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貴族の調査Ⅳ
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「明日はスペンサー家と会う為に、ディルビア王国に行くつもりだが、ナリユキ殿はディルビア王国について何か知っている事はあるか?」
「そうですね。ディルビア王国は小麦やカカオの生産量が多い国で人口はおよそ3,000万人。人口の9割が人族となっています。個の戦闘値が高くないため、銃火器の扱いが長けていると聞きます。また鉱山に囲まれた国という事もあり富裕層が多い為、ギルドの成果報酬が他国と比べて高く、依頼は冒険者で取り合いなっているとか」
「――行った事無いんだよな?」
「はい」
「それもコヴィー・S・ウィズダムの本か?」
「そうですね」
俺がそう返事をすると青龍さんは「そこだけは尊敬できるな。唯一全世界の国を行った男ではある」と称賛していた。こんな事を言うのもなんだが、コヴィー・S・ウィズダムが出版している本は50冊近くある。世界の国を皮肉を込めて紹介している俺の愛読書だったり、マインドや哲学的な事まで幅広い。
「その通りだ。ディルビア王国は我々と違って人族以外の種族は殆どいない。むしろ、人間以外の種族に対してあまり友好的ではない」
「差別意識的な感じですか?」
「まあそんなところだな。だから我々のように飛竜に乗って空を移動するという手段がない。移動手段は基本的には馬だな。近年では汽車という乗り物でも国内を移動しているそうだが――」
青龍さんはそう言ってマルキージオ卿を見た。
「仰る通りです。ナリユキ閣下であればご存知なのではないでしょうか?」
「はい。蒸気をエネルギーにして走る事ができ、車輌の連結数によっては一度で何千人も運ぶことができます。まあこっちの汽車がどのくらい運べるかは分からないですけど」
俺がそう説明するとマルキージオ卿は「おお!」と感心していた。
「ほう。そんなにも大勢を乗せることができるのか」
「そうですよ。俺は前の世界の日本という国で育ちましたが、朝仕事に行くときは、一つの車輌に300人程乗る事があります。普通は150人前後なんですけど」
「一つの車輌に席はどのくらいあるのだ?」
「それこそ150人前後くらいですよ。そして一つの車輌に座っている人も立っている人も含め、人がぎゅうぎゅうに詰まった状態で多い電車で300人くらいなんですよ。東京という都市のよく使われる沿線の電車がそうなんです」
「――そっちの世界では、仕事に行くのは一苦労だな――」
と、青龍さんは思わず苦笑を浮かべていた。
「私も自信ないですね――」
マルキージオ卿も青龍さんに同意している。
「何なら、私がその沿線を活用しておりました」
アマミヤがそう呟くと、青龍さんは「苦労したな」と同情していた。
「ディルビア王はどんな感じの人なんですか?」
俺の質問に答えたのはマルキージオ卿だった。
「現在のディルビア王は政治に長けている人です。今までのディルビア王は、人族以外の意見や声に耳を傾けない人が多かったのですが、現在のディルビア王は種族問わず耳を傾けるので、近年人族以外の種族が住み始めたのは、現在のディルビア王の施策です。しかしディルビア王国の国民には、まだまだ差別思想を持つ人が多いみたいです」
「成程――。そもそも何で人族以外の種族に対しての風当たりが強いんですか?」
「ディルビア王国に住めることがそもそも価値が高いとされています。実際にディルビア王国に住むために、商売を勉強して成功した方もいるくらいですので、ナリユキ閣下の世界からの言葉を借りると、住むことがブランドといった感じでしょうか。実際に人族以外にそこまで商売を成功させる事ができる種族はいないですからね――人より優れている種族は実際に森妖精や、闇森妖精くらいですからね」
「成程――。龍族も森妖精と変わらないくらい知能高いと思うけど、そもそも龍族なんて世界数体――というか、この地上では青龍と、混合種のデアしかいない」
「地下世界では冥龍オルクスのみだしな」
青龍さんの言葉に「仰る通りです」と相槌を打つマルキージオ卿だった。
「ですので、龍族は除外しております」
「余と同様の種族はもっと増えてもいいのだが――ここはナリユキ殿が創造神にスキルを覚醒させて龍族を生み出してもらうしかないな。勿論、黒龍のような個体だけは勘弁してほしいところだが」
「変なプレッシャーかけないで下さい。まあそのつもりではいますよ。ただ不思議な事に、何でも出すことができるなら、何で龍族をもっと増やさなかったのだろうとは思いますけどね」
「余も同じ事を思っていた。それにナリユキ殿の口から聞くまで己の出生を知らなかったからな」
と、しれっと悲しい事を呟く青龍さん。でもまあ自分が神によって生み出された生物って誰も予想できないわな。
「スペンサー家はどんな人がいるんですか?」
「そうですね。スペンサー家の現在の当主はハドソン・スペンサーは社交的で物腰柔らかい人ですよ。それに気前も物凄くいいです」
