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700層目の強敵ノアⅡ

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「ボクそんなにおかしいこと言った? まあいいや」

 いや、おかしいだろ。色々順序が出鱈目なんだよ――俺も人の事言えないかもしれない。まあだとしたら何で俺達の名前を知っているんだって話になるが、多分念話ができるんだろうな――。

 どうあれ。お互いに攻撃が当たらない。いや、あのノアの妙な自信は何なんだ? もしかしてわざと当てていない――っていうオチはないよな? ヤバい。考えれば考える程不安が募るのだが? まあごちゃごちゃ考えていても仕方ない。二人が死んでしまっては作戦もへったくれもない。ここは本能に任せよう。

 俺は、創造主ザ・クリエイターでいつもの如くショットガンを手から出した。銃を使いまくりでヘッドショットのダメージが5倍になる、急所狙撃Ⅴが付いている。まあ使っていると色々なパッシブスキルが増えるんだわ。しかもランベリオン曰く、俺が倒した魔物の数は全世界でトップ5には入るらしい。だから、必然的といえば必然的。それに狙撃手が付いているから頭の近くを狙うと絶対に頭に当たるオートエイムだ。外れることは防がれない限りはない。

 まあ、子供の脳みそが吹き飛ばすのは気が引けるが許してほしい。

 身体向上アップ・バースト! これで俺もパワーとスピードが向上したから、ショットガンが軽い軽い。あれ? 俺ショットガン持っていたっけ? って感じではある。まあ実際持っているから邪魔だなとか思うんだけどね。

 二人の剣技を余裕の表情で躱していたが、少し疲労したのか一瞬ノアの反応が遅れたかのように思えた。今しかない!

 二人は空気を読んでくれたのか、はたまた俺の思考が二人に読み取られているのか分からない。けれども二人は俺が狙える隙間を作ってくれた。

 バンバンと鈍く重い音が五回響いた。俺は撃つときに耳栓のパッシブスキルが付いているから五月蠅くも何ともない。ただ発砲するのみ。

 ノアは俺の五発射撃したフルオートショットガンAA-12を頭に全て喰らい、後ろに倒れ込んだ。ミクちゃんには悪いけどグロいノアを見せることになるかもしれないと思ったが可笑しい――。

「い――いつもなら頭吹き飛ぶのに可笑しいですね」

「ナリユキ殿のその銃は初めて見たが威力も高そうでフルオートなのだな。けれども頭が吹き飛ばどころか無傷に思える」

 仰向けに倒れ込んでいるノアに近付いてみた。顔は吹き飛んでいるかと思いきや、驚く事にノアの顔の所々は皮膚が剥がれて、鉄が見えている――。

「ロボット――なのか?」

「ナリユキ。ボクを怒らせてしまったね。そう僕は人造人間なのさ」

 ノアはそう言って起き上がったけど。え? マジ? 人造人間なの? もう何でもありじゃん。それよりヤバいな。何か知らんがめちゃくちゃ怒っているぞ。般若かよ。

「ナリユキ殿。気を抜いたらやられるぞ」

「解ってるよ。んなもん」

「確かに痛かった。その訳わかんない武器。けれどもボクが一番効いたのはその武器の音さ。異常聴覚Ⅴを持っているから耳が凄く痛いんだ」

 成程ね。てことはだな。戦わなくても勝てる方法あるぞ。まあ上手くいくか分からんが。さらに怒るか、何でもしますから許してください! パターンの二択だ。

「あれナリユキさん? なんでそんな笑っているんですか?」

「もしかして、ナリユキ殿でもピンチに陥ると笑ってしまうのか? そうなのか?」

「さあもう手加減しないからね」

「ほい」

 ノアがそう言ってきたので、俺は創造主ザ・クリエイターであるモノを出した。ノアは当然攻撃しようとしたが見たことがないモノなので、当然関心を抱いて動きが停止している。

「黒板? 小さいけど黒板ですよね?」

「黒板? 何だそれは?」

 俺は手鏡サイズの黒板を出した。

「ごめん。我慢してね?」

「ちょっと待ってください。何か物凄く嫌な予感がします」

「ミクちゃんには何でもするから許してね?」

 よし。耳栓発動。さあ行くぞ。奏でろ!

 キイイイイイイイイイイイイイイイ

「ぎゃあああああああ」

 うるせえよランベリオン。ミクちゃんは耳を塞いでいるのに、すんごい嫌そうな顔しているし。多分、黒板に爪を立てる行為が苦手なんだろうな。


「やめろおおおおおおおおお!」

 おお! 思った通り効いている。異常聴覚のスキルがあるからさぞ地獄だろう。ノアは床に膝をつきながら両耳を塞ぎ始めたけど、異常聴覚のせいで、叫び続けている。まあ耳を塞いでもこの高音は届くわな。耳栓のスキルがあってよかった! 

「降参するか?」

 俺は手を止めてそう問いてみた。

「降……参……?」

「そうだ。降参だ。しないなら」

 絶対俺口角吊り上がりまくっている。こういうときってめちゃくちゃ楽しくなるよね! 性格悪いわ俺!

「する……けどボクが死なないとここから出れないよ?」

「わざと死んでくれないか?」

「ボク死ねないもん」

「それ始めから無理じゃね?」

「だから強いって言ったじゃん」

 あれ~? 話が違わないですか? まあ他にも方法あるからいいか。

「なあ。多分今の俺達じゃノアを殺せないよう気がするのだがそれでいいのか?」

「うん」

「因みに俺達じゃ800層目のボスは勝てないか?」

「100%無理だよ?」

 もうここで打ち止めでレンファレンス王国に戻るってのでもいいな。

「ミクちゃん。結界解除する準備して」

「え? 戻るんですか?」

「もういいだろ。あれから結構経ったし。ここで打ち止めだ。また再挑戦すりゃいいさ」

「ですね!」

「え? 待って? ここの結界を破れるの? そんなに都合がいいスキルをミクは持っているの?」

「ああ。ミクちゃんがゲットした。良かったら一緒に来るか? こんなところに閉じこもっていても面白くないだろ?」

「で、出たい!」

 うわ。めちゃくちゃ目輝かせるんだけど。何かミクちゃんがショタコン発動したの分かる気がする。

「俺がドキドキワクワクな毎日を送らせてやるよ。まあまずは人助けしないといけないんだけどな」

「人助けか。何か色々面倒くさそうだね」

「だろ? でも見ていてくれ。俺国を造るから。そこを見ておいてほしい」

「見たい! あと、強い奴はいる?」

「まあ。そりゃチョコチョコいるだろ」

 そう話をしていると、ミクちゃんがサムズアップした。どうやら結界を解除したようだ。ランベリオンは人型化ヒューマノイドを解除し、飛び立つ準備が出来ている。

「え? 本当に解除できているの?」

「ああ。行くぜ!」

 俺とミクちゃんは右手を出し、ランベリオンは大きく口を開けた。

「 殺戮の爆風撃ジェノサイド・ブラスト

燦爛の光線シャイニング・レイ

地獄の炎弾ヘル・フレイム

 俺の風、ミクちゃんの光、ランベリオンの炎。三つのアクティブスキルが重なり、壁に大穴を開けた。

「ぼ……ボクのアクティブスキルでも破れないのに――本当に結果破ったんだ」

 穴からは当然風が吹き荒れる。けれどもここの壁は次第に元通りになるのはすでに検証済みだ。

「行こうぜ」

 俺がそう言うと、ノアは俺の前に座り、ミクちゃんは俺の後ろに座る。ランベリオンは巨大な翼を大きく羽ばたかせてカルベリアツリーを後にした。


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