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第4部 四神を愛しなさいと言われました
167.思慮深さは必要だと思います
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部屋で身支度を整え、香子は侍女にお茶を淹れてもらった。
それを飲んでいると、青龍が迎えにきた。
『まだ早かっただろうか?』
『いいえ。これだけ飲ませてください』
『よい』
青龍はそう言うと、香子を抱き上げ、長椅子に腰かけた。そんなことをされたらときめいてしまうではないかと香子は思う。
侍女が青龍にお茶を淹れた。青龍は香子を抱いたまま片手で茶杯を持ち、ゴクリと飲んだ。その喉の動きを香子はつい見てしまう。
男らしい太い首と喉仏が、香子には色っぽく見えた。
『そなたは、この国の歴史を紐解きたいのであったか』
『あ、はい』
青龍が考えていてくれたことを知り、香子は頬を上気させた。なんだかんだ言って、青龍は香子の望みを叶えてくれようとする。
それは最初の頃香子に冷たく接したことへの罪滅ぼしなのかもしれない。それでも寄り添ってくれようとする姿勢が香子にとっては好ましかった。
(青龍様のところへ嫁ぐ未来……)
青龍の領地でのことを思い出す。香子は青龍の眷属たちにものすごく歓待された。
『青龍様って、今大体150歳ぐらいなんでしたっけ?』
『? ああ、そうだが。それが如何か?』
『四神の中では一番若いんですよね』
『そうなるな』
香子は確認をし、うんうんと頷いた。そして最初に青龍の領地に行くという選択肢を外した。
とはいえ何度聞いてもわからないことはある。
『何を悩んでおるのだ?』
『四神はどのぐらいの期間、領地を離れていられるんでしたっけ?』
『……我らは土地に縛られているわけではないからな。そなたが望むのであれば、大陸のどこへでも移動は可能だ』
そういえばそうだったと香子は思い出した。四神はこの国の守護ではあるが、その立場を一方的に破棄することも可能なのである。他の大陸には他の大陸の神がいるからそこへの移動はできないと言っていたが、この大陸内ならどこへでも行けるらしい。
『いえ、別にこの国から出たいとかそういう話ではないです』
そこまで言って、香子は視線を感じそちらを見た。延夕玲以下女官たちだけでなく全員からじっと見られていたらしい。
香子は何事かと首を傾げ、己の発言のせいだと思い至った。
『えっと……青龍様の室へ行きましょうか』
『そうしよう』
青龍は香子の手の中にある茶杯を卓に置くと、嬉しそうに香子を抱いて立ち上がった。途端に上がる視界を香子はまだ慣れない。
正直香子は抱き上げられるのが好きだ。
四神に抱き上げられると、守られていると強く感じる。香子のときめきポイントはいろいろあった。
(なんだかんだいって、気持ちが乙女なのよね)
そう思って、香子は頬を青龍の胸に摺り寄せる。今は四神の誰に抱き上げられても安心する。だからこそ香子の悩みは深かった。
青龍の室へ向かえば、青龍はそのまま寝室へは向かわず居間の長椅子に腰掛けた。
青藍がお茶を淹れる。
『そなたは我らとどこか別の場所へ行きたいのか?』
『旅はしたいですけど、そういうことではないんです』
この国の中をいろいろ巡りたいという欲が香子にはある。だがそれは今ではないと香子は思う。
すでに四神の領地は見学した。
青龍は香子の答えを待っている。
(余裕があるっていうのかな……もしかしたら諦めに近いのかも)
青龍は今回己が香子に選ばれると思っていない。だからこそ香子に対しては一歩引いているところがあるのだろうと香子は思う。
『先代の花嫁がいた時、朱雀様が先代の青龍様のところへ通っていたと聞きました』
『……そのようだな』
『そして朱雀様も花嫁に眷属を産んでもらったそうですよね』
青龍は頷いた。
