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第三章 嫉妬
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しおりを挟む(昨日の兄ちゃん、めちゃくちゃ可愛かったなぁ……)
翌日。すっかり満たされた気分で登校した俺は、昨日の兄ちゃんを思い出すたびに幸せな気持ちになれたし、気を抜くとうっかりナニが勃ってしまいそうなくらい興奮もしてしまった。
本当はあの後、兄ちゃんにちょっと説教をしてやろうと思っていたのに。兄ちゃんがあまりにも可愛かったものだから、説教するどころか、兄ちゃんを甘やかすことに手一杯だった。
それに、俺に何度もイかされ続けた兄ちゃんは、最終的に気を失うように寝ちゃったから、説教する時間もなかったんだよな。
兄ちゃんが寝ちゃったせいで、夕飯をどうするか問題に直面してしまったけれど、そこは適当に済ませることにした。
幸いご飯は炊いてあったし、うちにはいざって時のためにカップ麺やレトルト食品も買ってあるから、夕飯はレトルトのカレーで済ませた。
本当は兄ちゃんの代わりに俺が夕飯を作れたらいいんだけれど、今まで家事の一切は全部兄ちゃんに任せっきりだったからなぁ……。掃除や洗濯は辛うじてできても、料理だけは全く未知の世界だった。
でも、これからはそれじゃダメだと思ったから、俺も少しずつ料理の勉強をしようと思った。
俺が兄ちゃんを幸せにしてあげるためには、家のことを全部兄ちゃんに任せっきりにするのも良くないもんな。
で、その兄ちゃんなんだけど
「真実さん、今日は体調不良でお休みなんだって? 大丈夫なの?」
今日は体調不良を理由に仕事を休んで家で寝ている。
いや、体調不良は嘘じゃないんだよ?
だって兄ちゃん、今朝はベッドから起き上がれないみたいだったし、身体中が痛いって朝から物凄く機嫌が悪かったもん。
朝目が覚めた俺は、ベッドの中でひたすら兄ちゃんに怒られ、説教され、頭も二、三発殴られた。
散々兄ちゃんに怒られた後、ベッドから起き上がれない兄ちゃんを風呂に入れてあげて、兄ちゃんに朝御飯も食べさせてあげた。
初めて兄ちゃんの代わりに台所に立った俺は、兄ちゃんの指示通りに動き、生まれて初めて味噌汁を作った。
今まで使うことがなかったガスコンロの使い方も教えてもらったから、今度簡単な料理に挑戦してみようと思う。
兄ちゃんに朝御飯を食べさせてあげた後は、洗濯物を干して、再び兄ちゃんを抱えて部屋に連れて行ってもあげた。
朝からかなりの重労働だったし、おかげで今朝は遅刻もしちゃったけれど、俺が兄ちゃんのお世話をしてあげている、という状況は新鮮で楽しかった。
本当は俺も今日は兄ちゃんと一緒に学校を休んで、一日中兄ちゃんのお世話をしてあげたかったんだけど、兄ちゃんに
『お前は学校行け。行ってしっかり勉強してこい』
って凄まれたから仕方なく……。
兄ちゃんのいない学校に行っても楽しくないし、家にいる兄ちゃんが気になって、授業どころじゃないって感じなんだけどな。
でもまあ、一日中兄ちゃんと一緒に過ごしていたら、また兄ちゃんとエッチなことをしたくなっちゃうかもしれないから、兄ちゃんをゆっくり休ませてあげるためにも、俺は学校に行った方がいいと思った。
一日に三人もの相手をした兄ちゃんの身体は限界で、充分な休息が必要だもんな。
多分、今日は兄ちゃんもおとなしく家で寝ているだけだろうから、俺が心配するようなこともないと思うし。
ただ
「う……うん。大したことないみたいだよ? ちょっと熱があるだけっていうか……。昨日風呂上がりに上半身裸でうろついていたから、風邪引いちゃったみたい」
「そうなんだ。真実さんって暑がりだもんね」
「でもさぁ、それで風邪引いてりゃ世話ないよな。大人なんだからさ。体調管理はしっかりしなくちゃ」
兄ちゃんが休みとなると、日向や与一から兄ちゃんの具合を聞かれるのは避けられないし
「神崎君。先生の様子どうなの? 私、凄く心配~」
「神崎先生が風邪とか珍しいよね。私がこの学校に入学してから初めてじゃない?」
「風邪引いて寝込んでる神崎先生とか色っぽそう」
「言えてるー。想像しただけで鼻血出そうかも~」
クラスの女子が煩いのが面倒臭かった。
単純に兄ちゃんの心配をしてくれているならまだしも、風邪を引いて寝込んでいる兄ちゃんを勝手に想像して、興奮なんかしないで欲しい。
ほんと、うちのクラスの女子は兄ちゃんでエロい妄想するの好きだよな。普通、女ならそういう部分って男の前じゃ隠すものなんじゃねーの?
