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四周目
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一方で貴一は混乱していた。たまたまトラックと衝突し事故に遭い、恐らく病院に運ばれていたところまでは事実なのだろう。その後、どうして自分も治験、いやここまで来たら人の道から逸れた人体実験だ。実験に自分も参加させられてしまったのだろうかと。
「……目的はわかりませんが、みんなが基本精子ドナーと何かよくわからん実験のためにここに集められたということは把握しました。ただ、ここがバーチャルの世界だとして、何故こんなBLゲームの世界なのかは謎ですが……」
普通であれば、精子搾取のために用いるものなら普通の実写AVやエロゲー(女性が登場するもの)がやりやすいのではないか、BLなのは製作者の趣味なのかと貴一は考えるというレベルを超えて最早悩んでいる。
「ああ、それは俺たちが全員ゲイだからだと思う」
「お前らの趣味かよ!」
山久の言葉に全員瞬時に頷く。そして全員が全員、貴一のような目つきが悪くむっちりした、筋肉質で黒髪短髪がドタイプ&ドストライクであった。何となくだが、貴一はイレギュラーな自分が突然白プロ♡ に参加させられた理由を、知りたくもないが理解してしまった。
「だからさぁ、逆になんで俺達がサイオンジみたいなのに惹かれていたのか、本当に謎過ぎる」
好みと真逆すぎると舌を出して嫌悪の様子を見せたのは東頭だ。彼の中でいつぞやの華奢美少年当て馬君や、サイオンジに執着していた理由が今でもさっぱりわからないと首を横に振る。
「でも、チートアイテムの所為だって知ったらそれも納得だったな……俺自身の感情としては誠に不本意だが」
自身の好みや感情まですげ替えられてしまうのは、例え仮想現実の世界とはいえ恐ろしいことだと奥山は考える。一時的にとは言え、脳に何らかの刺激や薬物を与えられてこのような思考になってしまったのかもしれないと、樋山は真面目な様子を崩そうともしない。
私立白液学園~青春プロテインを沢山飲ませて♡ 僕のえくすたしー性活~。それは、偉大なる遺伝子ではあるが同性愛者ということもあり、本来であれば女性に行きわたるはずのない精子を高値で取引、もしくは次の世代へ引き継ぐために見目秀麗な男たちを集めて精子を搾取するための仮想現実であった……。
「ここでタイトル回収かよ」
最低なタイトル回収を果たした貴一は、机に思い切り自身の頭を打ち付ける。自分の気が済むまで何度も何度も。見かねた奥山に羽交い絞めにされるまでそれは続き、東頭にはおでこにキスをされ、赤穂双子にはよしよしと交互に餅つきの反しのように頭を撫でられる。
「……犬飼先輩」
「あ……ええと、なあに?」
ビクリとおどおどしている犬飼に「現実世界にいた俺達の様子、もっと覚えていることはありませんか?」と優しく尋ねる。
「あ、うーん……あっ……!」
何かを思い出したのだろう、犬飼はわかりやすいぐらい顔をぼっと真っ赤にさせて口元を押さえている。それをゆっくりでいいから話してみてくれと優しく貴一に背を叩かれて、犬飼は存外つぶらな瞳で貴一を見つめた後、ぎゅうとそのの胸に顔を埋めた。彼は一度気を許すとパーソナルスペースが極端に近くなるようだ。
「みんな、ズボン脱がされてて。……ちんこにへんなケースみたいの、付けられてた」
ケースは上下に可動するように動き、透明なケースの先端、ちょうど鈴口の辺りからは搾り取った何かを、具体的には白濁した粘度の有る液体を通過させるための管がついていた。
「うわえっぐ!」
「キツ」
「非人道的行為ですね……」
「搾取マシーンじゃん」
「エロゲーで見る奴~」
「機械姦マシーンー」
「最低だ」
「聞いてねえぞそんなこと!」
現実世界に彼らはきっと、牝牛の搾乳機のようなものを、どうやら各々のペニスに取り付けられて励まされているのだろう。
「うん、でも妙だな」
貴一がこの世界にやってきて四周目だが、少なくとも彼はほかの生徒たちと性行はおろか、そのようなきわどいシチュエーションに遭遇した覚えはない。
