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第2部 嫁ぎ先を決めろと言われました
4.気持ちはわからないでもない(白雲視点)
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その日の朝、白雲はここ数日と変わらない時刻に白虎の室に入った。眷族は四神のサポートをする為にこちらへ来ているが、基本四神は身の周りのことは自分でできる。しかも白虎は花嫁である香子に積極的にアピールをしているわけでもないから今のところそれほど白雲の仕事はない。ただここにいる眷族の中では最年長なので自然と頼られる立場ではあった。
昼の間特に声をかけられなければ白雲は白虎の室で過ごす。せいぜい白虎にお茶を入れるぐらいしかやることはないがずっとそうしてきているのでどうということもない。朝夕は青藍と交代で趙文英や王英明と予定等の確認をする。
その日の朝はもしかしたら香子が御花園に行きたがるのではないかと待っていたが、声がかかることはなかった。おそらく玄武と朱雀が起こそうとしないのだろうということは予想できていたので、時間が過ぎてから白虎の室に向かったのだった。
朝食に香子が起きてくることはないので白虎も食堂に向かうことはない。香子が食べるのでなければわざわざ食べに行く必要もないのだ。かくいう白雲も第一世代の為それほど空腹を感じることはない。だがここ数日は強制的に部屋に連れ込んでいる侍女頭―陳秀美に精を与えているせいか、朝だけは空腹を感じるようになった。とはいえ陳は基本毎日仕事があるので翌日にさわるような抱き方はできない。体調については回復させることはできるが精神はそうもいかない。白雲としては今のところそれだけが不満であった。
閑話休題。
いつものように白虎が起きてくるのを待っていると予想よりも少しばかり早く寝室から呼ばれた。
『何か』
寝室に入ると白虎はだらしなく寝台に寝転がったままだった。白雲の顔を見ると肩肘をつき面倒臭そうに告げる。
『兄らが香子に追い出されたそうだ。もしかしたらそなたに声がかかるやもしれぬ』
『……承知しました』
表情には出さなかったが白雲は多少なりとも驚いていた。とりあえず白虎にお茶を入れ、いつ表から声をかけられてもいいように室の扉のそばに控える。
そして何故二神を追い出したのだろうと考える。花嫁の反応は陳が白雲に恥らうのとなんら変わりないものに見えていただけに、そこまでする理由が思いつかない。女性の心理が難解だということは己を産んだ先代の白虎の花嫁だった張燕を見てなんとなく知っていたが、それが女性だからなのか、それとも花嫁特有のものなのかは判別がつかなかった。
そうしているうちに白虎が言った通り室の表から声がかかった。紅夏だった。
白虎が行ってこいというようにぞんざいに手を振る。白雲は拱手すると室の表に出た。
『如何した』
『玄武様と朱雀様が花嫁様を置いて出て行かれまして。黒月が兄を呼んでくるようにと』
紅夏は淡々と事実のみを白雲に告げた。
『わかった。して、花嫁様は何をされている?』
『朝食をとられています』
『そうか。玄武様と朱雀様が室を出られた理由はわかるか』
朝食中ならばそれほど急ぐことはないだろうと紅夏に聞いたが、彼は『どうも花嫁様に追い出されたようだということ以外は何も』と答えた。直接聞いた方がいいということだろう。
『朝食を終えられる頃に向かう。先に戻れ』
そう言って紅夏を追い返す。そして陳の気配を探した。彼女はちょうど玄武の室の近くにいるようだった。そちらに向かい、声をかける。
『……白雲様』
陳は白雲に気付くとほんのりと頬を染めた。
『花嫁様の朝食を運んだのか』
『はい』
『様子はどうであった』
聞くと陳は少し困ったような顔をした。
『主観になりますが……少しお寂しそうに』
『わかった。後で呼ぶやもしれぬ。近くにいるように』
そう言って一瞬だけ陳の腰に手で触れる。陳は『まぁ』とでも言いたげな表情をし、そっと目を伏せた。
そろそろ食事を終えただろう頃に玄武の室に足を向ける。扉の前に紅夏がおり、白雲の顔を見ると中に声をかけた。そして扉を開く。
白雲は軽く頷くと室に足を踏み入れた。
顔を上げた香子は、確かに少し元気がないように見えた。
『お呼び立てして申し訳ありません』
黒月が進み出る。用があるのは黒月のようだった。
『如何した』
尋ねると黒月は考えるように眉根を寄せた。そして香子に確認しながらことの次第を話す。
……つまるところ問題は花嫁が朝起きれないことにあるようだった。
『ですが……体の回復はどうしているのですか?』
四神であれば香子が休んだ後に回復を施すなど朝飯前のはずである。簡単なことだと言うと香子は泣きそうな、それでいて怒ったような表情をした。
『それって……もしかして舐めなくても回復ってできるんですか?』
意を決したような香子の問いに、白雲が『舐める?』と聞き返す。それに何故か香子は、
