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第3章 ワールドメイク
最終話 ワールドメイク④
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「あの~お二人さん。俺ここにいますよ。」
南が俺たちを見ながら、居心地悪そうに物申す。
「ああ。すまん。」
「本当に自重しろよ。お前ら。確かに洋画やなんかはラストに意味の分からんイチャイチャシーンが入るが、親友のそういうところを目にする俺の立場にもなって考えてみろ。」
彼は今日、何度目かのため息を漏らすと、俺たちを叱責する。
それは教師が生徒を窘める様に。
「南くん。悪かったわ。…………。」
東は悪いと思ったのか、一瞬南から顔を背けるも、ものの数秒でコロッと忘れたように、こちらにその悪童じみた、いたずらっ子の顔を近づける。
…………。
「おい。だから自重しろよ。話が終わった途端、またしゃぶりつくのやめろ。気持ち悪い。」
「おお。すまん。」
「あれ。お前らなんか繰り返してないか?異能使った?」
南が心底、嫌悪感をもった表情でこちらを見るので俺も自重することにする。
彼女との間に手を置いて、一度、距離を取る。
東はまだ足りないと言った顔で舌打ちしているが、今は放っておこう。
「それで今からどうするんだ?お前らが引っ付いても何も解決しないぞ?」
「そうだな。……………………うーむ。まぁまた俺がワールドメイクを行使しようかと思っているけど。今となっては、その改変の闇についてもなんか違和感があるんだよなぁ。」
俺は冷静になった頭で考えるが、何か見落としている気がするのだ。
何か大切なことを。
その時、南が素っ頓狂な声を上げる。
「あ。……………………お前らの馬鹿な痴態を見て冷静になったことで一つ疑問が浮かんだわ。」
「ん?なんだ?」
「いや、東。」
「ん?なに?」
東は興味なさそうに南の方に顔を向ける。
「お前、本性を露わにした瞬間、俺に対して反応が冷たいな。まぁいいや。えっとこの世界は何回も改変してるんだろ?それって西京のことだけか?それ以外の理由で改変は行ってないんだな?」
「そうだけど。それが何?」
「いや、自分の命が危険に陥って改変とかないの?」
「ないわ。」
東はそう冷たく南に言い切る。
「西京。な?おかしいだろ?」
「ああ。ありがとう南。…………そういうことか。なんだ考えたら簡単なことだったな。」
「そうだな。西京が考えていることと俺が考えていることは一緒だ。酷な話だがな。」
「そうだな。つまりは…………俺が改変して東を殺し続けてたんだな。」
ワールドメイクは保持者の想像に基づいて、世界を過去から改変する異能だ。未来はない。
つまりは創造主の想像力にその世界は左右される。
初めの世界で俺は東の自殺現場を目撃し、それが強く頭に残っていた。それこそ夢に出るくらいに。
その影響をワールドメイクが受けないわけがない。
俺はワールドメイクを行使する際に、彼女の死に姿を嫌でも思い出してしまう。それが影響して彼女は死んでいたんだ。それは未来に進む途上で絶対に訪れる不可避の呪いの様に。
未来はないと思っていても、それは確約された未来だった。
彼女が絶対に死ぬという未来。
それを創造しうる異能だったのだ。
そして今回の世界で東が死んでいないのも同義だ。
彼女が未来に自分が死ぬなんて想像すらしていないだろう。
自分の死を想像する人間なんていない。死ぬ夢を見たり、死の先を考える人間はいても、自分の死に姿を想像する人間はほとんどいないだろう。
彼女は自分の死を想像すらしていないので、ワールドメイクでの過去の改変により死ぬことはないのだ。
これがもし、彼女に死の内容を話ていたら、こんなフウに彼女と話すことはもうなかったかもしれない。