それなのに、どうしてうちのクラスの女子はこうもオープンなんだ。
兄ちゃんが普段からエロフェロモン撒き散らしているから、〈兄ちゃん=エロい〉は最早常識で、目には目を――なノリで、エロにはエロを――ってことなのか?
別にいいっちゃいいけど、年頃の男子がいる前でする話ではないし、ましてや兄ちゃんの弟である俺の前でする話でもないと思う。そういう話は女子の間だけでして欲しいって思う。
「そう言えば俺、昨日の放課後に鵜飼先生と真実さんが一緒にいるところ見たんだけど、昨日真弥が鵜飼先生に呼び出されたことと何か関係があるの?」
「え」
「鵜飼先生に呼び出された後、真弥って物凄く不機嫌だったじゃん? 実はちょっと気になっててさ。真弥、鵜飼先生と何かあったの?」
「……………………」
マジか。俺が放課後必死になって探しても見つからなかった兄ちゃんの姿を、日向は見掛けていただなんて。神様も意地悪過ぎるだろ。同じ遭遇させるなら、日向じゃなくて俺にしてくれよ。
そうしたら、兄ちゃんがあの二人にへとへとになるまで凌辱されることもなかったのに。
「べ……別に何も……。っていうか、ぶっちゃけ俺も何で鵜飼先生に呼び出されたのかがわかんなかったっつーか、鵜飼先生の用事が何だったのかがいまいちよくわかんなかったんだよな」
「そうなの?」
まさか兄ちゃんのことで俺が鵜飼先生に呼び出された――とは言えない。そんなことを言おうものなら、「何で?」ってなっちまうもんな。
「鵜飼先生と神崎先生って仲いいみたいだよね。私、よく二人が放課後一緒にいるところ見掛けるし。たまに一緒に帰ってる時もあるみたいだしさ」
「え~? 私は遠山先生と仲がいいんだと思ってた。遠山先生って普段あんまり笑わないのに、神崎先生といる時は楽しそうにしてるもん。二人は同期だっていうから、一番仲良しなんだと思ってたんだけど」
「どっちとも仲いいんじゃない? ぶっちゃけ、私達的にはその三人が仲良しなのって眼福でしかないし。下手に女の先生と仲良くされるより、イケメン同士で仲良くしてもらえた方が有り難いよね」
「確かに~」
えー……。俺が今まで気付いていなかっただけで、他の生徒達――特に女子生徒達の間では、あの三人って仲良し認定されてるわけ?
一緒にいるところをよく目撃されているみたいだし、兄ちゃんと一緒にいる時のあの二人の表情までチェックされているんじゃ、そう思われても当然なんだろうなぁ……。
鵜飼先生に至っては、兄ちゃんのことを「真実ちゃん」って呼ぶし。
でも、正直俺は今あの二人の名前を出して欲しくない気分。
みんなは兄ちゃんとあの二人をただの仲良しだとしか思っていないだろうけど、あの三人の関係はセフレで、最近そのことで俺と揉めている鵜飼先生は俺の敵。遠山先生もまた然り――なんだよな。
今日だって、兄ちゃんが欠勤していることについて、あの二人が何を考えているかわかったものじゃない。
まあ、昨日散々兄ちゃんとお楽しみだったあの二人は、兄ちゃんの欠勤理由が俺のせいだとは思っていないだろうけど。
俺だって、今日兄ちゃんが仕事を休む羽目になったのは自分のせいだと思っていない。半分は俺のせいでもあるんだろうけど、残りの半分はあの二人のせいだと思っている。
とはいえ、あの二人は知りたがるだろうなぁ……。兄ちゃんが今日、学校を休んでいる理由……。そして、兄ちゃんが今どういう状態なのかを知りたがって、また俺に絡んでくるような気がする。
そういうの本当に面倒臭いからやめて欲しいって思うのに、あの二人は俺に気を遣うようなことはしないから、自分が「こうしたい」と思ったことは実行しちゃうんだろうな。
(昨日の今日でまた呼び出しとかだけは勘弁して欲しい……)
そんな俺の切実な願いは、昼休みに砕かれることになる。
今日はわざわざ教室に来て俺を呼び出すのではなく、校内放送での呼び出しだった。
全校生徒に教師からの呼び出しを知られるくらいなら、まだ教室に来てくれる方がマシだ――。
そう思う俺なのであった。
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