精子を搾取することだけが目的なのであれば、セックスの疑似体験でもさせてやり、具体的にどこがとは言わないが興奮状態にしてそそり勃たせてやれば、搾取の効率が良いはずだと貴一は思う。
「……目的はわかりませんが、みんなが基本精子ドナーと何かよくわからん実験のためにここに集められたということは把握しました。ただ、ここがバーチャルの世界だとして、何故こんなBLゲームの世界なのかは謎ですが……」
普通であれば、精子搾取のために用いるものなら普通の実写AVやエロゲー(女性が登場するもの)がやりやすいのではないか、BLなのは製作者の趣味なのかと貴一は考えるというレベルを超えて最早悩んでいる。
「ああ、それは俺たちが全員ゲイだからだと思う」
「お前らの趣味かよ!」
山久の言葉に全員瞬時に頷く。そして全員が全員、貴一のような目つきが悪くむっちりした、筋肉質で黒髪短髪がドタイプ&ドストライクであった。何となくだが、貴一はイレギュラーな自分が突然白プロ♡ に参加させられた理由を、知りたくもないが理解してしまった。
「だからさぁ、逆になんで俺達がサイオンジみたいなのに惹かれていたのか、本当に謎過ぎる」
好みと真逆すぎると舌を出して嫌悪の様子を見せたのは東頭だ。彼の中でいつぞやの華奢美少年当て馬君や、サイオンジに執着していた理由が今でもさっぱりわからないと首を横に振る。
「でも、チートアイテムの所為だって知ったらそれも納得だったな……俺自身の感情としては誠に不本意だが」
自身の好みや感情まですげ替えられてしまうのは、例え仮想現実の世界とはいえ恐ろしいことだと奥山は考える。一時的にとは言え、脳に何らかの刺激や薬物を与えられてこのような思考になってしまったのかもしれないと、樋山は真面目な様子を崩そうともしない。
私立白液学園~青春プロテインを沢山飲ませて♡ 僕のえくすたしー性活~。それは、偉大なる遺伝子ではあるが同性愛者ということもあり、本来であれば女性に行きわたるはずのない精子を高値で取引、もしくは次の世代へ引き継ぐために見目秀麗な男たちを集めて精子を搾取するための仮想現実であった……。
「ここでタイトル回収かよ」
最低なタイトル回収を果たした貴一は、机に思い切り自身の頭を打ち付ける。自分の気が済むまで何度も何度も。見かねた奥山に羽交い絞めにされるまでそれは続き、東頭にはおでこにキスをされ、赤穂双子にはよしよしと交互に餅つきの反しのように頭を撫でられる。
「……犬飼先輩」
「あ……ええと、なあに?」
ビクリとおどおどしている犬飼に「現実世界にいた俺達の様子、もっと覚えていることはありませんか?」と優しく尋ねる。
「あ、うーん……あっ……!」
何かを思い出したのだろう、犬飼はわかりやすいぐらい顔をぼっと真っ赤にさせて口元を押さえている。それをゆっくりでいいから話してみてくれと優しく貴一に背を叩かれて、犬飼は存外つぶらな瞳で貴一を見つめた後、ぎゅうとそのの胸に顔を埋めた。彼は一度気を許すとパーソナルスペースが極端に近くなるようだ。
「みんな、ズボン脱がされてて。……ちんこにへんなケースみたいの、付けられてた」
ケースは上下に可動するように動き、透明なケースの先端、ちょうど鈴口の辺りからは搾り取った何かを、具体的には白濁した粘度の有る液体を通過させるための管がついていた。
「うわえっぐ!」
「キツ」
「非人道的行為ですね……」
「搾取マシーンじゃん」
「エロゲーで見る奴~」
「機械姦マシーンー」
「最低だ」
「聞いてねえぞそんなこと!」
現実世界に彼らはきっと、牝牛の搾乳機のようなものを、どうやら各々のペニスに取り付けられて励まされているのだろう。
「うん、でも妙だな」
貴一がこの世界にやってきて四周目だが、少なくとも彼はほかの生徒たちと性行はおろか、そのようなきわどいシチュエーションに遭遇した覚えはない。
精子を搾取することだけが目的なのであれば、セックスの疑似体験でもさせてやり、具体的にどこがとは言わないが興奮状態にしてそそり勃たせてやれば、搾取の効率が良いはずだと貴一は思う。
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