お兄ちゃん絶対至上主義☆

藤宮りつか

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第六章 混戦

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「ゃっ……やだっ! 真弥っ! 見るなぁっ!」

 二人の男に抱かれている自分の姿を俺に見られたくないのか、兄ちゃんはちょっとだけ抵抗する素振りを見せ、この状況を何とかしようとしたみたいだった。
 いや、見るなって言われてもなぁ……。もう見ちゃったし、今更手遅れってやつじゃない?
 それとも何? 兄ちゃんはこの状況で俺に「部屋から出て行け」って言いたいの?
 そんなの無理に決まってんじゃん。
 だって、兄ちゃんが二人とセックスしてる最中なんだよ? 俺としては、「何としてでもやめさせないと」って思うところじゃん。

「こらこら。急に暴れんなって。そんなに暴れたら……」
「ぁんんっ!」
「な? 俺のが真実ちゃんの奥まで挿入はいっちゃって、真実ちゃんのいいトコ突いちゃうだろ?」
「ぁっ、ん……んんっ……」

 何だこれ。今日は人生最悪の日ってやつか? 何で俺、この世で一番大事な兄ちゃんが男に犯されてる姿とか見せられなきゃいけないんだよ。
 そもそも、今日は学校に来なくても良かったはずの鵜飼先生が学校にいて、俺と日向の勉強を邪魔してきた時から既に不運が始まっていたと思う。
 その後、俺達の様子を見に来た兄ちゃんを鵜飼先生が飯に誘い、兄ちゃんがそれを承諾してしまったことも良くない展開だった。
 更に、飯食った後は鵜飼先生が「真実ちゃん家に行きたい」と言い出し、それも兄ちゃんがあっさり承諾。挙げ句の果てには遠山先生も呼ぼうって話になっちゃったことの全てがおかしかった。
 これはもう、こうなる運命だったとしか思えないよな。家に来た遠山先生が手土産に酒とつまみを持って来たことも、こうなる運命を物語っていた。

「やだ……やだぁ……真弥が見てんのにぃ……」
「大丈夫大丈夫。真弥だって真実ちゃんのこういう姿見るのは初めてじゃないんだからさ。〈俺の兄ちゃんクソエロくて可愛い〉って興奮してるよ」
「んなわけあるかぁ……」
「あるって。真実ちゃんすっごくエロくて可愛いもん」

 でもって、俺の目の前でこれ見よがしに兄ちゃんをなだめすかし、行為を続行させようとする鵜飼先生は何なんだ。鵜飼先生って兄ちゃんとセックスしてる最中もいつもとあんま変わらないな。兄ちゃんのことも真実ちゃん呼びだし。
 一方、俺に見られたくない故に抵抗する素振りを続ける兄ちゃんのせいで、愛撫が一時中断されている遠山先生は不満そうだった。
 こっちはこっちでいつも通りというか、兄ちゃんしか見えていないって感じである。
 っていうか、俺と交わした一時休戦の話はどうなったんだよ。鵜飼先生を排除するどころか、鵜飼先生と一緒になって兄ちゃんにエロいことをしている遠山先生は、俺との休戦状態なんてすっかり忘れちまっているだろ。
 まあ、元々期待なんかしちゃいなかったし、遠山先生のことを信用していたわけでもないんだけどな。
 でも、俺に酒を飲ませて酔い潰した隙に、兄ちゃんとこういうことしている遠山先生は悪でしかないと思う。

「どうせならもっとよく見てもらいなよ。真実ちゃんが俺達にどんな風に抱かれているのか」

 何かまたとんでもないことを言い出したけど、鵜飼先生の脳内ってどうなっているんだろう。俺の前で申し訳ないって気持ちはないの?
 ないんだろうなぁ……。だからこその今なんだろうから。

「なっ……んんっ! そんなのっ……無理に決まってんだろっ! ぁんんっ!」
「無理じゃないって。真実ちゃんやらしいこと大好きじゃん。男に抱かれてる姿を弟に見られる――なんていう羞恥プレイも、実は興奮しちゃうんじゃない?」
「ふっ……ざけんなぁ……俺はそんな変態じゃ……ぁあっ!」

 あー……これもうほんとどういう状況だ。どうすりゃいいんだよ。止めに入ろうにも止まらないだろ。兄ちゃんと鵜飼先生は既に繋がっちゃってるし。何なら今にもイきそうなほど感じている兄ちゃんは、今俺に止めに入られても絶対に鵜飼先生とのセックスをやめないだろうし。
 かと言って、俺がここに混ざるのは絶対に嫌だ。
 この二人は二人掛かりで兄ちゃんを犯すことに何の抵抗もないのかもしれないけれど――そもそも、始まりがそうだった――、俺は数人掛かりで兄ちゃんを犯したい願望なんてない。好きな人とするセックスは一対一が基本なんだよ。
 そうは言っても、二人とセックスしている兄ちゃんを無視して自分の部屋に引き籠るのも無理だしで、俺はもうどうしたら……。

