605 / 653
第4部 四神を愛しなさいと言われました
153.いろいろ自覚が足りないと言われています ※R15
しおりを挟む
書の練習を終えた後、香子は一旦侍女に囲まれて部屋に戻された。
白虎が止める間もなかった。
『お召替えが必要でございます』
侍女頭の陳秀美がきっぱりと断った。墨の匂いをさせたまま白虎の室へ香子が向かうのはいけないようだ。でもそんなこと以前はなかったのに(たまにはあった)と香子は思ったが、あのままだと白虎に寝室へ連れ込まれそうな気がしたからこれはこれでいい。
とはいえ、髪をいじられたり、衣裳を着せられたりするのも香子にとっては面倒だった。
(せっかくキレイにしてくれるんだから!)
と香子は自分に言い聞かせておとなしくする。
香子の肌は透き通るように白くなっていてとても美しいので、化粧はあまりしない。
頬に赤みをさし、唇に紅をはくぐらいである。
髪は軽く結い直され、香子の部屋の居間で待っていた白虎に香子は引き渡された。
『香子』
嬉しそうに抱き上げられて、なんだかなぁと香子は思う。
衣裳を褒められることはないが、香子が愛しくてたまらないという目を向けられれば、そんな些細な不満などすぐに霧散してしまう。
そうして今度こそ白虎の室に運ばれて、寝室へと連れていかれた。
「んんっ……」
床に優しく押し倒されて、香子は口唇を塞がれてしまう。
衣裳はすぐにはだけられ、たわわに育った胸をやわやわと揉まれた。
『んっ……そ、んなに胸がお好き、ですか?』
『ああ、好きだ』
白虎は即答した。香子は絶句した。
白虎は真っ白い胸の、紅い尖りを舌で舐め、そのまま口に含んだ。
「ああっ……」
白虎だけでなく、四神が愛でるから香子は胸をいじられるだけでひどく感じてしまう。
『白虎、さま……お昼は食べたい、です……』
『……そなたは相変わらず色気がないな。だが、そんなそなたも愛おしい……』
昼食の時間まではわずかであったが、その間香子はしっかり白虎に可愛がられてしまった。
(条件反射勘弁……)
昼食の席である。そこで香子が葛藤しているのもいつものことであった。
開き直ろうとしたこともある。しかし香子はどうしても恥ずかしくてしかたないし、昼間は最後まで抱かれない分何が楽しいのかとも考えてしまう。
(いけないいけない、ごはんごはん!)
せっかくおいしいごはんを食べているというのに、四神に触れられている時のことを思い出してしまうなど言語道断と、香子は卵と香菜が包まれた水餃子に舌鼓を打つのだった。
香子に色気がないのはもうどうしようもないことである。
昼食後、白虎が香子を抱き上げようとした時、白雲から声がかかった。
『白虎様、花嫁様はお召替えです。この後皇太后の元へ向かうことになっております』
『……面倒だ』
白虎は舌打ちした。
『香子の部屋へ向かう』
『はい』
白雲は頷いた。香子も白虎の室に連れて行かれては困ってしまうのでほっとした。
白虎はそのまま香子の居間で待とうとしたが、白雲に連れて行かれてしまった。皇太后のところへは白虎と玄武が向かうことになっている。その支度をする為である。
侍女に髪を整えてもらいながら、香子はつい笑ってしまった。
『花嫁様、楽しそうですね』
『ええ……白虎様の白雲に連れて行かれる時の顔ったら……』
『私共には白虎様の表情の変化はわかりづらいのですが、そんなに変わっていらっしゃいましたか?』
『……そうね』
香子はあら? と思ったがそういうものかと思い直した。香子はそれこそ四六時中四神と共にいるので、ほとんど動かない四神の表情がわかるようになっている。だからほんの少し眉を寄せているとか、口角が下がっている等でその心理を多少は読み取れるようになっていた。
