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第4部 四神を愛しなさいと言われました
30.何事も過ぎてはいけないのです
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延夕玲を通して、香子は厨房へ要望を送った。
もちろん主官である趙文英にも報告をしてもらった。
『花嫁様、厨師たちはとても悲しんでいました。理由を知りたいと言われましたが、それは断って参りました』
『ありがとう……』
空腹を覚える時間がないと四神に抱き潰されてしまうだなんて、香子にはとても言えなかった。
『ですが、お伺いしてもよろしいでしょうか?』
さすがに夕玲には言わなければいけないだろうと、しぶしぶではあったが香子は理由を話した。
夕玲と侍女たちは『まぁ……』と声を出して絶句した。頬がほんのりと染まっている。香子はいたたまれなくなった。
一番最初に復帰したのは夕玲だった。
『花嫁様、朝食と昼食の量は増やしても問題はないのでしょうか?』
『それは……たぶん大丈夫だと思うわ。でも夕飯の量は……』
『そうですね。ではそのように厨房へは伝えましょう。確かに……花嫁様の召し上がる量が増えているとは聞いておりましたが、そのような弊害があるなんて……』
夕玲が困ったように言う。香子はそれで思い出した。
『あ、でも……』
ただそれは言いづらいといえば言いづらいことである。けれど言わなければ香子が困るので、そのまま続けた。
『ええと……青龍様と過ごすことになる日は夕飯の量を増やしてもらいたい……かな……』
言いながら香子は己の頬が熱くなるのを感じた。それを見ていた夕玲や侍女たちの頬も更に赤くなる。みな、香子が青龍に抱かれる日のことを思い出したのだった。
(青龍様って龍、なんだよね? なんであんなに時間が長くなるんだろう……)
前にも聞いたような気がするが、それでひどい目に遭ったような気が香子はした。それにしてもと香子は首を傾げた。朱雀の熱もそうなのだが、抱かれている最中はひどく気持ちがいいだけで何を口走っているかもその時はわからなくなってしまう。でも朝になれば自分の科白とか、何をされたとか覚えているから毎朝身もだえているわけで。
だというのに、何故か青龍に抱かれて力尽きて眠り、目覚めた後は一部ぼんやりしているように香子は思えるのだ。
(あれ? なんで青龍様に抱かれた後の朝ってあんなに記憶があいまいなんだろう……)
疑問に思うことだらけだが、聞けば確実にひどい目に遭うことはわかっているので心の中に留めておくことにした。きっと今はまだ香子が知るべきではないのだろうと蓋をして。
それにしても、春節が近いというのに四神宮はいつも通りである。
今日は青龍と過ごす日だ。
もう玄武や朱雀と日中過ごしてもかまわないといえばかまわないが、毎晩のように抱き合っているということもあり、日中はやはり白虎と青龍を優先して、香子は共に過ごすことにしている。
『青龍様に迎えに来ていただきたいわ』
そう呟けば夕玲が動いた。
一人しかいない女官を動かすのは、香子としてもいけないような気がする。夕玲は途中誰かに言付けできたのか、すぐに戻ってきた。
『夕玲、ありがとう』
夕玲は膝を少し曲げて両手をおなかに当てる礼をした。確かあれは万福礼というのではなかったかと香子はなんとなく思った。
(今日はどうしようかな)
春節の前である。四神宮は全体的に過ごしやすい気候だが、さすがに庭でお茶をするには向かない季節だ。気候自体は四神のおかげで快適だが、風などは遮れない為風が吹くとさすがに寒い。それでも香子としては青龍の室にいるより外にいる方が気が楽ではある。
なにせ最近は青龍も香子と共にいる時は手を出してくるようになってしまったからだった。
口づけをされながら身体に触れられると、香子もすぐに抵抗ができなくなってしまう。花嫁の身体は四神の為に日々作り変えられているので、香子が感じやすくなっているのは仕方のないことなのだが、香子は己の身体の反応に慣れないままだった。
お茶を飲みながら考えている間に、青龍が香子を迎えにきた。
『香子』
『青龍様』
香子はいつも通り両手を伸ばした。青龍は当たり前のように香子を抱き上げる。その光景を見て、侍女たちは内心ため息を吐いた。
花嫁が四神に抱き上げられている姿は一幅の絵のようである。それを侍女たちは密かに眼福だと身もだえているのだった。
『青龍様、今日は庭でお茶がしたいのですが……』
『我の室ではいけないのか?』
香子は頬を染め、青龍の腕に触れた。この先は誰にも聞かれたくなかったから、香子は心話で青龍に話すことにした。
《だって青龍様の室だと……》
《我の室だとなんだ?》
青龍の口元がほんの少しだけ上がる。青龍がニヤリとしているのがわかって、香子はムッとした。
《だって青龍様、最近私の身体を触るではありませんか》
《今も触れているぞ》
《そうではなくて……》
青龍がわかっていて言っているのも香子はわかっている。
《意地悪な青龍様は嫌です……》
だから拗ねてみせた。
《……わかった。昼までは庭に向かおう》
青龍がほんのりと笑みを浮かべ、譲歩した。
『東側の庭で過ごす。用意するように伝えよ』
『かしこまりました』
夕玲が返事をする。そして青龍は香子を抱いたまま渡り廊下に出た。