『信じられない!』と怒鳴った。
どうやら二神は香子の地雷を踏んでしまったらしい。
おそらく回復させるには身体の該当する部分を舐めなければいけないなど欲望丸出しなことを言ったのだろう。男としてわからないでもないが、とあまり動かない表情の下で白雲は少しだけ同情した。
昼の間特に声をかけられなければ白雲は白虎の室で過ごす。せいぜい白虎にお茶を入れるぐらいしかやることはないがずっとそうしてきているのでどうということもない。朝夕は青藍と交代で趙文英や王英明と予定等の確認をする。
その日の朝はもしかしたら香子が御花園に行きたがるのではないかと待っていたが、声がかかることはなかった。おそらく玄武と朱雀が起こそうとしないのだろうということは予想できていたので、時間が過ぎてから白虎の室に向かったのだった。
朝食に香子が起きてくることはないので白虎も食堂に向かうことはない。香子が食べるのでなければわざわざ食べに行く必要もないのだ。かくいう白雲も第一世代の為それほど空腹を感じることはない。だがここ数日は強制的に部屋に連れ込んでいる侍女頭―陳秀美に精を与えているせいか、朝だけは空腹を感じるようになった。とはいえ陳は基本毎日仕事があるので翌日にさわるような抱き方はできない。体調については回復させることはできるが精神はそうもいかない。白雲としては今のところそれだけが不満であった。
閑話休題。
いつものように白虎が起きてくるのを待っていると予想よりも少しばかり早く寝室から呼ばれた。
『何か』
寝室に入ると白虎はだらしなく寝台に寝転がったままだった。白雲の顔を見ると肩肘をつき面倒臭そうに告げる。
『兄らが香子に追い出されたそうだ。もしかしたらそなたに声がかかるやもしれぬ』
『……承知しました』
表情には出さなかったが白雲は多少なりとも驚いていた。とりあえず白虎にお茶を入れ、いつ表から声をかけられてもいいように室の扉のそばに控える。
そして何故二神を追い出したのだろうと考える。花嫁の反応は陳が白雲に恥らうのとなんら変わりないものに見えていただけに、そこまでする理由が思いつかない。女性の心理が難解だということは己を産んだ先代の白虎の花嫁だった張燕を見てなんとなく知っていたが、それが女性だからなのか、それとも花嫁特有のものなのかは判別がつかなかった。
そうしているうちに白虎が言った通り室の表から声がかかった。紅夏だった。
白虎が行ってこいというようにぞんざいに手を振る。白雲は拱手すると室の表に出た。
『如何した』
『玄武様と朱雀様が花嫁様を置いて出て行かれまして。黒月が兄を呼んでくるようにと』
紅夏は淡々と事実のみを白雲に告げた。
『わかった。して、花嫁様は何をされている?』
『朝食をとられています』
『そうか。玄武様と朱雀様が室を出られた理由はわかるか』
朝食中ならばそれほど急ぐことはないだろうと紅夏に聞いたが、彼は『どうも花嫁様に追い出されたようだということ以外は何も』と答えた。直接聞いた方がいいということだろう。
『朝食を終えられる頃に向かう。先に戻れ』
そう言って紅夏を追い返す。そして陳の気配を探した。彼女はちょうど玄武の室の近くにいるようだった。そちらに向かい、声をかける。
『……白雲様』
陳は白雲に気付くとほんのりと頬を染めた。
『花嫁様の朝食を運んだのか』
『はい』
『様子はどうであった』
聞くと陳は少し困ったような顔をした。
『主観になりますが……少しお寂しそうに』
『わかった。後で呼ぶやもしれぬ。近くにいるように』
そう言って一瞬だけ陳の腰に手で触れる。陳は『まぁ』とでも言いたげな表情をし、そっと目を伏せた。
そろそろ食事を終えただろう頃に玄武の室に足を向ける。扉の前に紅夏がおり、白雲の顔を見ると中に声をかけた。そして扉を開く。
白雲は軽く頷くと室に足を踏み入れた。
顔を上げた香子は、確かに少し元気がないように見えた。
『お呼び立てして申し訳ありません』
黒月が進み出る。用があるのは黒月のようだった。
『如何した』
尋ねると黒月は考えるように眉根を寄せた。そして香子に確認しながらことの次第を話す。
……つまるところ問題は花嫁が朝起きれないことにあるようだった。
『ですが……体の回復はどうしているのですか?』
四神であれば香子が休んだ後に回復を施すなど朝飯前のはずである。簡単なことだと言うと香子は泣きそうな、それでいて怒ったような表情をした。
『それって……もしかして舐めなくても回復ってできるんですか?』
意を決したような香子の問いに、白雲が『舐める?』と聞き返す。それに何故か香子は、
『信じられない!』と怒鳴った。
どうやら二神は香子の地雷を踏んでしまったらしい。
おそらく回復させるには身体の該当する部分を舐めなければいけないなど欲望丸出しなことを言ったのだろう。男としてわからないでもないが、とあまり動かない表情の下で白雲は少しだけ同情した。
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