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10 門和佐川 魔力
しおりを挟む「奥から失礼しました、店主の最光継と申します。」
「孫の光秀が、お嬢さん方の手伝いしますので、どんな無理でもいってやってください」
「なっ、爺ちゃん、また勝手に決めて!」
「お探しの本は料理の本でしたね」
「はい、野菜料理が載ってるものを探してます」
「光秀もよく料理するんです、料理関連の一角は全部、光秀があつめたものなんですよ」
「そうだろ、お前が責任もってご案内しなさい」
「何でそうなるかな」
しぶしぶ光秀は案内しはじめた
「野菜料理の本はこの辺りです、気にいったものがあったら手にとってみてください」
と言って光秀はランタンをみずほ達の手元に運んできてくれた。
千草がみずほにコソコソ話しかけた
「光秀さんて優しいし、よく見るとカッコいいよね」
みずほも光秀の横顔をじっと見つめてしまった。
「何ですか、私の顔になんかついてますか?」
「いえ 焦 ・・・・」
そこからみずほは真剣に本を探しはじめた、野菜について書かれている本を片っ端からひろげまくった
みずほは自分のなかで料理に対して基準をもっていた。
手順や材料も出来るだけシンプルなもので、美味しくできそうな料理をみつけたいとおもいながら、それとは反対に一冊の丁装が重厚な料理本を手にした。
本の題名は
『野菜料理大全』
と書かれていた。
パラパラと本を開けると、冒頭いきなり
「マル秘 料理甲子園必勝法」
と小さな文字で書かれた部分が目にはいってきた。
「えっ??何??」
みずほは何故か慌てて本をとじてしまった。
正直いって驚いた。
まさか、今の自分が欲しがっていたドンピシャの書き込みがされてるかもしれない一冊があるとは思ってもみなかったのだ。
千草が声をかけてきた。
「どう?みずほいいのあった?」
「うん、なんかいいかもしれないし、よくないかもしれない、まだよく見ていないけど、なんか感じるものがある」
みずほはそこから1時間程、本の中身を読んでいった。
書き込みは日記形式のような書き方であった。
野菜大全を料理してみた後の当時の気持ちや、独自の工夫と思える書き込みがされていた。
野菜と真剣に向き合っていた先人の書き込みがどんどん気になりはじめた。
光秀もみずほに声をかけた。
「どうでしょう、かなり書き込みに引き込まれていますね、その本があなたを呼んでいるかのようですね」
「書き込みにはあなたを引き込んでしまう魔力があるかもしれませんね」
そう言われてみずほは現実に引き戻された感覚になった。
・・・・この本を使っていくことは果たして自分のためになるのだろうか?
椅子から白猫がみずほのことをながめていた。
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