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9 白山川 白猫と光秀
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「ギィー」
と乾いた音がした。
ドアを開けるとそこには白い毛の猫が気持ちよさそうに椅子の上で眠っていた。
「あっ かわいい白猫ちゃん」
千草が白猫に声をかけると
白猫はみずほと千草をチラッとみて、ヒゲと前足を舐めてから、また眠りはじめた。
本屋の中はオレンジ色と緑色の灯りのランタンが天井から何本も吊り下げられていた。
まだ外は明るい時間なのだが落ち着いた夜のような暗さであった。
本棚は天井まで何本ものび、壁のようになっていた。
梯子もそこらじゅうに立て掛けられ、まるで本で組み上げられた迷路といった作りであった。
入り口の狭さからは想像もつかない奥行きがあり、空間や時間までも歪ませるような、どこか不思議感覚におそわれる。
「すごい雰囲気」
「本の量も半端ない」
「これだけあればきっといい本がみつかるかもしれないね」
本の壁奥のほうへ順番に目をやると、
『書き込み研究所』
と手書きでかかれた段ボール看板が、チョンと置かれた机に、ひとり和服姿の男性がすわっていた。
男性はみずほと千草に
「いらっしゃい、どういった本をお探しですか?」
と声をかけた。
・・・・暗くて顔がよく見えないが声を聞いた感じ、意外と若い人だなと思った
「あのー、こちらの本屋の人ですか?」
「私はアルバイトです。」
「私は書き込み研究所の所長をしています光秀と申します」
「アルバイトの方ですか・・・・ところで書き込み研究所ってなんですか?」
光秀は天井の方を眺めてたちあがり、ふぅーと息を吐いた。
「よくぞ聞いてくれました、貴方達は勉強する時に本に直接アンダーラインや色つけたりしたことありませんか?」
「誰でも一度や二度大抵ありますよね」
「ここに置かれている本はアンダーラインだけではなく、何らかの書き込みがなされたものです」
「この本全部ですか?」
「そうです、本に書き込みをするとき、人は素直な気持ちになり、本音をさらけ出します」
「私は本の中の本音を読み解くことを研究しています。」
「人は色々な思いをもって書き込むので、それを研究することはとても勉強になるのです」
「そうなんですか・・・・」
「私は心理学の専門家になりたいので、勉強がてらここでアルバイトしています」
千草が手元にあった本を手にとり二、三ページ試しにめくってみた確かに
杉原千畝と書かれた箇所に
「命のビザ 絶対忘れないこと‼︎」
と赤字でかきこまれていた。
「ホントだ」
「じゃあ、野菜料理の本なんかもありますか?」
みずほは光秀に聞いた
「ほぅ・・・・料理の本をお探しですか・・・・書き込みの多い分野ですね」
「あちらの一角が料理の本です、一応ジャンルも分けてありますから、ゆっくり見ていってください」
光秀の座る机のさらに奥のほうから年配の男性が現れた。
「こら、光秀、めんどくさがらずに一緒に探してあげなさい」
「じ、爺ちゃん」
と乾いた音がした。
ドアを開けるとそこには白い毛の猫が気持ちよさそうに椅子の上で眠っていた。
「あっ かわいい白猫ちゃん」
千草が白猫に声をかけると
白猫はみずほと千草をチラッとみて、ヒゲと前足を舐めてから、また眠りはじめた。
本屋の中はオレンジ色と緑色の灯りのランタンが天井から何本も吊り下げられていた。
まだ外は明るい時間なのだが落ち着いた夜のような暗さであった。
本棚は天井まで何本ものび、壁のようになっていた。
梯子もそこらじゅうに立て掛けられ、まるで本で組み上げられた迷路といった作りであった。
入り口の狭さからは想像もつかない奥行きがあり、空間や時間までも歪ませるような、どこか不思議感覚におそわれる。
「すごい雰囲気」
「本の量も半端ない」
「これだけあればきっといい本がみつかるかもしれないね」
本の壁奥のほうへ順番に目をやると、
『書き込み研究所』
と手書きでかかれた段ボール看板が、チョンと置かれた机に、ひとり和服姿の男性がすわっていた。
男性はみずほと千草に
「いらっしゃい、どういった本をお探しですか?」
と声をかけた。
・・・・暗くて顔がよく見えないが声を聞いた感じ、意外と若い人だなと思った
「あのー、こちらの本屋の人ですか?」
「私はアルバイトです。」
「私は書き込み研究所の所長をしています光秀と申します」
「アルバイトの方ですか・・・・ところで書き込み研究所ってなんですか?」
光秀は天井の方を眺めてたちあがり、ふぅーと息を吐いた。
「よくぞ聞いてくれました、貴方達は勉強する時に本に直接アンダーラインや色つけたりしたことありませんか?」
「誰でも一度や二度大抵ありますよね」
「ここに置かれている本はアンダーラインだけではなく、何らかの書き込みがなされたものです」
「この本全部ですか?」
「そうです、本に書き込みをするとき、人は素直な気持ちになり、本音をさらけ出します」
「私は本の中の本音を読み解くことを研究しています。」
「人は色々な思いをもって書き込むので、それを研究することはとても勉強になるのです」
「そうなんですか・・・・」
「私は心理学の専門家になりたいので、勉強がてらここでアルバイトしています」
千草が手元にあった本を手にとり二、三ページ試しにめくってみた確かに
杉原千畝と書かれた箇所に
「命のビザ 絶対忘れないこと‼︎」
と赤字でかきこまれていた。
「ホントだ」
「じゃあ、野菜料理の本なんかもありますか?」
みずほは光秀に聞いた
「ほぅ・・・・料理の本をお探しですか・・・・書き込みの多い分野ですね」
「あちらの一角が料理の本です、一応ジャンルも分けてありますから、ゆっくり見ていってください」
光秀の座る机のさらに奥のほうから年配の男性が現れた。
「こら、光秀、めんどくさがらずに一緒に探してあげなさい」
「じ、爺ちゃん」
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