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第2部 嫁ぎ先を決めろと言われました
76.とうとう流されました ※R13
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香子は混乱していた。
と同時にほんの少しだが安堵もあった。
玄武と朱雀とはなんとなく勢いでそういう関係になってしまった感があるが、青龍や白虎についてはそうもいかない。
特急列車に乗って駅をいくつもとばしてきたはいいが突然止まってしまったかんじといえばいいのだろうか。この先どう進めばいいのか香子は途方に暮れていたのだ。
四神の花嫁は全員に抱かれることで安定する。香子もそれは聞いていたがはっきり理解しているとはいえなかった。つまり現在の香子は文字通り不安定なのである。
夕飯時に玄武から『今宵はしっかり食べておくように』と言われ首を傾げながら香子は頷いた。
浴室では侍女たちが満面の笑みで待っていた。
いつもより念入りに磨かれマッサージされ、薄絹の夜着を着せられる。毎晩のことながら侍女たちに閨事情を知られているというのは香子としては恥ずかしい。今夜は青龍とも過ごすということはすでに通達済なのだろう。
浴室を出るとそこで青龍が待っていた。
『……青龍様……』
『おいで』
手招かれ抱き上げられる。香子は胸がきゅうっとしめつけられたような感覚に息を喘がせた。
背後で侍女たちが息を飲んだがもうそれを気にする余裕もない。香子は青龍の胸にこてんと頭をもたせかけた。何を言ったらいいのかわからなくて。
そんな香子を青龍は愛しくてならないというように見つめ踵を返した。
そうして連れて行かれたのは玄武の室で。
『え……?』
てっきり青龍の室に連れて行かれると思っていたので、香子は思わず疑問の声を上げた。
『香子、そなたと交わるのは青龍だ。我らは見守り役にすぎぬ。安心せよ』
玄武にそう言われてやっぱり香子は首を傾げた。何を安心するというのだろう。朱雀も共におり、寝室に運ばれた。
『先に言っておくが、青龍との交わりは丸一日続く。その間の回復は我らが担う故そなたはただ身を任せておればいい。わかったな?』
朱雀が真面目な顔をして告げるのに香子は顔を真っ赤にして頷いた。
だから見守り役が必要なのだと合点したが、行為を見られるというのも恥ずかしい。先代の花嫁もこんな思いをしたのだろうかと考えたが質問をする余裕もなかった。
床に優しく下ろされ、そこへ青龍が覆いかぶさってくる。
『香子』
声は相変わらず涼やかだ。
『そなたを抱く。つらければ殴っても噛みついてもよい。我をどうか受け入れてくれ……』
不穏な内容に香子はもうどんな顔をしたらいいかわからなかった。けれどただ受け身でいるのもよくないと思い、香子はおずおずとその首に腕を絡めた。
『……っっ!!』
『……あの、どうかお手柔らかに……』
『保証はできぬ』
『え』
もう黙れというように青龍は香子に口づける。口唇に触れ、角度を変えて何度もついばまれ、やがてそれはすぐに深くなった。
* *
いつまでも続く快感に翻弄され、何度も意識を失っては浮上するをくり返していたような気がする。
途中から意識が霞みがかったようになり、ただただ全身が気持ちよかった。ぼんやりとそこまで思って香子は真っ赤になった。
『香子』
後ろから抱き込まれ、耳元で囁かれる。
玄武でもない朱雀でもない涼やかな声。身体が浄化されるような音に愛しさを覚え、回された腕をぎゅっと抱きしめ、ほうっと息を吐いた。
『大事ないか?』
心配そうに聞かれ、コクリと頷く。目の前には玄武がおり、香子の髪を優しく撫でていた。
『……朱雀様は?』
『戻った』
確かに床は大きいが四神の身体の大きさを考えると寝る場所が確保できるとは言い難い。香子は納得したと同時に少しだけ朱雀に悪いような気がした。
『……今何時ですか?』
四神宮の中にいると感覚が麻痺してしまうのだが、なんだかとても長い時間抱かれ続けていたように感じた。
『酉の刻ぐらいだろう』
(酉というと……夕方五時から七時ぐらい?)
