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黒龍復活Ⅵ

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 そこから青龍リオさんとアスモデウスさんによる猛攻が繰り広げられていた。ミクちゃんと森妖精エルフ達のサポートの甲斐もあり、かなりいい勝負をしているように見える。そして、俺とマルファスさんとランベリオンは一旦休憩となっている。特にマルファスさんとランベリオンではスピードについていくことができないようだ。

 俺はスピードにはついていけるけど、周りに人がいる時点で少し戦いづらいしな――なので用意した戦力も、奴が龍の姿では無い限り残念ながらお荷物状態だ。

 黒龍ニゲル・クティオストルーデは化物だ。少々傷を負って直ぐに再生して回復する。戦法としては邪気を減らして弱らせていくというものだったが、邪気がどれくらい減っているかなんて分からないために、攻撃をいつまで続けたらいいのか? という果てしなさがある。アスモデウスさんの魔真王サタンに関しては一時的に発揮できる強化状態だ。通常の姿に戻ってしまったら、攻撃を与えることはハッキリ言って困難だ。今の状態でどれだけ邪気を減らすことができるかが勝負のポイントだ。

 そう考えながら見ていると、黒龍ニゲル・クティオストルーデに隙ができた。今なら当たる。

 そう思った俺は天を穿つ者エンデュアーを放った。相変わらず凄まじい威力だ。上位の攻撃系統のアクティブスキルのようなエネルギーとスピードだ。見事に黒龍ニゲル・クティオストルーデの右腕を吹き飛ばした。

「いくぞ!」

「分かっておるわ!」

 青龍リオさんとアスモデウスさんがギアを上げて黒龍ニゲル・クティオストルーデに襲い掛かった。青龍リオさんが青龍偃月刀で攻撃を行い、アスモデウスさんが魔刀ハデスで攻撃を行うというWダブルコンボ。天眼を持っていない人からすれば、ただ風を斬る音が聞こえるという不気味な現象が起きているに違いない。

「小賢しい!」

 体中血まみれになっている黒龍ニゲル・クティオストルーデが両手を大きく広げると、まるで台風のような暴風と共に、邪気を纏ったエネルギーが放出された。それは無数と言えよう。正直多すぎて数は分からないが、そのエネルギーの恐ろしさは――。

「グアアア――!」

「キャアアア――!」

 悲鳴と断末魔が辺りで聞こえた。放出された1つ1つのエネルギーはとてつもない殺傷能力を持っており、直撃した者は深手を負っていた。前線を戦う事になった青龍リオさんが集めた戦力の半分と、マーズベルの数名の森妖精エルフが犠牲となった。

 彼等彼女等には、この攻撃を防いだミクちゃん、アリシア、フーちゃん、メシアによって治癒される事となる。

「無茶苦茶なスキルだな。それに――」

 青龍リオさんとアスモデウスさんが付けた傷は既に元通りになっていた。俺が吹き飛ばした右腕も見事に再生している。

「まさかこの俺様が右腕を吹き飛ばされるとはな」

 ケロッとした表情を見せている――俺なんか普段痛みを感じることが無いから、超越者トランセンデンスを持っている人と戦うときは、全身に痛みが走るから正直嫌なんだけどな。黒龍ニゲル・クティオストルーデはまるで関係ない。

「俺以外の人が戦うのはやっぱり相性が悪そうだな」

「確かに人間――貴様だけが唯一俺様を倒すことができる可能性があるな。他では相手にならん」

 黒龍ニゲル・クティオストルーデはそう不敵な笑みを浮かべながら、指をクイクイと動かして、「かかって来い」と煽って来た。望むところだ。

 現段階で黒絶斬こくぜつざんを発動しても、MPを大量に消費するだけで倒すことは不可能だ。であるならば――。

 俺は少量のMPを使って天を穿つ者エンデュアーでの連続攻撃を試みた。奴との距離はおおよそ10m程。並みの人間では全ての攻撃をガードする何て芸当はできない。しかし、天を穿つ者エンデュアーの破壊力を生かした戦法が1つだけある。

「どうした。こんな攻撃を何度撃っても俺様には当たらんぞ!」

 そう黒刀でガードを続ける黒龍ニゲル・クティオストルーデは挑発をしてきたが俺はフル無視をした。ひたすら撃って撃って撃ちまくった。一発一発威力が高い。これがミソだ。前提として俺のステータスは黒龍ニゲル・クティオストルーデに知られている。だから、どんな攻撃であろうと、超越者トランセンデンスを持っている俺と戦う時は攻撃を受けるし、狙撃手があるので避けるという動作をすれば攻撃が直撃する。そして一発で格上である黒龍ニゲル・クティオストルーデの腕を吹き飛ばした。とするならば、黒龍ニゲル・クティオストルーデは俺に対して攻撃をすることが出来ない。

 でも黒龍ニゲル・クティオストルーデもこう思っている筈だ。MPを連続で消費してまで何を企んでいるのだと――。

 ステータスを視ることができても俺が狙撃手で何処を狙っているか何て分からないんだ。だから気付かれない――。

「凄い猛攻じゃがナリユキ閣下の狙いは何じゃ?」

「わ――分からない」

 アスモデウスさんがそう呟いた後、マルファスさんがそう同意をしていた。一方青龍リオさんとランベリオンは何か気付いている様子だった。

「まさかな……」

「流石青龍リオ様。お気付きになられましたか。ナリユキ殿の狙いを――」

「天眼を持っているからな。逆に持っていなければ気付いていなかっただろうな。同じ天眼を持っていても、攻撃を受けている側の黒龍ニゲルも気付いていない筈だ」

 俺が天を穿つ者エンデュアーを撃ち続けること15分。ついに俺が狙っていた現象が起きた。

 ガキイン――! 

 そう金属音が響いた。

「何――!?」

 黒龍ニゲル・クティオストルーデは驚いた表情を浮かべていた。まさか自分の黒刀が折られるとは思わなかったのだろう。

 その怯んだ隙を見て、俺は殺戮の腕ジェノサイド・アームの縮地を使って一気に距離を詰めた後、黒龍ニゲル・クティオストルーデの頭を掴んだ。

 


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