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生還と宴Ⅱ

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「ただ、ユニークスキルを使えたとしてもプラスの邪気も放出し続ける必要がある。その点はどう考えているのだ?」

「そこはもうアスモデウスさんと、アスモデウスさんが連れてくるかもしれないルシファーに任せるしかないですね。俺は引き続き黒紅煉刀くろべにれんとうをメイン攻撃にして、邪気が抑制されてきたら、ユニークスキルを駆使した戦闘を行おうと思っています」

「成程な。それにユニークスキルを使う事ができれば、ナリユキ殿お得意の岩山落としもできるしな」

「いや、別にあれ技名ありませんから」

「でも、ナリユキ君と言えば、岩山を落として敵を撃破するイメージ強いよね。ランベリオンさんを倒した時も、カルベリアツリーで魔物を一気に撃破した時も、アードルハイム帝国の帝都を壊滅させた時も全て岩山だもん」

「もっと言うのであれば、ナリユキ殿の創造主ザ・クリエイター専用のアルティメットスキル、神罰空堕しんばつくうだも発動できる」

「そう考えるとナリユキ君の創造主ザ・クリエイターはやっぱり強力ですね。それに、ナリユキ君は銃撃に特化したパッシブスキルが付与されていますし、天を穿つ者エンデュアーでの攻撃もさらに強力になりますよね」

「そうだな」

 ミクちゃんと青龍リオさんは、俺の攻撃手段でやたらと盛り上がっていた。

「そう言えばアードルハイムはどうなったんですか?」

「被害は甚大だな。しかし、アードルハイム帝国を事実上統治しているラングドール殿が、何とか国民を励ましながら復興に力を尽くしている。六芒星ヘキサグラムに近々報告書が届く手筈になっている。復興の支援金を譲渡する為にな」

「そうでしたか――。建物は俺のスキルで何とかなりますけどね」

「そうだな。しかし、怪我人の治癒や心の傷を癒すことはなかなかできない。そして黒龍ニゲルの攻撃によって、食料も枯渇している状態だ。我々が何とかしてあげるしかない」

「そうですね。ラングドール。相当大変だよな」

「余も感じたが、ラングドール殿がアードルハイムの国主で問題ない。若いがナリユキ殿と同じで優秀だ。少々不器用なところはあるがな」

 ――あれ、ちょい待って。

「そう言えば、俺って眠ってどれくらい経っているんですか?」

「一日だ。それほど長い眠りについていた訳ではない」

 青龍リオさんがそう言ったので、俺がミクちゃんに視線を移すと「そうだよ」と一言。

「長いのか短いのか良く分からんな……」

「まあ、こういうのも何だが、皆気が気ではなかったぞ。もちろん、余もその一人ではあったがな」

「ですよね」

 俺は思わず苦笑いをしてしまった。

「ナリユキ! 大丈夫かい!?」

「おわぁ!」

 ノックも無しでいきなり入ってきたのはルミエールとクロノスだった。

「また、破天荒な王がやって来たな」

 青龍リオさんがそう言うと、驚いた表情を浮かべるルミエール。まあノックも何もせずにいきなり入って青龍リオさんがいたら吃驚するわな。

「大変失礼いたしました!」

 ルミエールはそう清々しい謝罪を行った。クロノスもルミエールと同様、頭を下げて謝罪を行っていた。

「ノックも無しで入ってくるかよ」

「だって心配だったからさ。でも無事でよかったよ」

 そう言って涙を拭うルミエール。

「心臓を貫かれたとお聞きした時は耳を疑いました。お身体は大丈夫でしょうか?」

 クロノスの労いの言葉に「大丈夫だ。ありがとう」と返答をすると、クロノスはホッと胸を撫でおろしていた。

「そうだ。今日宴をやるんだ。二人も一緒にどうだ?」

「おお! ナリユキと久々に飲めるんだね! 是非参加するよ!」

青龍リオ・シェンラン様も参加されるのですか?」

「勿論だ。せっかくの機会だからな。どうせならマルファスも連れてこようか? 魔族同士で話したいこともあるだろう?」

「いえいえ。私には勿体ない御言葉。気持ちだけで十分です。宴の場では是非、青龍リオ・シェンラン様のお酒を注がせて下さい」

「良いだろう。ミク殿、日本酒の用意もお願いできるか?」

「勿論ですよ」

 ミクちゃんがそう満面の笑みで答えると、青龍リオさん、ルミエール、クロノスは満足気な表情を浮かべていた。

「楽しみだな。早く宴始まらないかな~」

「そんな簡単に準備できるもんじゃねえよ。あと三時間は待ってくれ。皆急いで準備しているからよ」

「分かってるよ~」

 そう頬を膨らませるルミエールは子供そのものだった。なんか気を許したら子供っぽくなる性格、もしかして恋人なかなかできないんじゃないか? という余計な心配をしてしまう。

「ナリユキ殿の前ではただの子供だな」

 青龍リオさんがそう言ってニッと笑みを浮かべると、急に精悍な顔つきに変わるルミエール。まるで表情の玩具箱だな。

「さてここにいても仕方ないし、フライングでお酒でも飲みますか?」

 俺がそう言うと、青龍リオさん、ルミエール、クロノスが「おっ?」と食いついてきた。

「ミクちゃん。barに案内しようぜ!」

「いいよ~。皆さん、私が先導するのでついて来て下さい」

 ミクちゃんはそう言って医務室の扉を開けた。青龍リオさん、ルミエール、クロノス、そして俺。最後にミクちゃんが医務室の扉を閉めて、俺達はbarへと向かった。

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