『もし……ですよ。例えば私が……青龍様の領地へ行ったとして、四神の他の方が青龍様の領地に気軽に来るということはありえるのでしょうか?』
『……そなたが我のところへ来てくれたとしたらとても嬉しいが、その場合は兄らも日参するであろうな』
そう言って青龍はククッと笑った。
『……他の方のところへ行った場合も同じことは起こりそうですか?』
『それはわからぬ。ただ少なくとも、そなたが白虎兄のところへ向かうならば我は通わぬ』
『白虎様は嫉妬深いからですか?』
『それもあるが、そなたに会わせてもらえるとは限らぬからだ』
『ああ……』
白虎の性質はとても難しいようである。
『悩みが増えました』
『そなたを悩ませてしまうのはすまないとも思うが、それだけそなたが我らのことを考えてくれることを嬉しくも思う』
青龍の想いがまっすぐすぎて、香子は内心ぐぬぬとなった。己が汚い人間だと思い知らされてしまうようだった。
『香子』
青龍が香子の手の中の茶杯をそっと奪い、卓に置いた。
がらりと空気が変わったのを香子は感じた。
青龍には我慢をさせている自覚が香子にもある。青龍は四神の中では一番若い。
『よいか?』
『……触れるだけですよ』
『今宵、そなたを抱きたい』
ストレートなおねだりに香子は内心身もだえる。青龍に抱かれるのはたいへんなのだ。だが四神宮で暮らすのも残りわずかだということを考えると、拒むこともできなかった。
『それは……みなさんで相談してください……』
『わかった』
青龍がククッと笑う。今日の青龍はとても機嫌がよさそうだ。
香子を抱いたまま青龍が立ち上がる。そして今度こそ寝室へ運ばれた。床に優しく下ろされて、香子は青龍を見た。
香子の心にちょっとだけ好奇心が芽生えてしまう。
『……人は若いほど我慢ができないようなことを言いますけど……青龍様は?』
青龍は口角を上げた。
『我慢などできるはずがないだろう?』
青龍に唇を塞がれる。
『……んっ……』
好奇心は猫をも殺すということわざがあったことを香子は思い出したが、その時にはもう手遅れだった。
ーーーーー
香子はもう少し青龍にも気を遣った方がいいと思います!(自爆
それを飲んでいると、青龍が迎えにきた。
『まだ早かっただろうか?』
『いいえ。これだけ飲ませてください』
『よい』
青龍はそう言うと、香子を抱き上げ、長椅子に腰かけた。そんなことをされたらときめいてしまうではないかと香子は思う。
侍女が青龍にお茶を淹れた。青龍は香子を抱いたまま片手で茶杯を持ち、ゴクリと飲んだ。その喉の動きを香子はつい見てしまう。
男らしい太い首と喉仏が、香子には色っぽく見えた。
『そなたは、この国の歴史を紐解きたいのであったか』
『あ、はい』
青龍が考えていてくれたことを知り、香子は頬を上気させた。なんだかんだ言って、青龍は香子の望みを叶えてくれようとする。
それは最初の頃香子に冷たく接したことへの罪滅ぼしなのかもしれない。それでも寄り添ってくれようとする姿勢が香子にとっては好ましかった。
(青龍様のところへ嫁ぐ未来……)
青龍の領地でのことを思い出す。香子は青龍の眷属たちにものすごく歓待された。
『青龍様って、今大体150歳ぐらいなんでしたっけ?』
『? ああ、そうだが。それが如何か?』
『四神の中では一番若いんですよね』
『そうなるな』
香子は確認をし、うんうんと頷いた。そして最初に青龍の領地に行くという選択肢を外した。
とはいえ何度聞いてもわからないことはある。
『何を悩んでおるのだ?』
『四神はどのぐらいの期間、領地を離れていられるんでしたっけ?』
『……我らは土地に縛られているわけではないからな。そなたが望むのであれば、大陸のどこへでも移動は可能だ』
そういえばそうだったと香子は思い出した。四神はこの国の守護ではあるが、その立場を一方的に破棄することも可能なのである。他の大陸には他の大陸の神がいるからそこへの移動はできないと言っていたが、この大陸内ならどこへでも行けるらしい。