彼女が自分の死を意識することがなくてよかった。
しかしながら俺は知らず知らずのうちに彼女を殺していたのか。ああ。これじゃ本当に喜劇だ。自分で蒔いた種を自分で育てて、自分で摘んでいただけなのだ。
こんな簡単な事を俺は彼女の死に対する恐怖から見落としていたのだ。
俺は本当に馬鹿なことをしていたんだ。
「東。ごめん。俺は…………。」
俺は東に首を垂れる。
しかし、東は俺の頭をその小さな手で撫でつけ、俺の口に指を当てる。
「皆まで言わなくてもいい。…………肇に殺されるなら私も本望よ。それに今はこうして良い感じにいったことだし上手く転がったと私は思っているわ。」
「東。」
「肇。」
俺と東が見つめ合うも、すぐに前を南が遮る。
「はいはい。自重してね。…………でどうする?謎も解けたし。」
「そうだな。なら東がこのまま正常に戻してしまえば、元通りじゃないか?」
「そうね。でも私、このまま、この世界でも本当にいいんだけど。こうして肇も私を受け入れてくれたわけだし。」
「うん。こいつにもう一度ワールドメイクを使わすの怖いな。…………間をとって俺が使おうか?」
「は?」
「あの。ごめん。東さん。俺の足踏んでる。」
「あ。ごめん。わざと。」
彼女は南の足をもう一度踏み直すとその足を地につけた。
南は恨めしそうに東を見ながらも話を続ける。
「冗談は置いておいても、俺が使った方が理にかなっていると思うがな?俺はお前らことに関しては俯瞰的に見れていたし、特に願いもない。自然体な世界を創造できると思うぞ?」
「まぁそうだな。…………それでいいか?」
「だめ。」
「え?」
東は手を伸ばして受け取ろうとする南の手を払いのけた。
そして、神妙な顔つきで、こちらを牽制するように腕時計を握り締めた。
「だって…………やっと肇と分かり合えたんだよ!?この世界は私にとって都合がいいの。いいえ。この世界が良いの!だって次に改変した世界で私と肇がまた分かり合えるか分からないでしょ!?」
それは悲痛な彼女の叫びだった。
心をむき出しにして、己の欲のためにすべてはいらないという彼女の自己中心的な、ある意味で最大限に利己的なまでの愛の形なのかもしれない。
他人が見れば拒否反応を示すだろう彼女の独占欲。
しかし、俺はその姿をみて、何故か酷く落ち付いていた。
考えていたのだ。
彼女のことを。
それは俺がここまで改変を重ねて、たどり着いた世界で本当の彼女と出会って、それゆえ彼女の心に初めて触れた気がしたからだ。
俺が改変を重ねたのは、彼女を生かすため。それは何故だろう?いや。因数分解するまでもなく分かる。
これは俺が彼女を好きだったからだ。
すべてから逃げようとしても、何故か最後に彼女に時計を渡してでも、繋ぎ止めようとしていた。
どうにかして、彼女と南とのつながりを守りたかったからだろう。
そうして、最後に彼女がすべてを壊してでも俺といたいという心を俺が理解しなくては、誰が理解できるのか。
俺は彼女に優しく語りかける。
「なぁ。東。俺みたいななんの取り柄もない、単なる中二病みたいな奴で、なんの責任もとれなくて、それでいて平凡な人間。学業に秀でているわけでも、スポーツが出来るわけもない。こんな人間でもいいのか?こんな俺でいいのか?」
「うん。私は肇が良い。何が出来なくても、貴方が私を救ってくれた。何にもない毎日で、出口もない暗闇だと思っていた世界から私を救ってくれた。何度も何度も。救ってくれたじゃない。…………それで十分だよ。私にとっては十分。私が貴方を求める理由はそれで十分なの。」
「そうか。…………俺、君が好きだよ。彼方が好きだ。」
「うん。私も。何度も言ってるから。もう言わない。続きはまた今度。」
「そっか。それは寂しいけれど。じゃあ、次はこれ以上ないくらい好きになって、幸せにするよ。」
