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死闘続発★ホモら共存編

ごめん、ガレ、ほんとごめん

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ぜぇ…ぜぇ……。なんとか狐さんの死守、成功…。

ガレには口ちゅー、ロイにはほっぺちゅーで許してもらった。
ガレはともかく、ほっぺにちゅーなんて、ユニークなお友達だなぁロイは★
あ、狐さんはミゲルさんの腕の中に退避中。だらしないお顔のミゲルさんにもふもふされてる。分かる分かる。癒されるよな。そんな顔になっちゃうよな。

【も、もう良いか…?】

セイが引き気味に、けれど俺に気を使った様子で聞いてきた。目には同情の色が浮かんでいて、気を抜くと『セイえもーん!』って泣きついちゃいそうだ。ガレアンとロイオが僕をいじめるんだー!!
というか…、見苦しいところをお見せしてしまい、ほんと、申し訳御座いません…。

「対応…、対応かぁ…。国に真実を知らせて、後は任せるってのが良いと思うんだけど…。賢王なんだろ?」

【直接手を下したい所ではあるが、後の関係を考慮するとしたら…、やはりそれが最善か】

「だが、戦争になるかも知れねェな。いくら賢王が優秀だろうが、自国に古龍誘拐の罪を擦り付けられたと知ったら、貴族共が黙ってねェ。領主で言えば経済制裁に乗り出す所もあるだろう。無論、真実が漏れ出せばの話だが、人の口に戸は立てられねェし、覚悟は必要だぜ?」

が、ガレすごい…。結構先の事まで見据えてるんだな…。

【バックに俺達が付いていても、戦争は避けられないわけー?】

ここでオウの質問。
流石に帝国だって、序列入りの古龍3体を敵に回したくはないと思うんだけど…。だって壊滅不可避。

「直接的な戦争は避けられても、証拠が見付からなきゃしらばっくれるし、今度はもっと姑息な手段で仕掛けてくると思う。証拠が揃わないよう色んなところで手を加えて、それで古龍が攻撃をしようもんなら、監督責任でこっちが悪者。攻撃しなくてもでっち上げられそう」

「最終的にはそうなるだろーな…」

【ひ、ヒトとは…、そんな恐ろしい生き物なのか!?】

セキが人間の賢さというか、腹黒さというか…、とにかく、そういったものにちょっと怯えだした。古龍など、多くの獣魔は完全な実力主義だから、戦いを外から邪魔をするというのはあり得ない事なんだろう。

「弱い故に身に付けた戦い方だ。確実に勝ちたい場合には、そういう手段に出る人間も多くいる」

【………………】

残念ながら、セキ達には理解して貰えなかったみたいだ。(ドラゴンの表情とかよく分からんけど)気難しそうなお顔で俺達を見ている。

【じゃあ、どーすれば良いんだよー…。直接攻撃は流石に敵を作り過ぎだし、国を通すとヒト達でいざこざが起こっちゃうし!】

「一番良いのは、証拠を見付けるまで動かないよう、王に進言する事だ」

うん、確かに。古龍がらみなら迂闊な事も出来ない…はず。か、箝口令、だっけ? それを敷いて貰えれば…。

【……しかし、証拠とは?】

「拐われた古龍が帝国内で見付かれば、確実な証拠だろう」

ロイがさらっと答えた。
ふぅ~! 出来る男~!

【………見付かるだろうか……】

「…何にしろ、人手がいるな。その姿じゃ王に進言するどころか、街に近付いただけで攻撃対象だ」

ガレが3体の巨体を見上げてため息を吐いた…が。

【ああ、それは大丈夫だ】

「え?」

セキの言葉の真意を、尋ねる間も無かった。
一瞬で、ドライアイスを水に浸した時に出るような煙がぶわって出て、俺はガレとロイに同時に腕をしっっかり掴まれて、身動きが取れず。
狐さんのぴぎゃって悲鳴が聞こえて、ミゲルさんのうわって声が聞こえて、その他の団員さんなのか、転んだ音が聞こえた。
俺はいきなりの事に動けなくて、ガレとロイに引っ張られるまま後ろに下がるしかなくて。

「……まさか………人化か?」

「ご明察。序列入りは皆人化出来る」

煙がふわーーって退いた後に、3体の巨体は消えていて、代わりに3人の男の人が…、装飾の散りばめられた貴族みたいな服を着て、立ってた。
つか、人化って…。…人化って!? 読んで字の如く!? 人に化けちゃうの!?

「ん~、ヒトの姿も久しぶりだな~!」

白ベースに黄色の装飾の服を来た、ふわふわベージュ髪にたれ目の青年。……オウかな?

「ヒトの体は手先は器用だが、防御面では心許ない…」

青い生地に金色の装飾っていう服に身を包み、シャボかジャボか忘れたけどそんな感じのスカーフを巻いた切れ長の目の青年は…、分かったセイだ!

