死で止めたらしい。
『まぁねぇ……夕玲はいいところのお嬢さんだから順序ってものもあるだろうし……』
結婚適齢期ということもあり早ければ早いほどいいのだろうが、夕玲は現在香子付の女官である。せめて香子が四神の誰かに嫁がなければ結婚などできないだろう。
(ん? もしかして私けっこう急いで決めなきゃいけない?)
『挨拶についてはまた青藍も一緒に相談しましょう。しきたりとかは私にはわからないしね』
『はい……』
花も恥らう乙女である。青藍との話はもっと詳しく聞きたかったが夕玲はさわりしか話さなかった。だが夕玲が青藍との関係を嫌がってなければそれでいい。
(もう少し真面目に考えないといけないかな……)
香子は自分の置かれた情況をまた思い出し、だがやはりどうしたらいいものかと天を仰いだ。
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「貴方色に染まる」59話の後辺りです。60話まで少し間が空きます。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/977111291/934161364
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