と主張するマルキージオ卿。それ、ストーク・ディアン公爵も全く同じなんだけど――と思ったのは言うまでもない。
「そうですね。ディルビア王国は小麦やカカオの生産量が多い国で人口はおよそ3,000万人。人口の9割が人族となっています。個の戦闘値が高くないため、銃火器の扱いが長けていると聞きます。また鉱山に囲まれた国という事もあり富裕層が多い為、ギルドの成果報酬が他国と比べて高く、依頼は冒険者で取り合いなっているとか」
「――行った事無いんだよな?」
「はい」
「それもコヴィー・S・ウィズダムの本か?」
「そうですね」
俺がそう返事をすると青龍さんは「そこだけは尊敬できるな。唯一全世界の国を行った男ではある」と称賛していた。こんな事を言うのもなんだが、コヴィー・S・ウィズダムが出版している本は50冊近くある。世界の国を皮肉を込めて紹介している俺の愛読書だったり、マインドや哲学的な事まで幅広い。
「その通りだ。ディルビア王国は我々と違って人族以外の種族は殆どいない。むしろ、人間以外の種族に対してあまり友好的ではない」
「差別意識的な感じですか?」
「まあそんなところだな。だから我々のように飛竜に乗って空を移動するという手段がない。移動手段は基本的には馬だな。近年では汽車という乗り物でも国内を移動しているそうだが――」
青龍さんはそう言ってマルキージオ卿を見た。
「仰る通りです。ナリユキ閣下であればご存知なのではないでしょうか?」
「はい。蒸気をエネルギーにして走る事ができ、車輌の連結数によっては一度で何千人も運ぶことができます。まあこっちの汽車がどのくらい運べるかは分からないですけど」
俺がそう説明するとマルキージオ卿は「おお!」と感心していた。
「ほう。そんなにも大勢を乗せることができるのか」
「そうですよ。俺は前の世界の日本という国で育ちましたが、朝仕事に行くときは、一つの車輌に300人程乗る事があります。普通は150人前後なんですけど」
「一つの車輌に席はどのくらいあるのだ?」
「それこそ150人前後くらいですよ。そして一つの車輌に座っている人も立っている人も含め、人がぎゅうぎゅうに詰まった状態で多い電車で300人くらいなんですよ。東京という都市のよく使われる沿線の電車がそうなんです」
「――そっちの世界では、仕事に行くのは一苦労だな――」
と、青龍さんは思わず苦笑を浮かべていた。
「私も自信ないですね――」
マルキージオ卿も青龍さんに同意している。
「何なら、私がその沿線を活用しておりました」
アマミヤがそう呟くと、青龍さんは「苦労したな」と同情していた。
「ディルビア王はどんな感じの人なんですか?」
俺の質問に答えたのはマルキージオ卿だった。
「現在のディルビア王は政治に長けている人です。今までのディルビア王は、人族以外の意見や声に耳を傾けない人が多かったのですが、現在のディルビア王は種族問わず耳を傾けるので、近年人族以外の種族が住み始めたのは、現在のディルビア王の施策です。しかしディルビア王国の国民には、まだまだ差別思想を持つ人が多いみたいです」
「成程――。そもそも何で人族以外の種族に対しての風当たりが強いんですか?」
「ディルビア王国に住めることがそもそも価値が高いとされています。実際にディルビア王国に住むために、商売を勉強して成功した方もいるくらいですので、ナリユキ閣下の世界からの言葉を借りると、住むことがブランドといった感じでしょうか。実際に人族以外にそこまで商売を成功させる事ができる種族はいないですからね――人より優れている種族は実際に森妖精や、闇森妖精くらいですからね」
「成程――。龍族も森妖精と変わらないくらい知能高いと思うけど、そもそも龍族なんて世界数体――というか、この地上では青龍と、混合種のデアしかいない」
「地下世界では冥龍オルクスのみだしな」
青龍さんの言葉に「仰る通りです」と相槌を打つマルキージオ卿だった。
「ですので、龍族は除外しております」
「余と同様の種族はもっと増えてもいいのだが――ここはナリユキ殿が創造神にスキルを覚醒させて龍族を生み出してもらうしかないな。勿論、黒龍のような個体だけは勘弁してほしいところだが」
「変なプレッシャーかけないで下さい。まあそのつもりではいますよ。ただ不思議な事に、何でも出すことができるなら、何で龍族をもっと増やさなかったのだろうとは思いますけどね」
「余も同じ事を思っていた。それにナリユキ殿の口から聞くまで己の出生を知らなかったからな」
と、しれっと悲しい事を呟く青龍さん。でもまあ自分が神によって生み出された生物って誰も予想できないわな。
「スペンサー家はどんな人がいるんですか?」
「そうですね。スペンサー家の現在の当主はハドソン・スペンサーは社交的で物腰柔らかい人ですよ。それに気前も物凄くいいです」
と主張するマルキージオ卿。それ、ストーク・ディアン公爵も全く同じなんだけど――と思ったのは言うまでもない。
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