「うーむ尻尾が無いと違和感ありまくりだな」

自分の尻をさわさわする、ツンツン赤毛の活発そうな青年は、簡単に分かる。セキだ。

「………マジか」

信じられずに俺がポツリと呟けば、3人が俺達の方に寄って来た。
3人とも結構なイケメンさんで、イケメン=おホモ達のイメージがリイサスさんルークさんジャックさんワーナーさんガレカイルによって染み付いてしまった俺は、じりっと距離を取ってしまう。
うん、今あげた6人のせいだ。

「な、なんで逃げるんだ。……はっ! まさか、下心があると気付かれている…!?」

「詳しく聞かせて貰おうかァ」

距離を取った俺を見て、セキがショックを受けたような顔でアワアワと右往左往。ガレの額に青筋が立ってしまって、俺はまたガレを押さえ付けるのに必死になった。
マジこいつら自由過ぎな。鎖にでも繋いでやろーか。


「ごほん、王への進言は俺とオウが行く」

ガレが落ち着いた後、気を取り直してセイが言った。その言葉にセキが『えっ』て顔をする。
俺的に、すぐに手を出しそうなセキは行かない方が良いと思うけど…。

「何を言われようと手を出さぬと誓えるか?」

「ぐっ…」

それはセイもオウも同じだったらしい。

「この国のヒトと揉めるようでは、帝国を懲らしめるなど不可能だ。どこかで障害が生じる」

「ぐぬ、ぐぬぬぅ…!!」

「お前はコージの側にいろ。お前が側にいれば、俺達もコージの場所が分かるからな」

「あい分かった!!」

おい何でいきなりやる気になったんだ。というか、これから俺達ギルドに向かうんだけど、セキも来るの? ……大丈夫かなぁ…。…大丈夫じゃないよなぁ……。

「よしっ! ならばさっそく番の契約を」

「絶対に嫌だ」

「えぇっ!?」

何驚いてんだよ。当然だろ。逆に何でいけると思ったんだ。ちょっと親しくなったらすぐアタックするデビューしたての大学生か。アタック攻撃される女の子の気持ちも考えろって。気のない相手じゃ防御に徹するしかないんだって。そもそも恋愛を攻防に例えてる時点でアウト。

「うぅ…、仕方がない…。番契約がダメなら従魔契約しかないが…、まぁ……、徐々に気を許して貰えば…いつかは…」

なんだか不穏な事言ってる。正面から大剣で攻撃されてたのに、気付いたら後ろから首筋に短剣を突き付けられてた気分だ。恋を攻防に例えるならな?

てかてかてか! 従魔契約ってなに!? 読んで字の如く? 異世界ファンタジーによくある、すっごい獣魔を従えて冒険するもふもふ旅行記始まっちゃう? そのうちフェンリルとかとも出会って他力本願チートいっちゃう? 俺、飯チート出来ないけど良い?

「コージ! 俺と従魔契約してくれるな!」


『特別スキル:心情察知(熊獣人) を獲得しました』


…! ……? ……!!?

…あ、あれぇ~!? ゲット出来ちゃった!?
えっと…、赤古龍に愛されると、ゲット出来るんだよな。じゃあ…、愛してくれたって、事…? セキが?

「せ、セキ…。あの…、スキル、獲れちゃった…」

「む? ……むむっ! そ、そうか! 獲れちゃったか!! わはは!」

セキが俺の頭をわしゃわしゃ撫でて、赤くなった頬を誤魔化そうとする。が、遥かに身長の低い俺からは余裕で見えちゃうのだ。ふふふ。

「……なるほど。コージが好意に気付いた時点で、スキルを獲得するのか」

セイが興味深そうに頷き、スタスタと近付いて来て、俺の前で膝を付いた。
おっとなんだか嫌な予感。

「我と従魔契約を結んでくれ、コージ。コージの一生を、側で見守りたいのだ」

「えっ!」


『特別スキル:天喰 を獲得しました』


「俺も俺も! コージ! 俺とも従魔契約結んでー! 俺ねー、コージの事、結構好きみたいー!」

「ぅえっ!?」


『特別スキル:全言語理解 を獲得しました』


ひぇぇぇぇぇ……。ヤベーヤベーどうしよう。立て続けに凄そうなスキルゲット出来ちゃった。しかも序列入り3体の古龍が従魔契約したいとか言ってるんですけどわたくしは一体どうすれば。

「…ほほう。我の『天喰』を真似たか」

「わぁー! 俺の『全言語理解』も獲得してるー!」

デカブツ3体…、いや、今は3人が俺を取り囲んで、鑑定して、わーわー騒いでる。その外ではガレが頭を抱えてて、ロイが舌打ちしてた。
ロイさん、もうちょっと外面保とう。ガレさん、なんか…、ごめんなさい。

「従魔契約って…」

「ぬ、知らんか? 人が獣や魔を従える契約を、そう呼ぶのだ。俺達と契約した場合、コージは主人となり、俺達に命令を出す事が出来る。従魔と主人に明らかな力の差が無い限り、命令は絶対だ」

明らかな力の差、あるだろ…。序列入りに命令とか畏れ多くて無理なんですけど。

「ねーねー契約してよー。ずっと人化してるからぁー。俺達と契約してれば、色んな場所に連れて行ってあげられるし、過去の事とか、獣魔の事とか、いっぱい教えるよー?」

………ぴくっ。

「旧友に化け学を極めた狸がおる。コージの好きな…、もふもふ? にも化けられるだろう」

ぴくぴくっ。

「さ、さらに今なら! 誘拐の件を除き、面倒事はほとんど避けて通れるぞ!!」

ぴっくんぴくぴくピクトさん。

「コージ…。まさか、承ける訳じゃ…」

「……もふれるって、ほんと?」

「コージ!?」

ロイが信じられないって口調で俺の名前を呼ぶ。振り返って見ると、それでも無表情だけども、目は『マジか』って訴えてる。

「…くっ…、……頭痛と胃痛が…」

ガレ、ほんと、ほんとにごめんなさい。…ガレのストレスが軽減されるなら、その…、エッチくらいなら…、俺も協力するから…。許して、ね?





********************


はぁい(* ̄∇ ̄)ノ
メルです。



お気に入り、2900ありがとうございます!!!
お、おや…?これは……、3000も、夢ではない…?
い、いや、まさかね!! まさか……、…ごくり…。


これからもよろしくお願いします!!


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