『確かに、四神の表情はわかりにくいかもしれないわ。眷属もそうよね。でも、黒月とか白風はわかりやすいけど』
『白風様については同意いたしますが、黒月様は私どもではなんとも……』
『そうかもしれないわね』
髪を整えたり、衣裳を着替えたりするのは面倒だと香子は思っているが、その際にこうしてたまに侍女たちと話せるので嫌いではない。
毎回用意される衣裳も香子の好みで、香子は密かに「コスプレしてるみたい」などと思っていた。
(こっちの女性にとっては当たり前なんだよねぇ)
香子が着ているのは普通の衣裳ではないので当たり前ではないのだが、それを伝える者もいないので全く支障はない。香子が永久に知る必要はないのである。
『お美しい』
『花嫁様には誰も勝てませんわ』
侍女たちは己たちの手で飾り立てた香子を眺め、うっとりと呟いた。これもいつものことである。
『……ありがとう』
礼を言えば延夕玲が『侍女に礼を言う必要はありません』と窘める。
『夕玲は硬すぎるわ。私の部屋でぐらいいいじゃないの』
『もう少し四神の花嫁だということをご自覚なさいませ』
『……それはわかってるけど』
四神の花嫁だからなんだというのかと香子は思う。そんなことを思っているということは夕玲に見透かされていて、皇太后のところへ向かう前に香子は散々説教をされてしまった。
それでも自覚がないのはしょうがない。香子は”四神の花嫁”という存在を根本的には理解していないのだから。
白虎が止める間もなかった。
『お召替えが必要でございます』
侍女頭の陳秀美がきっぱりと断った。墨の匂いをさせたまま白虎の室へ香子が向かうのはいけないようだ。でもそんなこと以前はなかったのに(たまにはあった)と香子は思ったが、あのままだと白虎に寝室へ連れ込まれそうな気がしたからこれはこれでいい。
とはいえ、髪をいじられたり、衣裳を着せられたりするのも香子にとっては面倒だった。
(せっかくキレイにしてくれるんだから!)
と香子は自分に言い聞かせておとなしくする。
香子の肌は透き通るように白くなっていてとても美しいので、化粧はあまりしない。
頬に赤みをさし、唇に紅をはくぐらいである。
髪は軽く結い直され、香子の部屋の居間で待っていた白虎に香子は引き渡された。
『香子』
嬉しそうに抱き上げられて、なんだかなぁと香子は思う。
衣裳を褒められることはないが、香子が愛しくてたまらないという目を向けられれば、そんな些細な不満などすぐに霧散してしまう。
そうして今度こそ白虎の室に運ばれて、寝室へと連れていかれた。
「んんっ……」
床に優しく押し倒されて、香子は口唇を塞がれてしまう。
衣裳はすぐにはだけられ、たわわに育った胸をやわやわと揉まれた。
『んっ……そ、んなに胸がお好き、ですか?』
『ああ、好きだ』
白虎は即答した。香子は絶句した。
白虎は真っ白い胸の、紅い尖りを舌で舐め、そのまま口に含んだ。
「ああっ……」
白虎だけでなく、四神が愛でるから香子は胸をいじられるだけでひどく感じてしまう。
『白虎、さま……お昼は食べたい、です……』
『……そなたは相変わらず色気がないな。だが、そんなそなたも愛おしい……』
昼食の時間まではわずかであったが、その間香子はしっかり白虎に可愛がられてしまった。
(条件反射勘弁……)
昼食の席である。そこで香子が葛藤しているのもいつものことであった。
開き直ろうとしたこともある。しかし香子はどうしても恥ずかしくてしかたないし、昼間は最後まで抱かれない分何が楽しいのかとも考えてしまう。
(いけないいけない、ごはんごはん!)