今日も晴れていて、空がとても青い。
(北京の空も晴れてはいたけど)
元の世界にいた時は、こんなに澄み切ってはいなかったなと香子は思った。
もちろん主官である趙文英にも報告をしてもらった。
『花嫁様、厨師たちはとても悲しんでいました。理由を知りたいと言われましたが、それは断って参りました』
『ありがとう……』
空腹を覚える時間がないと四神に抱き潰されてしまうだなんて、香子にはとても言えなかった。
『ですが、お伺いしてもよろしいでしょうか?』
さすがに夕玲には言わなければいけないだろうと、しぶしぶではあったが香子は理由を話した。
夕玲と侍女たちは『まぁ……』と声を出して絶句した。頬がほんのりと染まっている。香子はいたたまれなくなった。
一番最初に復帰したのは夕玲だった。
『花嫁様、朝食と昼食の量は増やしても問題はないのでしょうか?』
『それは……たぶん大丈夫だと思うわ。でも夕飯の量は……』
『そうですね。ではそのように厨房へは伝えましょう。確かに……花嫁様の召し上がる量が増えているとは聞いておりましたが、そのような弊害があるなんて……』
夕玲が困ったように言う。香子はそれで思い出した。
『あ、でも……』
ただそれは言いづらいといえば言いづらいことである。けれど言わなければ香子が困るので、そのまま続けた。
『ええと……青龍様と過ごすことになる日は夕飯の量を増やしてもらいたい……かな……』
言いながら香子は己の頬が熱くなるのを感じた。それを見ていた夕玲や侍女たちの頬も更に赤くなる。みな、香子が青龍に抱かれる日のことを思い出したのだった。
(青龍様って龍、なんだよね? なんであんなに時間が長くなるんだろう……)
前にも聞いたような気がするが、それでひどい目に遭ったような気が香子はした。それにしてもと香子は首を傾げた。朱雀の熱もそうなのだが、抱かれている最中はひどく気持ちがいいだけで何を口走っているかもその時はわからなくなってしまう。でも朝になれば自分の科白とか、何をされたとか覚えているから毎朝身もだえているわけで。
だというのに、何故か青龍に抱かれて力尽きて眠り、目覚めた後は一部ぼんやりしているように香子は思えるのだ。
(あれ? なんで青龍様に抱かれた後の朝ってあんなに記憶があいまいなんだろう……)
疑問に思うことだらけだが、聞けば確実にひどい目に遭うことはわかっているので心の中に留めておくことにした。きっと今はまだ香子が知るべきではないのだろうと蓋をして。
それにしても、春節が近いというのに四神宮はいつも通りである。
今日は青龍と過ごす日だ。
もう玄武や朱雀と日中過ごしてもかまわないといえばかまわないが、毎晩のように抱き合っているということもあり、日中はやはり白虎と青龍を優先して、香子は共に過ごすことにしている。
『青龍様に迎えに来ていただきたいわ』
そう呟けば夕玲が動いた。
一人しかいない女官を動かすのは、香子としてもいけないような気がする。夕玲は途中誰かに言付けできたのか、すぐに戻ってきた。
『夕玲、ありがとう』
夕玲は膝を少し曲げて両手をおなかに当てる礼をした。確かあれは万福礼というのではなかったかと香子はなんとなく思った。
(今日はどうしようかな)
春節の前である。四神宮は全体的に過ごしやすい気候だが、さすがに庭でお茶をするには向かない季節だ。気候自体は四神のおかげで快適だが、風などは遮れない為風が吹くとさすがに寒い。それでも香子としては青龍の室にいるより外にいる方が気が楽ではある。
なにせ最近は青龍も香子と共にいる時は手を出してくるようになってしまったからだった。
口づけをされながら身体に触れられると、香子もすぐに抵抗ができなくなってしまう。花嫁の身体は四神の為に日々作り変えられているので、香子が感じやすくなっているのは仕方のないことなのだが、香子は己の身体の反応に慣れないままだった。
お茶を飲みながら考えている間に、青龍が香子を迎えにきた。
『香子』
『青龍様』
香子はいつも通り両手を伸ばした。青龍は当たり前のように香子を抱き上げる。その光景を見て、侍女たちは内心ため息を吐いた。
花嫁が四神に抱き上げられている姿は一幅の絵のようである。それを侍女たちは密かに眼福だと身もだえているのだった。
『青龍様、今日は庭でお茶がしたいのですが……』
『我の室ではいけないのか?』
香子は頬を染め、青龍の腕に触れた。この先は誰にも聞かれたくなかったから、香子は心話で青龍に話すことにした。
《だって青龍様の室だと……》
《我の室だとなんだ?》
青龍の口元がほんの少しだけ上がる。青龍がニヤリとしているのがわかって、香子はムッとした。
《だって青龍様、最近私の身体を触るではありませんか》
《今も触れているぞ》
《そうではなくて……》
青龍がわかっていて言っているのも香子はわかっている。
《意地悪な青龍様は嫌です……》
だから拗ねてみせた。
《……わかった。昼までは庭に向かおう》
青龍がほんのりと笑みを浮かべ、譲歩した。
『東側の庭で過ごす。用意するように伝えよ』
『かしこまりました』
夕玲が返事をする。そして青龍は香子を抱いたまま渡り廊下に出た。
今日も晴れていて、空がとても青い。
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