「ううん。私がしてあげる。私が貴方を幸せにするの。」
「そっか。」
何故か自然と涙が溢れた。
それは今までの悲しみに暮れる絶望の涙とは違う。心が熱くなって、あふれ出す感情のなすが儘に自然と流れる涙だった。
その涙を彼方が拭った。しかし、彼方の瞳にも同じように涙が溢れて、俺は嬉しくなってまた泣いた。
その様子を親のような顔で朗らかに笑い、南は近寄ると東から時計を受け取る。
「どうする?最後に何かいい残したことないか?」
「ないな。」
「ないわ。」
「そうか。じゃあ。お二人さん。次の世界でもよろしくな。」
南は俺に握手を求める。
俺は何も言うことはないので、黙って彼の手を握り締めた。
「ああ。」
そう言うと、南は時計を持って、目を閉じる。
二人ともに目を閉じていた。俺は次の世界を創造する。
それは確かに思い描いた幸せな夏の時。
それは後悔したあの時の自分。
それは確かにあった三人の思い出と混ざり合う。
さぁ。新たな世界を創造しよう。
次の世界で彼女とのデートを思い浮かべたり、南と彼方と三人で遊ぶ姿を創造する。
最後に想像したのは彼女が安らかに眠る未来。あんな苦悶の表情ではなく、年を重ねて、最後は幸せそうに天寿を全うして死するときに、俺は傍らで彼女を見守る。
すぐに行くと、今までありがとうとそう言って、お互いに微笑みを浮かべる。
そうして創造しうる世界を考える。
しかし、この世界も無駄ではなかった。
色んな人間と出会って、様々な物の価値感に触れた気がする。
勿論、面倒なことも、悲しいこともあったが、思い出せば異能者達がこちらに笑いかけている。
それが全て無に帰すのは何か惜しい気もするが、次の世界でも会えたら嬉しいなと願いをかける。
それこそ西山さんと同じように。
俺の指が微かに動いて、南の手の中にある固い何かにコツンと当たった気がした。
俺は最後に目を閉じる。
光が眩しくて、目を閉じていても光の膜が見えた。
ワールドメイクは発動し、世界は改変された。
南が俺たちを見ながら、居心地悪そうに物申す。
「ああ。すまん。」
「本当に自重しろよ。お前ら。確かに洋画やなんかはラストに意味の分からんイチャイチャシーンが入るが、親友のそういうところを目にする俺の立場にもなって考えてみろ。」
彼は今日、何度目かのため息を漏らすと、俺たちを叱責する。
それは教師が生徒を窘める様に。
「南くん。悪かったわ。…………。」
東は悪いと思ったのか、一瞬南から顔を背けるも、ものの数秒でコロッと忘れたように、こちらにその悪童じみた、いたずらっ子の顔を近づける。
…………。
「おい。だから自重しろよ。話が終わった途端、またしゃぶりつくのやめろ。気持ち悪い。」
「おお。すまん。」
「あれ。お前らなんか繰り返してないか?異能使った?」
南が心底、嫌悪感をもった表情でこちらを見るので俺も自重することにする。
彼女との間に手を置いて、一度、距離を取る。
東はまだ足りないと言った顔で舌打ちしているが、今は放っておこう。
「それで今からどうするんだ?お前らが引っ付いても何も解決しないぞ?」
「そうだな。……………………うーむ。まぁまた俺がワールドメイクを行使しようかと思っているけど。今となっては、その改変の闇についてもなんか違和感があるんだよなぁ。」
俺は冷静になった頭で考えるが、何か見落としている気がするのだ。
何か大切なことを。
その時、南が素っ頓狂な声を上げる。
「あ。……………………お前らの馬鹿な痴態を見て冷静になったことで一つ疑問が浮かんだわ。」
「ん?なんだ?」
「いや、東。」
「ん?なに?」
東は興味なさそうに南の方に顔を向ける。
「お前、本性を露わにした瞬間、俺に対して反応が冷たいな。まぁいいや。えっとこの世界は何回も改変してるんだろ?それって西京のことだけか?それ以外の理由で改変は行ってないんだな?」
