お兄ちゃん絶対至上主義☆

藤宮りつか

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第五章 未知

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 今後の方針というやつがひとまず決まった俺は、それ以上遠山先生と話すこともなかったんだけれど、俺の肩に凭れてすやすやと気持ち良さそうに寝ている兄ちゃんを起こすのが忍びなくて、その後もちょっとだけ遠山先生との会話を続けた。
 正直、ほとんどの話が俺にとっては聞きたくない話でもあったんだけど、聞いておいて損はない話でもあった。
 何せ俺が知らない三人の関係を、より詳しく知ることができたんだから。
 兄ちゃんに聞いてもあんまり詳しく教えてもらえない話を、遠山先生から聞けたことはそれなりの収穫になった。
 そして、一時的ではあるが遠山先生と休戦状態を結べたことも良かったと思うから、最初は気が重くて仕方がなかったこの食事会も意味があったと思える。
 もっとも、俺をこんな場所に連れて来た兄ちゃんは途中からずっと眠っていたわけだけど

「兄ちゃん。そろそろ帰るよ。起きて」

 放っておいたらいつまでも寝ていそうな兄ちゃんを、いい加減に起こすことにした。
 元々「起こせぇ」って言われていたし。兄ちゃんもあんまり俺が遅い時間まで外にいると知ったら、絶対に怒ると思うもん。
 現在時刻は午後九時を回ったところ。うちに門限なんてものはないけれど、俺が外にいても兄ちゃんに怒られないギリギリの時間が今くらいだった。

「んー……真弥ぁ? もぉ朝かぁ?」
「じゃなくて。兄ちゃん酔っ払って寝ちゃったんだよ。ここ、家じゃないからね」

 酔ってうたた寝しているだけなのかと思ったら、結構なガチ寝だった。ここが居酒屋であることも忘れて寝惚けている兄ちゃんが可愛い。

「んん~? そうだったっけぇ? 言われてみりゃ、なんか飯食ってた気がするぅ……」

 まだ寝足りなさそうに目を擦る兄ちゃんは、酔っ払いの時以上にぽやぽやしていて、そんな兄ちゃんの姿に俺の庇護欲は大いに刺激された。
 と同時に

(こりゃお持ち帰りもされるわ……)

 と思った。
 兄ちゃんが鵜飼先生や遠山先生と今みたいな関係になってしまったのは、先生同士の飲み会の席で兄ちゃんが酔ってしまったからではあるんだけれど、こんなにふにゃふにゃになってしまった兄ちゃんを見れば、鵜飼先生だって〈お持ち帰り確定〉ってなるよな。
 兄ちゃんの危機管理能力の低さには改めて注意が必要だと言わざるを得ない。

「俺は会計をしてくるから、その間に神崎に帰る用意をさせておけ。連日の補習で神崎も疲れているんだろう。早く家に帰して休ませてやらないとな」

 その言い方は兄ちゃんを気遣う反面、俺に「もう今日は変なことをするなよ」と忠告しているようにも聞こえたが、俺だってそこまで兄ちゃんに無理をさせるつもりなんてない。
 明日は丸一日休みの兄ちゃんと何もしないのはもったいない気もするが、俺だって兄ちゃんの身体を気遣う気持ちくらいある。




 別れ際に遠山先生から

「いいか? 今日はもう何もするなよ? ちゃんと神崎を休ませてやるんだ。わかったな」

 と念を押された俺は、言われなくても今日は兄ちゃんに何もしないつもりだった。
 それなのに

「ほら、兄ちゃん。ベッドまで連れて来てあげたから。楽な格好に着替えて寝ようね」

 俺が兄ちゃんを部屋まで連れて行き、ベッドの上に優しく下ろしてあげると

「やだぁ~……まだ寝ねぇ」

 兄ちゃんは急に駄々を捏ねだした挙げ句

「兄ちゃん、真弥とセックスしてぇもん。だからまだ寝ねぇ」

 とか言い出した。
 兄ちゃんが自分からこういうことを言い出すのは初めてのことで、嬉しい反面、戸惑いを覚える。
 もしかして兄ちゃん、酔うとシたくなっちゃうタイプの人間? そういう人間もいるっていうもんな。
 それに、それだと兄ちゃんが酔った勢いであの二人とヤっちゃったことにも説明がつくってものだ。
 ただでさえ、そういうことはご無沙汰だったうえに、キスに弱く、酔ったらシたくなっちゃう体質なら、酔った勢いで誰とでもヤっちゃってもおかしくないもん。
 つまり、あの時の兄ちゃんは二人と簡単にヤっちゃう条件が揃っていたことになるわけだ。全くもってけしからん。