「ほら。真弥が俺とセックスしてる真実ちゃんのことガン見してるよ? 興奮しちゃうだろ?」
「ゃだぁっ……んっ……ぃやっ……ゃあっ、んんっ……」

 鵜飼先生とセックスしている自分を俺に見られるという羞恥に耐えられないのか、兄ちゃんはぽろぽろと涙を零して俺から身を隠そうとしたけれど、その仕草はただエロいだけに終わった。
 そもそも、隠そうにも隠せる場所がないんだから、無駄な足掻きでしかない。
 ベッドの上で絡み合う三人の男の姿なんて、普通に考えたら異常でしかないはずなのに、兄ちゃんがエロくて可愛いでせいで全く異常には見えなかった。
 それどころか、ただただエロくて官能的な光景にしか見えない。
 俺はまだAVなんてものを見たことがないんだけど、男がAVを見る気持ちが何となくわかった気がする。
 だってめちゃくちゃ興奮するもん。どうせ一人でスるなら、エロいもん見ながらヌいた方が満足感を得られそうだよな。
 まあ、所詮は性欲処理の一貫であり、性癖の問題でもあるんだろうけどさ。
 でも、妄想だけではなかなか気持ちが盛り上がらなかったりする時もあるから、映像という形で手っ取り早く性欲を刺激した方が楽なのは確かだと思う。
 で、今の俺はめちゃくちゃ好きなAV女優が出ているAVを見ているのと同じ状況になるわけだから、そんな光景を見せられて興奮しないわけがないのである。

「ぁんっ……真弥っ……ゃだぁっ……真弥ぁ……」
「おいおい。俺とシてんのに真弥の名前ばっか呼ぶなよ。妬けちゃうだろ?」
「だって……だって、真弥がぁ……真弥が見てるからぁ……」
「そうだねぇ。真弥めっちゃ見てるねぇ。俺に中ぐちゃぐちゃにされてる真実ちゃんから目が離せないって感じだよ?」
「んんっ……んー……ぁあっ……」

 クッソぉぉぉぉ~っ! 俺の目の前でよくもっ! って思うのに、兄ちゃんがあまりにもエロくて可愛いから、もうちょっと見ていたいって気持ちがどうしても出てきてしまう。
 俺は兄ちゃんと鵜飼先生や遠山先生の関係を認めているわけじゃないのに、二人とセックスしている兄ちゃんをただ眺めていることに抵抗がないんだろうか。
 いや。抵抗はある。心の中ではめちゃくちゃ嫌だと思っているし、見たくないって気持ちも、何で俺が? って感情もしっかり存在している。
 それなのに目が離せない理由は、男としての本能みたいなものなんだろうか。

「あー……真実ちゃんの中ってマジ最高。めっちゃ気持ちいい。真実ちゃんも気持ちいいだろ? 俺とセックスすんの」
「んっ……んんっ……気持ちぃ……気持ちいい……けどぉ……」
「真弥に見られてんのが気になってしょうがない? だったら真弥も混ぜてやれば? ただ見られてるだけじゃないなら、真実ちゃんも真弥の存在が気にならなくなるんじゃない?」

 おいーっ! マジで余計なこと言うんじゃねーよっ! 俺、心の底からその中に混ざりたいだなんて思ってねぇんだからっ!

「真弥……もぉ?」
「うん」
 で、兄ちゃんも簡単に鵜飼先生の言葉に流されないでくれないかな。
 よく考えて? こんな乱交紛いなところに俺を巻き込むなんて、俺の教育上絶対によろしくないよ? 兄ちゃんは俺を真っ当な人間に育てるため、俺の教育には殊更気を遣っていたはずなんじゃないの?
 まあ、今の兄ちゃんには理性なんてものがないから、よく考えるなんてことも無理なんだろうとは思うけど。

「ぶっちゃけ俺もちょっと気になるんだよね。血の繋がっている兄弟で本当にセックスなんてできんのかな? って。できるとしたら、どんなセックスしてんのかすげー興味ある」

 こいつ、実は最初からそれが目的で今日は兄ちゃんを食事に誘ったんじゃないだろうな。鵜飼先生ならその可能性は充分にあり得る。
 案外、遠山先生がいなくても、今日は最終的にこういう展開になっていたのかもしれない。


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