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第48.5話 昔話 注)物語は前話で終わってます。前作の触手怪人を読んでないと意味不明な内容ですので無視してください。
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デッキチェアで酒を飲みながら正秀の話を聞いていた為次は呆れた顔をしながらグラスを置いた。
そこへスイが頬を染めて興奮しながら抱きついてきた。
「タメツグ様ぁ~、スイも、スイも触手で縛られたいのです」
「ちょ、もぉー…… マサが変な話するからスイがおかしくなったでしょ! ってか、なんでプディカベリーのセリフをスイに読ませてたし……」
「へへっ、その方が面白いだろ」
「ハァ……」
為次は溜め息をついて正秀の後ろに目線を移すと、トラクタービームに引かれる巨大な宇宙船が何も無い空間を漂っているのが見えた。
その間もスイがおっぱいを押し付けながらおねだりしているが、今は無視することにした。
昨日、正秀が突然自分の昔話を聞かせてやるとか言い出したが、長いからまた明日とか言っていた。
そして、全部書き出してから聞かされて、つい今しがた聞き終わった所である。
「どうだ! 感動しただろ?」
「いやぁ…… 殆どがエロシーンだったんですが、それは」
「良かっただろ」
「でもさ、そんな話を誰が信じるとでも……」
「嘘じゃないぜ。だいたいプディカベリーちゃんのことはお前だって知ってるだろ?」
「……まあ。当時話題にはなってたけど」
為次は何かを思い出すように記憶を辿ると、マインドジェネレーターから過去の思い出が転送され鮮明に思い出す。
正秀の話が嘘ではないことは知っていた。
「しかし、なんでまた急にそんな話を…… ピーチエール見て思い出したの?」
「そんなとこだぜ」
「でもま。良かったじゃない、その時に彼女が居なくなってさ」
「はぁ? そりゃないだろ。冷たい奴だな」
「そうじゃなくってさ」
「ん?」
「もし、生きてたなら俺達が地球に帰っても、もうプディカベリーは居ない…… 3千年じゃね。だけど、エロ神ってのが言ってたことが本当だとしたら話は違う」
「…………」
「今でも望みはあるってことだよね? もちろん確率は極めて低いけど」
「あ……」
「魂として保存されてるなら会えるかも…… いや、例えエロ神がダメ神だとしても時間を超越した存在なら知ってたかもね」
「俺達がこうなるってことをか?」
「そう。だから記憶も保存したかもね。だけどマサの聞いた話が本当なら未来は確定してないかも知れない…… その忠告が……」
「過去に戻るな…… か……?」
「知らんけどね」
「神様はなんでもお見通しってことか」
「いや、そうでもないかも」
「おう?」
「例えば神が時間を止めたとしよう。それはどの範囲までの時間が止まってる? 宇宙全体が? 宇宙のその先も? 時間の流れは一定じゃないのに? 他の星に神は居ないの? 時間を止めたもん勝ちになるとでも?」
「万能ではないってこと…… か?」
「そう。力の影響力が限定的なもんならこんな辺境宙域まで届かないかも知れない」
「ああ…… 俺達次第ってことか……」
「そうかもね」
と、為次は立ち上がると抱き付くスイを引き摺りながら歩いて、テーブルに置いてる酒のボトルと掴んでグラスに注いだ。
味はバツグンだが中身はなんの酒か分からない。
アブベーンシップから取ってきたモノなので原材料は不明だ。
そして酒を仰ぐと為次は話を続ける。
「それはともかくだね。スリングショットはどうしたの?」
「お? パチンコか? もちろん持ってるぜ、俺の大切な宝物だからな。もっとも変な力は無くなったけどな」
「へ~…… 見せてよ」
「いいけど盗るなよ」
「盗りしないけど…… 盗りはね」
「しょうがないな、少しだけだぜ」
そう言って正秀は車長ハッチに潜ると、2つのスリングショットを持って出て来た。
「ほら、これだぜ」
と、見せびらかすと為次はコチラに寄こせという仕草をしながら右手を差し出した。
「貸してほしいのか? でもダメだぜ。言ったろ俺の宝だって。アイツとこ大切な思い出だからな」
「貸してとは言わん。返せって言ってんのっ!!」
「…………」
正秀は少しの間考えると……
「ま、まさか…… お前…… アンディィィィィッ!?」
「まさかはコッチだよ! マサの話聞いてて確信したの! それに、なんで俺だけ変な人扱いなの! さっ、返してっ」
辺境惑星の近くでちっぽけな戦車が巨大な船を連れて漂う宇宙空間。
何も無い場所だが、砲塔の上だけは賑やかだった。
地球を探す途方もない旅の途中で立ち寄った惑星。
そこは、正秀が自分の思い出を語りたくなる出来事のあった場所。
ただ、それだけのこと。
そして、今日も戦車は走る。
騷しい三人組を乗せて……
……………
………
…
結局、スリングショットは使ってない方だけ返してもらえた。
―― to be continued
そこへスイが頬を染めて興奮しながら抱きついてきた。
「タメツグ様ぁ~、スイも、スイも触手で縛られたいのです」
「ちょ、もぉー…… マサが変な話するからスイがおかしくなったでしょ! ってか、なんでプディカベリーのセリフをスイに読ませてたし……」
「へへっ、その方が面白いだろ」
「ハァ……」
為次は溜め息をついて正秀の後ろに目線を移すと、トラクタービームに引かれる巨大な宇宙船が何も無い空間を漂っているのが見えた。
その間もスイがおっぱいを押し付けながらおねだりしているが、今は無視することにした。
昨日、正秀が突然自分の昔話を聞かせてやるとか言い出したが、長いからまた明日とか言っていた。
そして、全部書き出してから聞かされて、つい今しがた聞き終わった所である。
「どうだ! 感動しただろ?」
「いやぁ…… 殆どがエロシーンだったんですが、それは」
「良かっただろ」
「でもさ、そんな話を誰が信じるとでも……」
「嘘じゃないぜ。だいたいプディカベリーちゃんのことはお前だって知ってるだろ?」
「……まあ。当時話題にはなってたけど」
為次は何かを思い出すように記憶を辿ると、マインドジェネレーターから過去の思い出が転送され鮮明に思い出す。
正秀の話が嘘ではないことは知っていた。
「しかし、なんでまた急にそんな話を…… ピーチエール見て思い出したの?」
「そんなとこだぜ」
「でもま。良かったじゃない、その時に彼女が居なくなってさ」
「はぁ? そりゃないだろ。冷たい奴だな」
「そうじゃなくってさ」
「ん?」
「もし、生きてたなら俺達が地球に帰っても、もうプディカベリーは居ない…… 3千年じゃね。だけど、エロ神ってのが言ってたことが本当だとしたら話は違う」
「…………」
「今でも望みはあるってことだよね? もちろん確率は極めて低いけど」
「あ……」
「魂として保存されてるなら会えるかも…… いや、例えエロ神がダメ神だとしても時間を超越した存在なら知ってたかもね」
「俺達がこうなるってことをか?」
「そう。だから記憶も保存したかもね。だけどマサの聞いた話が本当なら未来は確定してないかも知れない…… その忠告が……」
「過去に戻るな…… か……?」
「知らんけどね」
「神様はなんでもお見通しってことか」
「いや、そうでもないかも」
「おう?」
「例えば神が時間を止めたとしよう。それはどの範囲までの時間が止まってる? 宇宙全体が? 宇宙のその先も? 時間の流れは一定じゃないのに? 他の星に神は居ないの? 時間を止めたもん勝ちになるとでも?」
「万能ではないってこと…… か?」
「そう。力の影響力が限定的なもんならこんな辺境宙域まで届かないかも知れない」
「ああ…… 俺達次第ってことか……」
「そうかもね」
と、為次は立ち上がると抱き付くスイを引き摺りながら歩いて、テーブルに置いてる酒のボトルと掴んでグラスに注いだ。
味はバツグンだが中身はなんの酒か分からない。
アブベーンシップから取ってきたモノなので原材料は不明だ。
そして酒を仰ぐと為次は話を続ける。
「それはともかくだね。スリングショットはどうしたの?」
「お? パチンコか? もちろん持ってるぜ、俺の大切な宝物だからな。もっとも変な力は無くなったけどな」
「へ~…… 見せてよ」
「いいけど盗るなよ」
「盗りしないけど…… 盗りはね」
「しょうがないな、少しだけだぜ」
そう言って正秀は車長ハッチに潜ると、2つのスリングショットを持って出て来た。
「ほら、これだぜ」
と、見せびらかすと為次はコチラに寄こせという仕草をしながら右手を差し出した。
「貸してほしいのか? でもダメだぜ。言ったろ俺の宝だって。アイツとこ大切な思い出だからな」
「貸してとは言わん。返せって言ってんのっ!!」
「…………」
正秀は少しの間考えると……
「ま、まさか…… お前…… アンディィィィィッ!?」
「まさかはコッチだよ! マサの話聞いてて確信したの! それに、なんで俺だけ変な人扱いなの! さっ、返してっ」
辺境惑星の近くでちっぽけな戦車が巨大な船を連れて漂う宇宙空間。
何も無い場所だが、砲塔の上だけは賑やかだった。
地球を探す途方もない旅の途中で立ち寄った惑星。
そこは、正秀が自分の思い出を語りたくなる出来事のあった場所。
ただ、それだけのこと。
そして、今日も戦車は走る。
騷しい三人組を乗せて……
……………
………
…
結局、スリングショットは使ってない方だけ返してもらえた。
―― to be continued
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