「何? 兄ちゃんは酔うとシたくなっちゃうの?」
「うん」

 認めたじゃん。自分は酔うとそうなる人間だって簡単に認めたじゃん。とんでもない兄である。
 でも、そういうことなら俺も遠慮する必要はないよな。だって、俺が兄ちゃんに無理強いするわけじゃなくて、兄ちゃんから俺とシたいって言っているんだから。

「そっかぁ。兄ちゃんは酔うと誰とでもシたくなっちゃうわけか。ほんと、淫乱だね」
「ちげぇよ。誰でもいいわけじゃねぇもん。真弥だからシてぇと思うんじゃん」
「え?」

 おっと? 何かすげー嬉しいこと言ってくれるんだけど、それって一体どういう意味?
 兄ちゃんには恋愛的な意味で俺に好きって感情はないはずなのに、それでも俺だからシたいって思うものなのかな?
 まあ、ただ単に日頃からヤっている相手だから、今更〈ヤる〉〈ヤらない〉で迷う必要がない相手ってだけのことなのかもしれない。
 かもしれない、ではなく、可能性でいったらそれが一番の理由なんじゃないかって気がするよな。
 セックスが好きな兄ちゃんなら、一度スイッチが入るとヤらずにはいられないだろうし。俺をその気にするのなんて朝飯前だから、そう言えば俺が喜んで兄ちゃんに襲い掛かるのも簡単に想像がつきそうだもんな。
 正直、俺の純粋な気持ちを弄ばれているような気がしなくもないけれど

「兄ちゃん明日休みだしいいだろ? いつも兄ちゃんが真弥の我儘聞いてやってんだから、たまには兄ちゃんの我儘も聞け」

 覚束ない手つきで自分の服を脱ぎながら言う兄ちゃんを目の前にして、弄ばれている云々はどうでも良かった。むしろ、喜んで弄ばれたいくらいだ。

「そうだね。俺がいつも兄ちゃんに我儘言って、兄ちゃんに気持ち良くしてもらってるんだから。たまには俺が兄ちゃんの我儘を聞いて、俺が兄ちゃんをいっぱい気持ち良くしてあげないとね」

 上手くシャツが脱げない兄ちゃんに代わって、俺が兄ちゃんの服を脱がせてしまうと、自分の服も脱ぎ捨て、兄ちゃんの上に覆い被さると、裸にした兄ちゃんをギュッと抱き締めた。

「ぁんんっ……」

 ただ抱き締めただけなのに、アルコールの抜けていない火照った身体に、素肌が触れ合う感覚が気持ちいいのか、兄ちゃんは切なげな声を上げて俺の身体をぎゅうぅっと抱き返してきた。

「こうして兄ちゃんと裸で抱き合うのって気持ちいいね。ね? 兄ちゃん」

 隙間なく兄ちゃんとくっついた俺が、俺と裸で抱き合うことに感じている兄ちゃんにキスしながらそう言うと

「ん……気持ちいい……けどぉ……」

 兄ちゃんはちょっとだけ不満そうな顔でそう返してきて、もぞもぞと身体を動かし、俺の股間に手を伸ばしてくると、俺のナニをキュッと握ってきた。

「っ⁉」

 兄ちゃんが積極的なのはいつものことだけど、酔った兄ちゃんにはいつもと違う積極性があると感じた。
 積極的なところは同じでも、醸し出す雰囲気が甘えてるっていうか、俺を翻弄してくる積極性ではなく、俺をキュンとさせる積極性とでも言うんだろうか。とにかく可愛いと思える積極的な姿だった。

「兄ちゃん、真弥のコレが欲しいんだけどぉ」

 俺のナニを掴みながら、上目遣いでそんなことを言ってくる兄ちゃんが可愛過ぎて禿げそう。
 もし、これがAVか何かだったら、俺は今のシーンばっかりを何度も巻き戻して見てやりたいくらいだし、それだけでヌけるんじゃないかと思う。

「そんなにすぐ欲しくなっちゃうんだ。兄ちゃんはほんとにセックスが大好きだね」

 俺が知っている女子の誰よりも可愛さで負けていないと思う兄ちゃんは、握った俺のナニを手の中で優しく弄び、俺のナニが完全に勃ち上がったのを確認すると

「真弥だって人のこと言えねぇだろぉ? 兄ちゃんにちょっと弄られただけで、もうココがこんなになってんだから」

 何やら得意気な顔でそう言ってきた。
 そりゃ男なら誰だってこうなるのが普通だわ。
 考えてもみろよ。自分の好きな相手に「シたい」って言われるだけでもナニが反応しちまうっていうのに。
 その相手にちんこ握られて、「コレが欲しい」って言われるんだぞ。これで勃たなきゃ男じゃねぇわ。


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