お兄ちゃん絶対至上主義☆

藤宮りつか

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第一章 綻び

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 月曜日。

「なぁ、真弥。真弥のお弁当って毎朝真実さんが作ってくれてるんだよね?」
「うん。そうだよ?」

 昼休みになり、いつものように日向、与一と一緒にお昼を食べていた俺は、俺の弁当箱の中を眺めながら、何やら困惑気味な顔をしている日向に首を傾げたくなった。
 朝比奈日向、轟与一の二人は小学校からの同級生で、去年はクラスが違ったけれど今年は同じクラスになった。
 元々仲が良かった俺達三人は、同じクラスになったことで当然のようにつるみ、昼休みになるといつも一緒にお弁当を食べている。
 ちなみに、〈真実さん〉というのは俺の兄ちゃんのことだ。
 本来、この学校の生徒である日向や与一は兄ちゃんのことを〈真実先生〉もしくは俺達兄弟の苗字である〈神崎先生〉と呼ぶべきところなんだけど、二人は兄ちゃんが先生になる前から兄ちゃんのことを知っているし、神崎って呼ぶと俺の苗字と被ってしまうから、兄ちゃんのことは〈真実さん〉と下の名前で呼んでいる。
 俺の家のことも良く知っているから、俺の弁当を毎朝兄ちゃんが作ってくれていることも日向は知っているんだけれど、今日に限って困惑気味な顔をしているのはどういうことだろう。

「いや、その……何て言うか……。真実さんもキャラ弁とか作るんだって、ちょっと意外というか、可愛いというか……」
「っ‼」

 そうだった。昨日、身長が更に伸びてしまったことで兄ちゃんに怒られ、しょんぼりと落ち込んだ顔を見せてしまった俺は、今朝兄ちゃんに

『お前もまだまだ子供だから、たまにはテンション上がる弁当作っといてやったぜ』

 と言われ、そう言って渡されたのが、見た目が可愛らしい某人気キャラクターを模したキャラ弁だった。
 一体どういう思考から〈キャラ弁を作ってやろう〉なんて兄ちゃんが思ったのかはわからないし、女子ならともかく、高校二年生になった男子が可愛いキャラ弁でテンションが上がると思った兄ちゃんの発想も謎過ぎる。
 ひょっとして、兄ちゃんより更に背が高くなってしまった俺に対する嫌がらせなの?
 っていうか、朝から弟のためにせっせとキャラ弁を作っている兄ちゃんを想像すると、その姿に萌えるわ。そっちの方にテンションが上がっちゃうよ。

「いやっ! これはその……はははっ! 何だろうなぁっ! 兄ちゃんの気紛れってやつだよっ!」

 我ながら苦しい言い訳だと思ったけれど、じゃれ合いみたいな兄ちゃんとのいざこざを二人に知られたくないし、俺をしょんぼりさせてしまったことに対する兄ちゃんの気遣い――と説明するのもちょっと恥ずかしい。
 さっき、弁当箱の蓋を開けた瞬間、中味を見られたら不味いと思ったには思ったんだけど、変に意識したら余計悪目立ちすると思い、何食わぬ顔でやり過ごそうと思ったんだけどなぁ……。
 日向の目にはしっかりと不自然に映ってしまったらしい。

「っていうか、あのナリでキャラ弁作ってるとかちょっと怖いわ。真実さんって雄全開って感じの人なのに、普通に家事やってんのも俺的には未だに違和感しかないんだけど」

 日向同様、与一も俺の弁当がいつもと違うことには気付いていたみたいだけど、日向が突っ込みを入れるまでスルーしていた様子だった。
 そもそも、与一はあまり兄ちゃんの話をしたがらない傾向にある。
 それというのも、中学の頃、うちに遊びに来た与一が勝手に兄ちゃんの部屋に入り、エッチな本やDVDを探していたことが兄ちゃんにバレてしまい、兄ちゃんにめちゃくちゃ怒られたことがあるから、与一は俺の兄ちゃんを恐れているところがある。
 まあ、与一が悪いっちゃ悪いし、止めようとしたものの、結果的に与一を兄ちゃんの部屋に入れてしまった俺まで怒られたから、与一はその罰を受けて当然だと思う。
 あと、これは与一本人がよく言っていることでもあるんだけど、与一は兄ちゃんのように男前で女にモテるイケメンが嫌いだった。
 理由は「普通に嫉妬するしムカつくから」ということらしい。
 そんなわけだから、兄ちゃんのことを話す時の与一にはいつも棘があったりする。
 一方