せっかくおいしいごはんを食べているというのに、四神に触れられている時のことを思い出してしまうなど言語道断と、香子は卵と香菜が包まれた水餃子に舌鼓を打つのだった。
香子に色気がないのはもうどうしようもないことである。
昼食後、白虎が香子を抱き上げようとした時、白雲から声がかかった。
『白虎様、花嫁様はお召替えです。この後皇太后の元へ向かうことになっております』
『……面倒だ』
白虎は舌打ちした。
『香子の部屋へ向かう』
『はい』
白雲は頷いた。香子も白虎の室に連れて行かれては困ってしまうのでほっとした。
白虎はそのまま香子の居間で待とうとしたが、白雲に連れて行かれてしまった。皇太后のところへは白虎と玄武が向かうことになっている。その支度をする為である。
侍女に髪を整えてもらいながら、香子はつい笑ってしまった。
『花嫁様、楽しそうですね』
『ええ……白虎様の白雲に連れて行かれる時の顔ったら……』
『私共には白虎様の表情の変化はわかりづらいのですが、そんなに変わっていらっしゃいましたか?』
『……そうね』
香子はあら? と思ったがそういうものかと思い直した。香子はそれこそ四六時中四神と共にいるので、ほとんど動かない四神の表情がわかるようになっている。だからほんの少し眉を寄せているとか、口角が下がっている等でその心理を多少は読み取れるようになっていた。
『確かに、四神の表情はわかりにくいかもしれないわ。眷属もそうよね。でも、黒月とか白風はわかりやすいけど』
『白風様については同意いたしますが、黒月様は私どもではなんとも……』
『そうかもしれないわね』
髪を整えたり、衣裳を着替えたりするのは面倒だと香子は思っているが、その際にこうしてたまに侍女たちと話せるので嫌いではない。
毎回用意される衣裳も香子の好みで、香子は密かに「コスプレしてるみたい」などと思っていた。
(こっちの女性にとっては当たり前なんだよねぇ)
香子が着ているのは普通の衣裳ではないので当たり前ではないのだが、それを伝える者もいないので全く支障はない。香子が永久に知る必要はないのである。
『お美しい』
『花嫁様には誰も勝てませんわ』
侍女たちは己たちの手で飾り立てた香子を眺め、うっとりと呟いた。これもいつものことである。
『……ありがとう』
礼を言えば延夕玲が『侍女に礼を言う必要はありません』と窘める。
『夕玲は硬すぎるわ。私の部屋でぐらいいいじゃないの』
『もう少し四神の花嫁だということをご自覚なさいませ』
『……それはわかってるけど』
四神の花嫁だからなんだというのかと香子は思う。そんなことを思っているということは夕玲に見透かされていて、皇太后のところへ向かう前に香子は散々説教をされてしまった。
それでも自覚がないのはしょうがない。香子は”四神の花嫁”という存在を根本的には理解していないのだから。
223
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
黒騎士団の娼婦
星森
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
英雄魔術師様とのシークレットベビーが天才で隠し通すのが大変です
氷雨そら
恋愛
――この魔石の意味がわからないほど子どもじゃない。
英雄魔術師カナンが遠征する直前、フィアーナと交わした一夜で授かった愛娘シェリア。フィアーナは、シェリアがカナンの娘であることを隠し、守るために王都を離れ遠い北の地で魔石を鑑定しながら暮らしていた。けれど、シェリアが三歳を迎えた日、彼女を取り囲む全ての属性の魔石が光る。彼女は父と同じ、全属性の魔力持ちだったのだ。これは、シークレットベビーを育てながら、健気に逞しく生きてきたヒロインが、天才魔術師様と天才愛娘に翻弄されながらも溺愛される幸せいっぱいハートフルストーリー。小説家になろうにも投稿しています。
【完結】僻地の修道院に入りたいので、断罪の場にしれーっと混ざってみました。
櫻野くるみ
恋愛
王太子による独裁で、貴族が息を潜めながら生きているある日。
夜会で王太子が勝手な言いがかりだけで3人の令嬢達に断罪を始めた。
ひっそりと空気になっていたテレサだったが、ふと気付く。
あれ?これって修道院に入れるチャンスなんじゃ?
子爵令嬢のテレサは、神父をしている初恋の相手の元へ行ける絶好の機会だととっさに考え、しれーっと断罪の列に加わり叫んだ。
「わたくしが代表して修道院へ参ります!」
野次馬から急に現れたテレサに、その場の全員が思った。
この娘、誰!?
王太子による恐怖政治の中、地味に生きてきた子爵令嬢のテレサが、初恋の元伯爵令息に会いたい一心で断罪劇に飛び込むお話。
主人公は猫を被っているだけでお転婆です。
完結しました。
小説家になろう様にも投稿しています。
喪女なのに狼さんたちに溺愛されています
和泉
恋愛
もふもふの狼がイケメンなんて反則です!
聖女召喚の儀で異世界に呼ばれたのはOL・大学生・高校生の3人。
ズボンを履いていた大学生のヒナは男だと勘違いされ、説明もないまま城を追い出された。
森で怪我をした子供の狼と出会ったヒナは狼族の国へ。私は喪女なのに狼族の王太子、No.1ホストのような武官、真面目な文官が近づいてくるのはなぜ?
ヒナとつがいになりたい狼達の恋愛の行方は?聖女の力で国同士の争いは無くすことができるのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる