〜Marigold〜 恋人ごっこはキスを禁じて

嘉多山瑞菜

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第四章 この想いを終わらせるために…始めたんだ…

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 桂は亮の事を最初スゴイ美食家なのかと思っていた。

 デートでする食事はいつも一流と名の知れたところばかり。普段外食する時も高級なところが多いらしかった。

 もっとも本人は「名の知れたところだったら味に当たり外れが無いだろ。だから行くだけだよ。」とノホホンと言う。

 料理に煩いのか煩くないのか桂には判断しかねた。

 それでも桂は自分の作る料理を喜んで平らげていく彼を見る度、嬉しさが波のように押し寄せて胸を一杯にしていく幸福感に味わっていた。

 今も亮は桂が作ったハンバーグをがっつくように食べている。

 ハンバーグにグラタン、オムライス、カレーライス、ビーフシチュー、あとチャーハンにラーメン。それに和食にパスタ。

 亮の好物はこんなところ。

 まるで幼稚園児のようで桂は最初亮のリクエストを聞いたとき、自分がからかわれているのではないかと彼の言葉を疑ったほどだった。

 桂の料理ならなんでも亮は喜んで食べる。和食も亮のお気に入りだった。

「スゴイ美味いよ。このハンバーグ。」

 亮が桂からコンソメスープを受け取りながら料理を褒めた。

 桂お手製のデミグラスソースの掛かったハンバーグは食欲をそそる香りを立ち上らせている。その上には亮のリクエストで半熟の目玉焼き。

「良かった。今日はちょっとソースを作る時間をはしょったから…心配だったんだ。」 

 自分も席に着きながら桂が笑みを見せて答えた。

 料理しか取柄が無いから…亮に喜んでもらえると少しだけ健志に勝ったような気になってしまう。

 土俵が違いすぎるのに…と思いつつも健志と自分を比べてしまう事を桂は止められなかった。

 食事の間中亮と取りとめも無い会話を楽しむ。亮は自分が手がけるイタリア雑貨の輸入の仕事や山手に構えた雑貨のショップの話しを聞かせたりする。

 複雑な仕事に煩雑な人間関係。
苦労とストレスの多い仕事の話しをおもしろ可笑しく桂に聞かせる。

 桂はいつも亮の話を楽しんでいた。亮は一流のストーリーテラーだと桂は思っている。

 それ程彼の話しは面白い。亮は頭の回転も速く賢いのだ。彼の話しに耳を傾きながら桂はいつもそんな事を考えていた。

 逆に桂は大学での出来事を話す。亮は桂の仕事に興味を持って、あれこれと質問をしてきた。

 その質問に答えながら桂はいつも亮が自分の話に退屈しないのだろうかと…リナが聞いたらまた卑屈だ、と怒りそうな事を考えていたのだが…。

 亮はいつも嬉しそうに桂の話に相槌を打っていたのだった。
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