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4.突然言われて拒否る

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 色々話し合って、結局私が折れて父親の家に引き取られる事になった。決め手は阿呆次男リッキーが「どこにも行くな! 俺と結婚してくれ!」とか世迷い言を急にほざいたからだった。ガチで「は?」だ。

 何かと言えば昔の事を持ち出して絡んできて、ケチ臭いだの可愛げがないだのもっと素直になれとかくだらない事を、ねちねちねちねち仕事中にも拘わらずほざくので何度親父さんに訴えたか。その時は親父さんの拳骨食らって涙浮かべながら不貞腐れた顔で謝ってきても、またすぐに繰り返すコイツが私は大嫌いだった。世話になってる女将さんには言い難いから黙ってたけどね。女将さんは息子二人ともたいそう可愛がってたから。絶対甘やかし過ぎでいつか何かやらかすんじゃないかとも思ってたけど。

 当然いきなりのプロポーズは拒否った。流石に面と向かって「大嫌い」とは言えなかったけど、天地がひっくり返っても有り得ない、とは言っといた。だって私は面倒臭い男は嫌いだもん。素直になれとかどの口でほざいてんのかと思ったわ。好きな子に意地悪するとか無い無い。私は真面目で優しい人が好きなの。そう言ったら女将さんと二人真っ白になって固まってた。どうやら女将さんはリッキーが私の事を好きならしいと気付いていて、結婚したらいいなとか思ってたらしい。いや、が意見はともかく内面の理想は親父さんみたいな人だもん。冒険者ギルドでは誘惑も多いみたいなのに、女将さん一筋で曲がった事が嫌い。勿論実のクソ親父は論外。

 そんな訳で、私はにわか伯爵令嬢となった。取り敢えず自分が知らないだけかもしれないけど、『これはもしかしてなんたらかんたらって小説の世界に転生っ!?』的な記憶は無いので、爵位に見合って常識的に生きていくのがベストだろう。キラキライケメンには興味無いし。近づきたくないし。ざまぁ怖い。

 という私の決心は、伯爵家の玄関ホールでいきなり頓挫した。そこそこのキラキライケメンが出迎えたからだ。父とは全く似てないイケメンはどうやら義兄あにらしい。そういや居たんだっけ跡取り息子。娘の話の方がインパクトが強すぎて忘れてたよ。

 でも内心めっちゃ焦ったけど問題無かった。奴が私の事をまるっと無視したからだ。出迎えは家令に言われてしぶしぶだった様で、不貞腐れた顔で父親へ「おかえりなさい父上」と一言言うと、一瞬私を睨みつけ直ぐさま部屋へ戻って行ったからだ。「普段はあんな子じゃないんだけど! た、多分照れてるだけだから! 」と焦った様に言い訳する父親に、別に交流する気は無いから構わないと言うと、泣きそうな顔をされた。涙脆いのか演技なのかわからん男だな。
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