『いえ、別にこの国から出たいとかそういう話ではないです』
そこまで言って、香子は視線を感じそちらを見た。延夕玲以下女官たちだけでなく全員からじっと見られていたらしい。
香子は何事かと首を傾げ、己の発言のせいだと思い至った。
『えっと……青龍様の室へ行きましょうか』
『そうしよう』
青龍は香子の手の中にある茶杯を卓に置くと、嬉しそうに香子を抱いて立ち上がった。途端に上がる視界を香子はまだ慣れない。
正直香子は抱き上げられるのが好きだ。
四神に抱き上げられると、守られていると強く感じる。香子のときめきポイントはいろいろあった。
(なんだかんだいって、気持ちが乙女なのよね)
そう思って、香子は頬を青龍の胸に摺り寄せる。今は四神の誰に抱き上げられても安心する。だからこそ香子の悩みは深かった。
青龍の室へ向かえば、青龍はそのまま寝室へは向かわず居間の長椅子に腰掛けた。
青藍がお茶を淹れる。
『そなたは我らとどこか別の場所へ行きたいのか?』
『旅はしたいですけど、そういうことではないんです』
この国の中をいろいろ巡りたいという欲が香子にはある。だがそれは今ではないと香子は思う。
すでに四神の領地は見学した。
青龍は香子の答えを待っている。
(余裕があるっていうのかな……もしかしたら諦めに近いのかも)
青龍は今回己が香子に選ばれると思っていない。だからこそ香子に対しては一歩引いているところがあるのだろうと香子は思う。
『先代の花嫁がいた時、朱雀様が先代の青龍様のところへ通っていたと聞きました』
『……そのようだな』
『そして朱雀様も花嫁に眷属を産んでもらったそうですよね』
青龍は頷いた。
『もし……ですよ。例えば私が……青龍様の領地へ行ったとして、四神の他の方が青龍様の領地に気軽に来るということはありえるのでしょうか?』
『……そなたが我のところへ来てくれたとしたらとても嬉しいが、その場合は兄らも日参するであろうな』
そう言って青龍はククッと笑った。
『……他の方のところへ行った場合も同じことは起こりそうですか?』
『それはわからぬ。ただ少なくとも、そなたが白虎兄のところへ向かうならば我は通わぬ』
『白虎様は嫉妬深いからですか?』
『それもあるが、そなたに会わせてもらえるとは限らぬからだ』
『ああ……』
白虎の性質はとても難しいようである。
『悩みが増えました』
『そなたを悩ませてしまうのはすまないとも思うが、それだけそなたが我らのことを考えてくれることを嬉しくも思う』
青龍の想いがまっすぐすぎて、香子は内心ぐぬぬとなった。己が汚い人間だと思い知らされてしまうようだった。
『香子』
青龍が香子の手の中の茶杯をそっと奪い、卓に置いた。
がらりと空気が変わったのを香子は感じた。
青龍には我慢をさせている自覚が香子にもある。青龍は四神の中では一番若い。
『よいか?』
『……触れるだけですよ』
『今宵、そなたを抱きたい』
ストレートなおねだりに香子は内心身もだえる。青龍に抱かれるのはたいへんなのだ。だが四神宮で暮らすのも残りわずかだということを考えると、拒むこともできなかった。
『それは……みなさんで相談してください……』
『わかった』
青龍がククッと笑う。今日の青龍はとても機嫌がよさそうだ。
香子を抱いたまま青龍が立ち上がる。そして今度こそ寝室へ運ばれた。床に優しく下ろされて、香子は青龍を見た。
香子の心にちょっとだけ好奇心が芽生えてしまう。
『……人は若いほど我慢ができないようなことを言いますけど……青龍様は?』
青龍は口角を上げた。
『我慢などできるはずがないだろう?』
青龍に唇を塞がれる。
『……んっ……』
好奇心は猫をも殺すということわざがあったことを香子は思い出したが、その時にはもう手遅れだった。
ーーーーー
香子はもう少し青龍にも気を遣った方がいいと思います!(自爆
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