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しおりを挟む「おい」
嫌な予感がした。
「...なぁに」
返事をしなければ怒られる。
どうか大したことではありませんように、と祈った。
「野球するぞ」
....。
意味が、分からなかった。
狭い勉強部屋に、父も母もいない。私と兄だけ。
そもそも私、野球のやり方なんて知らない。
「いつ?」
「今」
「2人で?」
「そう」
「やり方だって知らないよ」
だけど、兄は有無を言わせず、私を寝室へ連れて行った。
二段ベッドの下、私の布団の上に二人で座る。
「じゃんけんして、負けた方が服を脱ぐんだ」
....。
意味が、分からなかった。
それのどこが野球なの...? それとも、「ヤキュウ」って遊びは同じ名前の違うものなのか。
とりあえずそう納得した、それで嫌だといっても勉強部屋に戻らせてはくれない。
「ほら、やるぞ」
それから私は、何度も負けた。
何度負けて、私がどんな姿になったか、今となってはもう覚えていないけれど
負けてから嫌がっても
「ルールだぞ、まもれ」
と言われたことは覚えている。
誰もいない家の中で、止めさせる存在などなかった。
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