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第3部 周りと仲良くしろと言われました
26.私じゃなきゃだめなんてことはほとんどない
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『玄武様』
帰りも白虎の腕の中だった。四神宮の近くまで戻ってきたところで、香子は玄武に手を伸ばした。玄武はそれを当たり前のように受けて、白虎から香子を受け取った。香子は玄武の胸に頭を擦り付けた。
四神の腕の中は、誰のでも安心感がある。香子はずっと囚われていてもいいぐらいだとは思っているけど、それは絶対に言わない。言ったら本当に出してもらえなくなくなるから。
玄武は当たり前のように香子を己の室に運んだ。
『玄武様、しませんからね』
『……だめか』
『毎晩してるじゃないですか』
『……足りぬ』
拗ねたように言われて、香子は赤くなった。
(もうっ、どんだけ絶倫なのっ!)
居間の長椅子に腰掛けるよう、香子は玄武を促した。床でごろごろするのもいいが、絶対ごろごろするだけでは済まない。四神は花嫁を愛しているから、共にいれば触れるのが当たり前なのだ。香子としては身体だけ? と言いたくなってしまうが、それが四神なのだからしかたない。だから少しでも昼間は回避したいと香子は思うのだ。
『……先ほどはすいませんでした』
『何を謝る』
皇太后に対して、脅すようなことを言わせてしまった。何かあった時冷静な判断をしてもらおうと思って玄武にお願いしたのだが、香子は人選を間違えた。かといって白虎だけでは対応が難しい場面も多い。
(次は朱雀様に来ていただいた方がいいのかな……)
亀の甲より年の劫というか、亀の甲も年の劫もある玄武にあのようなことを言わせてしまった自分に、香子は自己嫌悪した。
『大祭の出欠は私がどうにかしなければいけないのに……』
『……あやつらは我らの事情を知らぬ。そなたが出る出ないに関わらず大祭は行われるのだ。香子、そなたばかりが悩むことではない』
少し難しかったが、玄武の言っていることは理解できた。香子が出る出ないに限らず大祭は行われる。開催日が近いこともあり、香子が出られなかった時のことも想定して準備はしているだろう。
(そうよね。私たちが出なくたって大丈夫……)
春の大祭には出たのだ。意図はしていなかったが朱雀と青龍が本性を現し、王都の上を飛んだ。たくさんの人がそれを目撃し、天に祈りを捧げたという。
それでいいではないか。もう香子は務めを果たしたのだ。
『そうですよね……』
香子は全て自分に責任があると思っていた。四神は絶対に出たがらないから、香子が声をかけなければ四神が顔を出すことはありえない。それは間違いないが、大祭に出る義務もないのだ。
(気張りすぎてたのかも……)
だけど。
『でも、私が出たいので』
香子は自分を抱いている玄武をまっすぐに見た。玄武の眉が一瞬ピクリとしたように見えた。
『私、お祭りって大好きなんです。とてもわくわくするし、みんなが楽しんでいるのがわかるから』
『そうか』
『でも……その為に白虎様に抱かれるのはやっぱり違うかなとは思うんです』
結局思考は堂々巡りだ。卵が先か鶏が先かではないけど、大祭に出たいから抱かれるのと、大祭が抱かれる口実になるのとでは違うと香子は思う。
『そなたは……白虎が好きか』
香子は首を傾げた。
『好き、なんだと思うんです』
『はっきりせぬものなのだな』
いろいろなことがありすぎて香子にもよくわからないのだ。
『でも、好きじゃなければ今日みたいに抱き上げられて移動するのも嫌ですよ』
『そういうものなのか?』
四神自体が誰かに抱き上げられて移動するなんてシチュは、思いつかないからしょうがないかもしれない。
『うーん……』
香子は少し想像してみることにした。例えば、白雲に抱き上げられて移動するとかどうだろう。香子は首を振った。
『……ないですね。四神の眷属でもないです。黒月なら恋愛感情っぽいものとは無縁ですからいいですけど』
もし何かあったとして、四神以外で抱き上げられる必要があったとしたらそれは黒月に頼むことになるだろう。
『そなたがそう言うのならばそうなのだろう』
心なしか、玄武が嬉しそうに見えた。香子はあえて趙文英や王英明を引き合いには出さなかった。香子だって学習するのである。
『白虎の本性か』
『……ですね。あれが一番の問題です』
『そればかりは我らがどうにかできるものではない』
『ですよね』
いっそのこと、面倒くさいから白虎に寝込みを襲ってもらうというのはどうだろうと思ったが、それで香子がトラウマになったら目も当てられない。やはり香子が納得しない限り交わるのは難しいだろう。
やっと玄武の機嫌が直ったように、香子には思えた。やはり玄武には泰然としていてほしい。
『……どうしたらいいと思います?』
『そなたの思うようにするといい』
即答された。
(そうだよね。結局決めるのは私自身だもんね)
『夜の散歩に行きたいです』
『我も共にでよいのか』
『玄武様がどのように移動されるのか興味があります!』
亀ってどう動くのかなぁと香子は思った。いくらなんでもガメラみたいに火を噴きながら回転して移動なんかしないだろう。
(し、しないよね?)