十二時辰を思い出し大体の時間を割り出す。そんなに長い間抱かれていたのか寝ていたのか。どちらにせよ時間がワープしているような感覚に捕らわれた。
『んっ……』
慣れた仕草で玄武に口づけられ、素直に受け入れる。慈しむような甘い舌遣いにうっとりする。背後から香子を抱きしめる青龍の腕に少しだけ力がこもった。自分のことも気にしろということだろうか。香子は喉の奥でふふっと笑った。
あれほど葛藤したことだが、過ぎてしまえばなんてことはなかった。もちろんあの葛藤の日々は無駄ではなかった。あれらは確かに香子にとって必要だったのだ。
『……おなかすきました』
口唇を放されて呟けば心得たように玄武が頷く。
『青龍、そなたも空腹だろう。しばし待て』
『……これが空腹という感覚ですか』
青龍の背後からの呟きに、香子は目の前にいる玄武をまじまじと見つめた。
(もしかして玄武様は……)
それは言葉にできなかった。玄武が床を降りる。長袍を羽織る姿がとても綺麗で香子は見惚れた。
『様子を見てくる』
そう言い残して玄武は寝室を出て行った。
『玄武兄は素敵だろう』
背後から抱きしめられたまま言われた科白に香子は素直に頷いた。身体はきっとひどく疲れているのに、心はどうしてかいつになく穏やかだった。
と同時にほんの少しだが安堵もあった。
玄武と朱雀とはなんとなく勢いでそういう関係になってしまった感があるが、青龍や白虎についてはそうもいかない。
特急列車に乗って駅をいくつもとばしてきたはいいが突然止まってしまったかんじといえばいいのだろうか。この先どう進めばいいのか香子は途方に暮れていたのだ。
四神の花嫁は全員に抱かれることで安定する。香子もそれは聞いていたがはっきり理解しているとはいえなかった。つまり現在の香子は文字通り不安定なのである。
夕飯時に玄武から『今宵はしっかり食べておくように』と言われ首を傾げながら香子は頷いた。
浴室では侍女たちが満面の笑みで待っていた。
いつもより念入りに磨かれマッサージされ、薄絹の夜着を着せられる。毎晩のことながら侍女たちに閨事情を知られているというのは香子としては恥ずかしい。今夜は青龍とも過ごすということはすでに通達済なのだろう。
浴室を出るとそこで青龍が待っていた。
『……青龍様……』
『おいで』
手招かれ抱き上げられる。香子は胸がきゅうっとしめつけられたような感覚に息を喘がせた。
背後で侍女たちが息を飲んだがもうそれを気にする余裕もない。香子は青龍の胸にこてんと頭をもたせかけた。何を言ったらいいのかわからなくて。
そんな香子を青龍は愛しくてならないというように見つめ踵を返した。
そうして連れて行かれたのは玄武の室で。
『え……?』
てっきり青龍の室に連れて行かれると思っていたので、香子は思わず疑問の声を上げた。
『香子、そなたと交わるのは青龍だ。我らは見守り役にすぎぬ。安心せよ』
玄武にそう言われてやっぱり香子は首を傾げた。何を安心するというのだろう。朱雀も共におり、寝室に運ばれた。
『先に言っておくが、青龍との交わりは丸一日続く。その間の回復は我らが担う故そなたはただ身を任せておればいい。わかったな?』
朱雀が真面目な顔をして告げるのに香子は顔を真っ赤にして頷いた。
だから見守り役が必要なのだと合点したが、行為を見られるというのも恥ずかしい。先代の花嫁もこんな思いをしたのだろうかと考えたが質問をする余裕もなかった。
床に優しく下ろされ、そこへ青龍が覆いかぶさってくる。
『香子』
声は相変わらず涼やかだ。
『そなたを抱く。つらければ殴っても噛みついてもよい。我をどうか受け入れてくれ……』
不穏な内容に香子はもうどんな顔をしたらいいかわからなかった。けれどただ受け身でいるのもよくないと思い、香子はおずおずとその首に腕を絡めた。
『……っっ!!』
『……あの、どうかお手柔らかに……』
『保証はできぬ』
『え』
もう黙れというように青龍は香子に口づける。口唇に触れ、角度を変えて何度もついばまれ、やがてそれはすぐに深くなった。
* *
いつまでも続く快感に翻弄され、何度も意識を失っては浮上するをくり返していたような気がする。
途中から意識が霞みがかったようになり、ただただ全身が気持ちよかった。ぼんやりとそこまで思って香子は真っ赤になった。
『香子』
後ろから抱き込まれ、耳元で囁かれる。
玄武でもない朱雀でもない涼やかな声。身体が浄化されるような音に愛しさを覚え、回された腕をぎゅっと抱きしめ、ほうっと息を吐いた。
『大事ないか?』
心配そうに聞かれ、コクリと頷く。目の前には玄武がおり、香子の髪を優しく撫でていた。
『……朱雀様は?』
『戻った』
確かに床は大きいが四神の身体の大きさを考えると寝る場所が確保できるとは言い難い。香子は納得したと同時に少しだけ朱雀に悪いような気がした。
『……今何時ですか?』
四神宮の中にいると感覚が麻痺してしまうのだが、なんだかとても長い時間抱かれ続けていたように感じた。
『酉の刻ぐらいだろう』
(酉というと……夕方五時から七時ぐらい?)
十二時辰を思い出し大体の時間を割り出す。そんなに長い間抱かれていたのか寝ていたのか。どちらにせよ時間がワープしているような感覚に捕らわれた。
『んっ……』
慣れた仕草で玄武に口づけられ、素直に受け入れる。慈しむような甘い舌遣いにうっとりする。背後から香子を抱きしめる青龍の腕に少しだけ力がこもった。自分のことも気にしろということだろうか。香子は喉の奥でふふっと笑った。
あれほど葛藤したことだが、過ぎてしまえばなんてことはなかった。もちろんあの葛藤の日々は無駄ではなかった。あれらは確かに香子にとって必要だったのだ。
『……おなかすきました』
口唇を放されて呟けば心得たように玄武が頷く。
『青龍、そなたも空腹だろう。しばし待て』
『……これが空腹という感覚ですか』
青龍の背後からの呟きに、香子は目の前にいる玄武をまじまじと見つめた。
(もしかして玄武様は……)
それは言葉にできなかった。玄武が床を降りる。長袍を羽織る姿がとても綺麗で香子は見惚れた。
『様子を見てくる』
そう言い残して玄武は寝室を出て行った。
『玄武兄は素敵だろう』
背後から抱きしめられたまま言われた科白に香子は素直に頷いた。身体はきっとひどく疲れているのに、心はどうしてかいつになく穏やかだった。
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