「そうかなぁ? 真実さんは格好いいし優しいよ? 何でもできるって感じもするから俺は憧れるけどな」

 日向は兄ちゃんに対して好意的な感情を持ってくれている。兄ちゃんのことも尊敬してくれているみたいだから俺は嬉しい。
 日向と与一は俺が二人に出逢う前からの付き合いらしいけど、二人の性格や人柄が全く違うところが俺的には面白い。

「はあ? お前はいい子ちゃんかよ。俺だって真弥の兄貴を悪く言いたくないけどさぁ。あの人ちょっと怖くない? 目つきも悪いしさぁ。それなのに女にモテるって何なの? 普通に羨まし過ぎんだろ」
「いやいや。真実さんは格好いいよ。男らしいし、頼りがいもあるし。おまけに家事もできるんだからモテないはずがないよ。与一は真実さんがモテるってことに僻んでるだけじゃん」
「そうだよっ! それの何が悪いんだっ!」
「えっと……悪くはないけど……。そこ、認めちゃうんだ。それってちょっと格好悪くない?」
「黙れ」

 はぁ……。この三人の中で兄ちゃんの話題が出るといつもこれだ。もう慣れてるっちゃ慣れてるけど、正直自分の兄ちゃんのことで二人が言い合いをしてるのって変な気分だよな。
 と言っても、与一が一方的に癇癪を起しているだけって気もするけど。

「でもさ、真弥のために毎朝お弁当を作ってくれるなんて、真実さんは本当にいいお兄さんだし、真弥のこと大事にしてくれてるよね」
「え?」
「俺は長男だからちょっと羨ましいな。俺も真実さんみたいなお兄さんが欲しかったなぁ~」
「そ……そうかな……」

 言い合いを始めたかと思ったら、まだ怒り冷めやらぬ与一を無視して、日向が満面の笑みを浮かべてそんなことを言ってきたからドキッとした。
 兄ちゃんのことを褒めてもらえたことが嬉しかったのはもちろんだけど、兄ちゃんが俺のことを大事にしてるって言われたことに胸が高鳴ってしまった。
 そりゃまあ、早くに両親を亡くして兄弟二人だけになっちゃったんだから、兄ちゃんが八つ年下の俺を可愛がり、大事にしてくれるのは当たり前だ。
 だけど、それが他人の目から見てもわかるんだって思うと、兄ちゃん大好きな俺はめちゃくちゃ嬉しくなっちゃうんだよな。

「ふんっ! どうせそれも今のうちだけだって。真弥がもう少し大きくなったら彼女とか作って、その彼女と結婚なんかもするだろうしさ。そうなったら今みたいに真弥に構ってくれなくなるぞ」
「っ!」
「こら与一っ! そんなこと言うなよっ! そりゃ真実さんだってそのうち結婚するだろうけど、だからって真弥のことをないがしろにするような人じゃないよっ! 真実さんにとって真弥はたった一人の家族なんだからっ! 結婚した後も真弥のことを大事にするに決まってるじゃんっ!」
「どうかなぁ~? でもあの人、今までは真弥中心の生活で色々と我慢してるところもあるんじゃない? 見るからに性欲とか強そうだし。きっと彼女ができたらロクに家にも帰って来なくなるよ。毎日彼女の家に入り浸りだよ」
「よぉ~いぃ~ちぃ~……。世の中には言っていいことと悪いことがあるってわかってるぅ~?」
「怖っ! 日向の顔怖っ!」

 そうだ。俺、先のことなんか全然考えてなくて、俺と兄ちゃんの今の生活はずっと続いていくものだと思っていたけれど、兄ちゃんだってそのうち結婚する日が来る――んだよな?
 そうなったら俺は今みたいに兄ちゃんと一緒にいられなくなっちゃうんだ。

「……………………」

 ヤバい。それを考えると泣きそう。兄ちゃんへの依存度が尋常じゃなく高い俺にとって、兄ちゃんが他の誰かのものになってしまうということが堪らなく嫌で、耐えられない。
 でも、昔は――まだ父さんと母さんが生きていた頃は兄ちゃんにも彼女がいた。
 兄ちゃんはそういう話を全然俺にしてくれなかったけど、兄ちゃんは自分に彼女がいることを隠していなかったから、俺も兄ちゃんに彼女がいることは知っていた。
 その時は特に何とも思わなかったんだけどなぁ……。嫌だと思うどころか、「兄ちゃんは格好いいんだから当然だ」としか思わなかった。
 なのに、どうして今はダメなんだろう。
 やっぱり両親がいなくなって兄ちゃんと二人だけの生活になってしまったからか?
 兄ちゃんが俺と一緒にいてくれることが当たり前になっちゃったから、今更兄ちゃんを他の誰かに取られたくないという気持ちが強くなり過ぎてしまったんだろうか。

