【完結】初恋の君を探していたが、本人と気づかずにあれやこれやとドツボにハマる話

たまとら

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結果オーライで帳尻が合う

32 やっぱり鼠は猫を咬む

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「徴税役人がやってきやした。
わしらは今年の収穫高を計算して、書類も起こして。ちゃんと税を用意していたのに。
足りないと言いやす。
今年から鎌にも塩にも人数にも税が掛かるって言いやがって…
村中から集めたし、ルツ様が送ってくださったものも出したけど、ちょうど金貨10枚が足りやせん。
金貨ですぜ…
そんなもん、わしら村のモンがろくに見た事もねぇです。
行商人のシュベツは、金を貸すからザナ様に一年の借金奴隷になったらどうかって言いやがった。散々甘い事を言って、明日の昼に返事を聞くと帰って行きやした。
ルツ様。今日の明日じゃ、打つ手はございやせん。ザナ様は村の者を誰も売るつもりは無いっておっしゃります。ザナ様は一年の奴隷堕ちする気でさぁ。
ルツ様に知らせるな。一年の間は旅に出てると隠せとおっしゃるんでさぁ。
だけどわしはシュベツは信用できやせん。
~ルツ様にも金が無いのはわかっとります。
せやけどお知らせしない訳にはいかんです。
ザナ様を止める手だ…て…  な……」

声がブツブツと途切れて消えた。
途中からルツは凍りついたようになっていた。
村長の声は真っ直ぐ脳に刺さってくる。
でもソレは心が拒否してなかなか飲み込めなかった


……金貨10枚。

そんな大金が。

いったい何故。

アレか。
領主を宅配に使った事に焦って、
いきなり勝負を賭けたのかっ⁉︎

明日の昼。

明日の昼までに、なんとかしなければ…


じいサマはすでに200歳を超えている。
森人は長寿とはいえ。
奴隷堕ちとなった時、その環境に老体がどのくらい耐えられるのかわからない…。


…金貨10枚。

考え付くのはアメデオ様しか無かった。




アメデオは突然の借金の申し込みに驚いた。

「申し訳ないが、現金は無いんだよ。
申告書を今日中に書き上げて、明日の朝議で審議しなければお金は動かせないんだよ」

貴族はあらゆる店に付け買いする。
正直、配達する子供に渡すチップ程しか現金は持っていない。


真っ青なルツの顔から村絡みだと悟ったアメデオは、何としても明日まで待つ様にと言った。

明日の朝議。

審議して昼…。


ルツはぺこりと頭を下げた。

間に合わない。

精霊の道で急いでも2時間は掛かる。

理由を聞こうとするアメデオに、にっこり笑っていとまを告げる。
何でも無いです。
ちょっと欲しいものがあったから。
~そう明るく笑ってルツはお辞儀をした。


ああ、お金。
どうすればいいのか。
すぐに必要なのに。

借金奴隷ってどんな事をするんだろう。
じいサマは年寄りで。
キツイ仕事は耐えられないかもしれない。
若いうちなら耐えられても…

じいサマは風と草と山で、ここんとこずっと暮らしてきたんだ。
奴隷は…


ぐるぐると頭の中で想いが回る。
胸の中で痛いほどに締め付けられて心がひゅーひゅー泣いている。
どうしたら。
どうしたら。

堂々巡りしているうちに。


そうだ。

僕は若くて体力があるじゃないか‼︎

と、気が付いた。

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