身代わりにと差し出された悪役令嬢は上主である、公爵様に可愛がられて~私は貴方のモノにはなれません~

一ノ瀬 彩音

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その後はカフェに入って休憩した。
その際にお互いの趣味や好みなどを話し合ったりして親交を深めていった。
この世界には魔物や魔法といった概念が存在するのだから、当然、貴族には護衛が付く。
その為、馬車に乗って移動する事になるのだが、その時に、お互いの話をしたりする事で、親睦を深めるというのが目的の一つでもあるからだ。
「そういえば、ミラ嬢はどこに住んでいるんだい?」
唐突にそんな事を聞かれたので答えると、彼は驚いたような表情を浮かべた後でこう言ってきた。
「子爵か、ご令嬢なんだな」
「公爵様には敵いませんわ」
そう言うと彼は苦笑しつつ答えた。
「確かにそうだが、俺は平民出身だからな」
公爵家といえばこの国でも有数の大貴族の家柄である。
それに対して、私のような下級貴族の娘となれば、雲泥の差である。
それ故に、この婚約も本来ならあり得ない話なのだ。
「私が公爵様に無礼な口利きをしたからですか?」
「そうだな、あの時は驚いた、まさか、君が、私に、あんな事を言うとはね」
思い出し笑いまでする始末である。
「だって、あの時の私は、本当に、本当に、貴方が好きで、貴方に振り向いて欲しくて必死だったんです!」
涙ながらに訴えると、彼は困ったような表情でこう言った。
その日の夜、私たちはベッドで横になっていた。
私はレリオ様の腕枕で寝ていたのだが、不意に目が覚めてしまった。
「その、今日は抱いて下さらないのですか」
つい言ってしまった言葉に自分でも驚いてしまうほどだった。
すると彼は驚いたように目を見開いていたがすぐに笑みを浮かべると言った。
「ああ、そうだったな、まだだったな」
そう言って唇を重ねてくる彼に身を委ねていると段々と頭がボーッとしてきて何も考えられなくなるほどの快感に襲われるのだった。
何度も浅い所を突かれて徹底的に虐められてしまい、完全に屈伏させられてしまっているのがわかる。
(ああ、気持ちいいよぉ)
そう思いながら彼の動きに合わせて腰を動かすと更に気持ちよくなってしまってもう何も考えられなくなってしまうほど感じてしまっていた。
(ああぁ~っ♡)
あまりの快感に耐えきれず絶頂を迎えてしまった私だったが、それでもなお責め立てられ続けてしまい、何度も何度もイカされてしまった結果、
最後には気絶してしまった。
目が覚めると朝になっており、隣を見るとそこには裸のまま眠るレリオ様の姿があり、昨夜の事を思い出して赤面してしまう。
それにしても昨日のアレは何だったのだろうか?
恥かしさに急に頬が赤く火照って来る。
だが、同時に幸せな気分にもなってくるのだ。
レリオ様は私にとって理想の男性だ。
優しくて紳士的でカッコいいし、何より強いのだ。
それに頭もいいし、顔も良いし、声も良いし、スタイルも抜群だし、性格も最高だ。
欠点を探す方が難しいくらいだ。
しかし、表の顔とは別に冷たいまでの裏の顔もある。
「レリオ様が素でもう少し接してくれないかなぁ」
ボソっと呟いたつもりだったのだが聞こえていたらしい。
突然声をかけられてびっくりしたが何とか取り繕うことができたと思う。
その後も会話を続けていくうちに話題が変わり、今度は私から質問してみることにした。
「あの、お聞きしたいことがあるのですがよろしいですか?」
「何だい?」
「裏の顔、私の前では隠さないでほしいんです、裏が素ですよね」
その言葉に彼は一瞬動きを止めたように見えたが何事もなかったかのようにこう返してきた。
「何のことだい? 私にはさっぱり分からないよ」
しらばっくれようとしているようだがバレバレである。
「嘘つかないでください、知ってますから」
そう告げると観念したのか溜息をついて話し始めた。
「やれやれ、本当に困った子だ、後で俺の部屋においで、誘ったんだから逃げるなよ」
そう言われて私は素直に頷くしかなかったのである。
それから数日後のこと、私は再び王宮へと呼ばれていた。
今回は王妃様に呼ばれていたのだ。
通された部屋には既に王妃様が待っていたようで笑顔で出迎えてくれた。
挨拶を済ませた後で席に座るように促されたので大人しく従うことにする。
「レリオとはどうですか、あの子あれで結構出来た子でしょう?」
などと聞かれてどう答えればいいのか分からず困っていると助け舟を出してくれたようで助かった。
「そうですね、とても素敵な方だと思います」
当たり障りのない返答をすると満足そうに頷いていた。
それからしばらく世間話をしていると不意に王妃様がこんなことを言い出した。
「そうそう、レリオは普段あまり笑わないのだけれど、ミラさんと一緒にいる時はとても楽しそうにしているのよね、
普段はもっと仏頂面だから分かりにくいかもしれないけど、貴女のことをとても気に入っているのは間違いないと思うわ」
そんなことを言われて嬉しくなってしまう。
しかし、その後に続く言葉で現実に引き戻されることになった。
「だからね、お願いがあるんだけどいいかしら」
嫌な予感がしたが断るわけにもいかず、にっこりと微笑むと
「何でしょうか」
「レリオとぜひ夫婦に成って頂戴ね」
予感的中である。
やっぱりそうきたか。
まあ、こうなることは分かっていたけどね。
仕方ないなぁと思いながらも了承の意を伝えると王妃様は満足そうな表情を浮かべていた。
こうして私はレリオ様との婚約を結ぶことになったのだが、ここで一つ問題が発生した。
それは、私の身分の差である。
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