「そうだけど。それが何?」
「いや、自分の命が危険に陥って改変とかないの?」
「ないわ。」
東はそう冷たく南に言い切る。
「西京。な?おかしいだろ?」
「ああ。ありがとう南。…………そういうことか。なんだ考えたら簡単なことだったな。」
「そうだな。西京が考えていることと俺が考えていることは一緒だ。酷な話だがな。」
「そうだな。つまりは…………俺が改変して東を殺し続けてたんだな。」
ワールドメイクは保持者の想像に基づいて、世界を過去から改変する異能だ。未来はない。
つまりは創造主の想像力にその世界は左右される。
初めの世界で俺は東の自殺現場を目撃し、それが強く頭に残っていた。それこそ夢に出るくらいに。
その影響をワールドメイクが受けないわけがない。
俺はワールドメイクを行使する際に、彼女の死に姿を嫌でも思い出してしまう。それが影響して彼女は死んでいたんだ。それは未来に進む途上で絶対に訪れる不可避の呪いの様に。
未来はないと思っていても、それは確約された未来だった。
彼女が絶対に死ぬという未来。
それを創造しうる異能だったのだ。
そして今回の世界で東が死んでいないのも同義だ。
彼女が未来に自分が死ぬなんて想像すらしていないだろう。
自分の死を想像する人間なんていない。死ぬ夢を見たり、死の先を考える人間はいても、自分の死に姿を想像する人間はほとんどいないだろう。
彼女は自分の死を想像すらしていないので、ワールドメイクでの過去の改変により死ぬことはないのだ。
これがもし、彼女に死の内容を話ていたら、こんなフウに彼女と話すことはもうなかったかもしれない。
彼女が自分の死を意識することがなくてよかった。
しかしながら俺は知らず知らずのうちに彼女を殺していたのか。ああ。これじゃ本当に喜劇だ。自分で蒔いた種を自分で育てて、自分で摘んでいただけなのだ。
こんな簡単な事を俺は彼女の死に対する恐怖から見落としていたのだ。
俺は本当に馬鹿なことをしていたんだ。
「東。ごめん。俺は…………。」
俺は東に首を垂れる。
しかし、東は俺の頭をその小さな手で撫でつけ、俺の口に指を当てる。
「皆まで言わなくてもいい。…………肇に殺されるなら私も本望よ。それに今はこうして良い感じにいったことだし上手く転がったと私は思っているわ。」
「東。」
「肇。」
俺と東が見つめ合うも、すぐに前を南が遮る。
「はいはい。自重してね。…………でどうする?謎も解けたし。」
「そうだな。なら東がこのまま正常に戻してしまえば、元通りじゃないか?」
「そうね。でも私、このまま、この世界でも本当にいいんだけど。こうして肇も私を受け入れてくれたわけだし。」
「うん。こいつにもう一度ワールドメイクを使わすの怖いな。…………間をとって俺が使おうか?」
「は?」
「あの。ごめん。東さん。俺の足踏んでる。」
「あ。ごめん。わざと。」
彼女は南の足をもう一度踏み直すとその足を地につけた。
南は恨めしそうに東を見ながらも話を続ける。
「冗談は置いておいても、俺が使った方が理にかなっていると思うがな?俺はお前らことに関しては俯瞰的に見れていたし、特に願いもない。自然体な世界を創造できると思うぞ?」
「まぁそうだな。…………それでいいか?」
「だめ。」
「え?」
東は手を伸ばして受け取ろうとする南の手を払いのけた。
そして、神妙な顔つきで、こちらを牽制するように腕時計を握り締めた。
「だって…………やっと肇と分かり合えたんだよ!?この世界は私にとって都合がいいの。いいえ。この世界が良いの!だって次に改変した世界で私と肇がまた分かり合えるか分からないでしょ!?」
それは悲痛な彼女の叫びだった。
