【溺愛の恋】~あなたは、私だけのモノ~

一ノ瀬 彩音

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「これで君は僕のものだ、誰にも渡さないよ、永遠に……」
そう呟く夫の声を聞いた途端、急激に力が抜けてしまい、意識を失った私が次に目覚めた時には、自宅に戻っていて、
ベッドの上に寝かされていたことで、先程のことが夢だったことに気付いたものの、首筋に残る痛みに不安を感じていた私は、
そのことを話すことが出来ず、結局、秘密にしておくことにしたのだが、その数日後、たまたま彼のことを見かけたことで、
全てを思い出してしまった私は、急いで会社を飛び出し、彼の元へと向かった私は、その後ろ姿を発見した時、嬉しさのあまり涙が溢れ、
思わず駆け寄るなり抱きついてしまったのですが、その直後、背後から何者かに羽交い締めにされてしまい、

「なっ、なにするのよ! 離して!」
必死になって暴れていると、不意に耳元で誰かが囁いたため、驚いた私が動きを止めると、
次の瞬間、突然目の前が真っ暗になったかと思えば、意識が遠のいていき、その場に倒れ込んでしまったところで、
薄れゆく意識の中で聞こえてきた声に、耳を疑った私は、それが現実だと認識したものの、抗うことも出来ずにそのまま気を失ってしまったのだった。

それからしばらくの間は、毎日悪夢に悩まされることになった私だったものの、ようやく解放された頃には、以前の状態に戻っており、
仕事の方も順調そのものだったため、以前にも増して精力的に働き出した結果、あっという間に時間が経っていき、気が付けば、結婚から十年が経ち、
夫とも、いつの間にか会話が減ってきており、最近では、顔を合わせる度に、喧嘩になってしまうことが多くなっていたある日のこと。

その日は珍しく仕事が早く終わったので、久しぶりにゆっくりと過ごせると思っていた私は、帰宅する前に寄り道することにした。
というのも、最近になって見つけた隠れ家的な喫茶店があり、そこがとても雰囲気の良いところだったことから気に入ってしまい、
時々、立ち寄っていたからです。

そして、いつも通りそこを訪れた私は、店員の女性に案内されて席に着くと、お水を持ってきてくれた女性に対して、
軽く会釈した直後、早速メニューを見た私は、そこに書かれている美味しそうな名前に惹かれ、それを注文しようと考えている内にふと、
隣の席へ視線を移すと、そこには一人の男性が座っていたのですが、どこかで見たことのある顔だなと思ったところで、
ハッとなった私が思い出したのは、あの日の夜のことでした。

(もしかして、あの時の男の人?)
そんな疑問が浮かんだ時、ちょうどその男性と目が合ったこともあり、慌てて顔を逸らそうとした私ですが、
その前に腕を掴まれたことで動けなくなってしまい、さらには、私の名前を呼んできたことで確信した私は、恐る恐る、彼の方を振り向くと、
満面の笑みを浮かべていた彼と視線が重なり合ったことで、恥ずかしくなって俯いてしまった私に、彼は優しい笑みを浮かべながらこう言った。

久しぶりだね、元気だったかい?
その言葉に頷いて応えた私を見た彼は安心した様子で頷いた後で、こんなことを言ってきた。
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