(兄ちゃんに彼女ができるとか、俺死んでも嫌なんだけど……)

 今のところ、兄ちゃんに女の影は感じられない。
 っていうか、両親が亡くなってからというもの、おそらく兄ちゃんは一度も彼女を作っていないと思う。
 きっとそんな余裕がなかったんだろうな。兄ちゃんは気丈に振る舞っていたけれど、いきなり弟と二人だけの生活を余儀なくされたんだ。一人じゃ何もできない俺のために、兄ちゃんは自分を犠牲にしてでも俺の生活を守ってくれたに違いない。
 そして、それは今現在も続いているんだと思う。
 だけど、俺ももう高校二年生だ。そろそろほったらかしにしても大丈夫な歳になったから、兄ちゃんも自分の将来を考え始めているのかもしれない。
 それに、俺だって四六時中兄ちゃんと一緒にいるわけじゃない。俺が気付いていないだけで、兄ちゃんにはもういい人がいるのかもしれない。

「ねぇ、真弥。真弥だって真実さんが彼女を作ったくらいで真弥を蔑ろにするなんて思わないよね? ……って、どうして泣いてるの⁉ 真弥っ⁉」

 俺が一人であれこれと考えている間も、日向と与一の言い合いは続いているらしかった。
 与一の考え方を改めさせようと奮闘していた日向だけど、結局それは無理だと悟ったみたいだ。日向は俺に同意を求めてきたんだけど、これからの俺達兄弟のことを考えてしまった俺はそれどころじゃない。
 兄ちゃんに彼女ができたら――いや、彼女は百歩譲って許せても、兄ちゃんが結婚するなんて考えたら、それだけで泣きそう……を通り越して、本当に涙ぐんでしまっている俺がいた。

「与一っ! 与一が真実さんのこと悪く言うから真弥が泣いちゃったじゃんっ!」
「え⁉ 俺のせい⁉」
「他に誰のせいだって言うんだっ!」
「えぇぇぇぇ~っ! ごめんっ! 真弥ぁっ!」

 本当は与一が兄ちゃんのことをどう言ったところで、いつものことだから俺はそこまで気にしないし、傷つくこともないんだけど――ちょっと嫌だけど――、二人が何か勘違いしちゃったみたいだから、そういうことにしてしまおうと思った。
 だって恥ずかしいじゃん。兄ちゃんに彼女ができて、その彼女と兄ちゃんが結婚するのが嫌過ぎて涙ぐんじゃう俺って。
 もちろん、今までいっぱい苦労してきた兄ちゃんには誰よりも幸せになって欲しいと思っている俺だけど、その幸せの中に他人の存在を入れていなかった俺は浅はか過ぎたんだろうな。

「与一っ! もっと誠心誠意込めて謝れっ!」
「わ……わかったよぉ……ごめんなぁ、真弥ぁ~……」

 何かもう、この空間が色々と恥ずかし過ぎていたたまれないって感じになってしまっているんだけど、自分のせいで俺が泣いてしまったと勘違いしている与一もちょっと泣きそうだった。
 日向も責任を感じているみたいだし、これ以上二人に罪悪感を味わわせたくない俺は

「ん……いいよ。もう大丈夫だから」

 視界がぼやけるほどに潤んでしまった目から涙を拭うと、もう平気だと笑ってみせた。
 全くもう……。高校生にもなって何をやっているんだって話だよ。
 俺が兄ちゃん大好きなところも、兄ちゃんに依存し過ぎてしまうところも、いい加減変えていかなくちゃいけないよな。俺だっていつまでも子供のままじゃいられないんだから。
 とはいえ、まだまだ先のことを考えられない俺は、どうすれば自分が兄離れできるのかが皆目見当もつかない。
 時間が経てば自然と兄離れできるものなんだろうか。それとも、俺は一生兄ちゃん大好きな弟のままなんだろうか……。
 先のことはわからない。でも、一つ確実に言えることは、今兄ちゃんに彼女ができたら俺は物凄く嫌だってことだ。
 兄ちゃんがこの先彼女を作り、その彼女と結婚を考える日が来るとしても、それは俺がちゃんと兄離れできてからにして欲しい。
 そう望んでしまうのは俺の単なる我儘だってこともわかっているけど、兄ちゃんにはもう少しの間、俺だけの兄ちゃんでいて欲しい。


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