心をむき出しにして、己の欲のためにすべてはいらないという彼女の自己中心的な、ある意味で最大限に利己的なまでの愛の形なのかもしれない。
他人が見れば拒否反応を示すだろう彼女の独占欲。
しかし、俺はその姿をみて、何故か酷く落ち付いていた。
考えていたのだ。
彼女のことを。
それは俺がここまで改変を重ねて、たどり着いた世界で本当の彼女と出会って、それゆえ彼女の心に初めて触れた気がしたからだ。
俺が改変を重ねたのは、彼女を生かすため。それは何故だろう?いや。因数分解するまでもなく分かる。
これは俺が彼女を好きだったからだ。
すべてから逃げようとしても、何故か最後に彼女に時計を渡してでも、繋ぎ止めようとしていた。
どうにかして、彼女と南とのつながりを守りたかったからだろう。
そうして、最後に彼女がすべてを壊してでも俺といたいという心を俺が理解しなくては、誰が理解できるのか。
俺は彼女に優しく語りかける。
「なぁ。東。俺みたいななんの取り柄もない、単なる中二病みたいな奴で、なんの責任もとれなくて、それでいて平凡な人間。学業に秀でているわけでも、スポーツが出来るわけもない。こんな人間でもいいのか?こんな俺でいいのか?」
「うん。私は肇が良い。何が出来なくても、貴方が私を救ってくれた。何にもない毎日で、出口もない暗闇だと思っていた世界から私を救ってくれた。何度も何度も。救ってくれたじゃない。…………それで十分だよ。私にとっては十分。私が貴方を求める理由はそれで十分なの。」
「そうか。…………俺、君が好きだよ。彼方が好きだ。」
「うん。私も。何度も言ってるから。もう言わない。続きはまた今度。」
「そっか。それは寂しいけれど。じゃあ、次はこれ以上ないくらい好きになって、幸せにするよ。」
「ううん。私がしてあげる。私が貴方を幸せにするの。」
「そっか。」
何故か自然と涙が溢れた。
それは今までの悲しみに暮れる絶望の涙とは違う。心が熱くなって、あふれ出す感情のなすが儘に自然と流れる涙だった。
その涙を彼方が拭った。しかし、彼方の瞳にも同じように涙が溢れて、俺は嬉しくなってまた泣いた。
その様子を親のような顔で朗らかに笑い、南は近寄ると東から時計を受け取る。
「どうする?最後に何かいい残したことないか?」
「ないな。」
「ないわ。」
「そうか。じゃあ。お二人さん。次の世界でもよろしくな。」
南は俺に握手を求める。
俺は何も言うことはないので、黙って彼の手を握り締めた。
「ああ。」
そう言うと、南は時計を持って、目を閉じる。
二人ともに目を閉じていた。俺は次の世界を創造する。
それは確かに思い描いた幸せな夏の時。
それは後悔したあの時の自分。
それは確かにあった三人の思い出と混ざり合う。
さぁ。新たな世界を創造しよう。
次の世界で彼女とのデートを思い浮かべたり、南と彼方と三人で遊ぶ姿を創造する。
最後に想像したのは彼女が安らかに眠る未来。あんな苦悶の表情ではなく、年を重ねて、最後は幸せそうに天寿を全うして死するときに、俺は傍らで彼女を見守る。
すぐに行くと、今までありがとうとそう言って、お互いに微笑みを浮かべる。
そうして創造しうる世界を考える。
しかし、この世界も無駄ではなかった。
色んな人間と出会って、様々な物の価値感に触れた気がする。
勿論、面倒なことも、悲しいこともあったが、思い出せば異能者達がこちらに笑いかけている。
それが全て無に帰すのは何か惜しい気もするが、次の世界でも会えたら嬉しいなと願いをかける。
それこそ西山さんと同じように。
俺の指が微かに動いて、南の手の中にある固い何かにコツンと当たった気がした。
俺は最後に目を閉じる。
光が眩しくて、目を閉じていても光の膜が見えた。
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