そんな特撮な展開だったらきっとおなかを抱えて笑うに違いない。
帰りも白虎の腕の中だった。四神宮の近くまで戻ってきたところで、香子は玄武に手を伸ばした。玄武はそれを当たり前のように受けて、白虎から香子を受け取った。香子は玄武の胸に頭を擦り付けた。
四神の腕の中は、誰のでも安心感がある。香子はずっと囚われていてもいいぐらいだとは思っているけど、それは絶対に言わない。言ったら本当に出してもらえなくなくなるから。
玄武は当たり前のように香子を己の室に運んだ。
『玄武様、しませんからね』
『……だめか』
『毎晩してるじゃないですか』
『……足りぬ』
拗ねたように言われて、香子は赤くなった。
(もうっ、どんだけ絶倫なのっ!)
居間の長椅子に腰掛けるよう、香子は玄武を促した。床でごろごろするのもいいが、絶対ごろごろするだけでは済まない。四神は花嫁を愛しているから、共にいれば触れるのが当たり前なのだ。香子としては身体だけ? と言いたくなってしまうが、それが四神なのだからしかたない。だから少しでも昼間は回避したいと香子は思うのだ。
『……先ほどはすいませんでした』
『何を謝る』
皇太后に対して、脅すようなことを言わせてしまった。何かあった時冷静な判断をしてもらおうと思って玄武にお願いしたのだが、香子は人選を間違えた。かといって白虎だけでは対応が難しい場面も多い。
(次は朱雀様に来ていただいた方がいいのかな……)
亀の甲より年の劫というか、亀の甲も年の劫もある玄武にあのようなことを言わせてしまった自分に、香子は自己嫌悪した。
『大祭の出欠は私がどうにかしなければいけないのに……』
『……あやつらは我らの事情を知らぬ。そなたが出る出ないに関わらず大祭は行われるのだ。香子、そなたばかりが悩むことではない』
少し難しかったが、玄武の言っていることは理解できた。香子が出る出ないに限らず大祭は行われる。開催日が近いこともあり、香子が出られなかった時のことも想定して準備はしているだろう。
(そうよね。私たちが出なくたって大丈夫……)
春の大祭には出たのだ。意図はしていなかったが朱雀と青龍が本性を現し、王都の上を飛んだ。たくさんの人がそれを目撃し、天に祈りを捧げたという。
それでいいではないか。もう香子は務めを果たしたのだ。
『そうですよね……』
香子は全て自分に責任があると思っていた。四神は絶対に出たがらないから、香子が声をかけなければ四神が顔を出すことはありえない。それは間違いないが、大祭に出る義務もないのだ。
(気張りすぎてたのかも……)
だけど。
『でも、私が出たいので』
香子は自分を抱いている玄武をまっすぐに見た。玄武の眉が一瞬ピクリとしたように見えた。
『私、お祭りって大好きなんです。とてもわくわくするし、みんなが楽しんでいるのがわかるから』
『そうか』
『でも……その為に白虎様に抱かれるのはやっぱり違うかなとは思うんです』
結局思考は堂々巡りだ。卵が先か鶏が先かではないけど、大祭に出たいから抱かれるのと、大祭が抱かれる口実になるのとでは違うと香子は思う。
『そなたは……白虎が好きか』
香子は首を傾げた。
『好き、なんだと思うんです』
『はっきりせぬものなのだな』
いろいろなことがありすぎて香子にもよくわからないのだ。
『でも、好きじゃなければ今日みたいに抱き上げられて移動するのも嫌ですよ』
『そういうものなのか?』
四神自体が誰かに抱き上げられて移動するなんてシチュは、思いつかないからしょうがないかもしれない。
『うーん……』
香子は少し想像してみることにした。例えば、白雲に抱き上げられて移動するとかどうだろう。香子は首を振った。
『……ないですね。四神の眷属でもないです。黒月なら恋愛感情っぽいものとは無縁ですからいいですけど』
もし何かあったとして、四神以外で抱き上げられる必要があったとしたらそれは黒月に頼むことになるだろう。
『そなたがそう言うのならばそうなのだろう』
心なしか、玄武が嬉しそうに見えた。香子はあえて趙文英や王英明を引き合いには出さなかった。香子だって学習するのである。
『白虎の本性か』
『……ですね。あれが一番の問題です』
『そればかりは我らがどうにかできるものではない』
『ですよね』
いっそのこと、面倒くさいから白虎に寝込みを襲ってもらうというのはどうだろうと思ったが、それで香子がトラウマになったら目も当てられない。やはり香子が納得しない限り交わるのは難しいだろう。
やっと玄武の機嫌が直ったように、香子には思えた。やはり玄武には泰然としていてほしい。
『……どうしたらいいと思います?』
『そなたの思うようにするといい』
即答された。
(そうだよね。結局決めるのは私自身だもんね)
『夜の散歩に行きたいです』
『我も共にでよいのか』
『玄武様がどのように移動されるのか興味があります!』
亀ってどう動くのかなぁと香子は思った。いくらなんでもガメラみたいに火を噴きながら回転して移動なんかしないだろう。
(し、しないよね?)
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