異世界で四神と結婚しろと言われました

浅葱

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第4部 四神を愛しなさいと言われました

153.いろいろ自覚が足りないと言われています ※R15

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 書の練習を終えた後、香子は一旦侍女に囲まれて部屋に戻された。
 白虎が止める間もなかった。

『お召替えが必要でございます』

 侍女頭の陳秀美がきっぱりと断った。墨の匂いをさせたまま白虎の室へ香子が向かうのはいけないようだ。でもそんなこと以前はなかったのに(たまにはあった)と香子は思ったが、あのままだと白虎に寝室へ連れ込まれそうな気がしたからこれはこれでいい。
 とはいえ、髪をいじられたり、衣裳を着せられたりするのも香子にとっては面倒だった。

(せっかくキレイにしてくれるんだから!)

 と香子は自分に言い聞かせておとなしくする。
 香子の肌は透き通るように白くなっていてとても美しいので、化粧はあまりしない。
 頬に赤みをさし、唇に紅をはくぐらいである。
 髪は軽く結い直され、香子の部屋の居間で待っていた白虎に香子は引き渡された。

香子シャンズ

 嬉しそうに抱き上げられて、なんだかなぁと香子は思う。
 衣裳を褒められることはないが、香子が愛しくてたまらないという目を向けられれば、そんな些細な不満などすぐに霧散してしまう。
 そうして今度こそ白虎の室に運ばれて、寝室へと連れていかれた。

「んんっ……」

 ベッドに優しく押し倒されて、香子は口唇を塞がれてしまう。
 衣裳はすぐにはだけられ、たわわに育った胸をやわやわと揉まれた。

『んっ……そ、んなに胸がお好き、ですか?』
『ああ、好きだ』

 白虎は即答した。香子は絶句した。
 白虎は真っ白い胸の、紅い尖りを舌で舐め、そのまま口に含んだ。

「ああっ……」

 白虎だけでなく、四神が愛でるから香子は胸をいじられるだけでひどく感じてしまう。

『白虎、さま……お昼は食べたい、です……』
『……そなたは相変わらず色気がないな。だが、そんなそなたも愛おしい……』

 昼食の時間まではわずかであったが、その間香子はしっかり白虎に可愛がられてしまった。


(条件反射勘弁……)

 昼食の席である。そこで香子が葛藤しているのもいつものことであった。
 開き直ろうとしたこともある。しかし香子はどうしても恥ずかしくてしかたないし、昼間は最後まで抱かれない分何が楽しいのかとも考えてしまう。

(いけないいけない、ごはんごはん!)

 せっかくおいしいごはんを食べているというのに、四神に触れられている時のことを思い出してしまうなど言語道断と、香子は卵と香菜が包まれた水餃子に舌鼓を打つのだった。
 香子に色気がないのはもうどうしようもないことである。
 昼食後、白虎が香子を抱き上げようとした時、白雲から声がかかった。

『白虎様、花嫁様はお召替えです。この後皇太后の元へ向かうことになっております』
『……面倒だ』

 白虎は舌打ちした。

『香子の部屋へ向かう』
『はい』

 白雲は頷いた。香子も白虎の室に連れて行かれては困ってしまうのでほっとした。
 白虎はそのまま香子の居間で待とうとしたが、白雲に連れて行かれてしまった。皇太后のところへは白虎と玄武が向かうことになっている。その支度をする為である。
 侍女に髪を整えてもらいながら、香子はつい笑ってしまった。

『花嫁様、楽しそうですね』
『ええ……白虎様の白雲に連れて行かれる時の顔ったら……』
『私共には白虎様の表情の変化はわかりづらいのですが、そんなに変わっていらっしゃいましたか?』
『……そうね』

 香子はあら? と思ったがそういうものかと思い直した。香子はそれこそ四六時中四神と共にいるので、ほとんど動かない四神の表情がわかるようになっている。だからほんの少し眉を寄せているとか、口角が下がっている等でその心理を多少は読み取れるようになっていた。

『確かに、四神の表情はわかりにくいかもしれないわ。眷属もそうよね。でも、黒月とか白風はわかりやすいけど』
『白風様については同意いたしますが、黒月様は私どもではなんとも……』
『そうかもしれないわね』

 髪を整えたり、衣裳を着替えたりするのは面倒だと香子は思っているが、その際にこうしてたまに侍女たちと話せるので嫌いではない。
 毎回用意される衣裳も香子の好みで、香子は密かに「コスプレしてるみたい」などと思っていた。

(こっちの女性にとっては当たり前なんだよねぇ)

 香子が着ているのは普通の衣裳ではないので当たり前ではないのだが、それを伝える者もいないので全く支障はない。香子が永久に知る必要はないのである。

『お美しい』
『花嫁様には誰も勝てませんわ』

 侍女たちは己たちの手で飾り立てた香子を眺め、うっとりと呟いた。これもいつものことである。

『……ありがとう』

 礼を言えば延夕玲が『侍女に礼を言う必要はありません』と窘める。

夕玲シーリンは硬すぎるわ。私の部屋でぐらいいいじゃないの』
『もう少し四神の花嫁だということをご自覚なさいませ』
『……それはわかってるけど』

 四神の花嫁だからなんだというのかと香子は思う。そんなことを思っているということは夕玲に見透かされていて、皇太后のところへ向かう前に香子は散々説教をされてしまった。
 それでも自覚がないのはしょうがない。香子は”四神の花嫁”という存在を根本的には理解していないのだから。
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