【溺愛の恋】~あなたは、私だけのモノ~

一ノ瀬 彩音

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そうして、目が覚めると辺りは既に真っ暗になっており、公園内は外灯が点いているのですけれど、まだベンチに座っている私達は隣を見ると
寝息を立てている彼がいるのですが、流石に夜ですし、冷えるので風邪を引くと良くないのですから、彼の身体を揺すって起こすのです。

「ねぇ、起きて下さい、そろそろ帰りましょう」
そう言うと目を開けた彼だったのですが、寝ぼけているのかボーッとしている様子でしたので、もう一度声をかけようとした時、
突然抱き寄せられてキスをされたことで、驚きのあまり硬直していると、しばらくして唇を離した彼が、微笑みながらこう言ってきました。

「おはよう、よく眠れたかな?」
そう言った彼に手を引かれるようにしてベンチから立ち上がった私は、そのまま手を繋いだ状態で歩き出しました。

そして、電車に乗ったところで、ふと窓の外に目を向けた時に、見慣れた景色が広がっていることに気付いた私は、
どうやら家の近くまで来ていることを理解したものの、このまま帰る気にはなれなかったこともあり、思い切って寄り道をしようと提案してみたところ、
彼も快く承諾してくれたことで、一緒に向かうことになった。

このまま私達は夫婦として住んでいる住処まだ戻って来ているのですが、唐突に彼がこう言ってくるのです。

「なぁ、一緒にテレビゲームをしないか?」
「ゲームですか? いいですよ」

そう言って了承した後、二人でソファーに座り、コントローラーを握った私達は、対戦型の格闘アクションゲームを始めた結果、
接戦を繰り広げた末に私が勝利したことで、悔しがっていた彼でしたが、それでも楽しそうにしていたので、
私も楽しくなって来ましたが、不意に彼が、こんなことを言って来た。

「……あのさ、お願いがあるんだけどいいかな?」
それを聞いて、一体なんだろうと思いながらも聞いてみることにした私は、どんな内容だったのか尋ねてみた。

すると、彼は恥ずかしそうにしながら答えてくれた。
その内容とは、なんと、私と二人きりで旅行に行きたいというものだったため、驚きつつも嬉しくなった私は、笑顔で快諾したものの、
簡単に受け入れる訳にはいかないのでこう言うの。

「対戦格闘ゲームで私に勝利したら旅行に行ってもいいですよ」
「本当かい?!」

私がそう答えるなり嬉しそうな顔になった彼が、早速勝負を仕掛けてきたため、受けて立つことにしました。
その結果、見事に敗北した私が、悔しそうにしていると、なぜか上機嫌な様子になった彼が、ニコニコしながら近付いてきたかと思えば、
いきなり抱き締められて、そのままキスされてしまい、驚いている間にもどんどん激しくなっていく彼の動きに、
なす術もなく翻弄されていた私は、やがてされるがままになり、完全に蕩け切ったところで、ようやく解放されたことで、
その場に崩れ落ちた私に、手を差し伸べてくれた彼は、 優しい笑みを浮かべながら、こう言ってくれた。

「大丈夫かい?」
「はい……」
なんとか返事を返した後、ゆっくりと起き上がった私は、彼に抱きつきました。

「それで、旅行は何処へ行くの?」
「温泉だよ、前に約束したじゃないか」

そう言われて思い出した私は、確かに以前、そんな話をしたことを覚えていたので、思わず笑ってしまったものの、
そんな私を不思議そうに見ていた彼は、急に真面目な顔になると、こんなことを言い出した。

「……実はさ、君に話しておきたいことがあるんだ」
そう言いながら真剣な表情に変わった彼を見た私は、一体何だろうと思いつつ、話を聞くために姿勢を正すと、それを見た彼は、
安心したように微笑んでくれた後で、静かに語り始めた。

その話の内容というのが、私達が出会った時のことについてだったので、最初は驚いていた私だったのだけれど、
次第に懐かしくなってきたこともあって、聞き入っていました。
それからしばらくの間、思い出話に花を咲かせていた私達は、話が一段落したところで、今度は私から質問することになりました。

というのも、なぜ今になってそのことを話す気になったのか、その理由を知りたかったからです。
それを聞いた彼は、少し考える素振りを見せた後で、ようやく重い口を開いた。
その話を聞いた私は、正直、複雑な心境になりました。

なぜなら、当時、私が感じていた印象というのは、あまり良いものではなかったからだ。
それは、初めて顔を合わせた時のことだけではなく、その後も何度か会って話した時も似たようなもので、
むしろ、悪い方が多かったように思う。

しかし、その一方で、彼と過ごす時間はとても楽しかったことも事実であり、だからこそ、こうして今でも交流が続いているのだと考えていたのだが、
実際は違っていたらしく、当時の私には、全く興味が無かったどころか、寧ろ迷惑だと思っていたらしい。
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