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7日前
3 ラスタ 王城
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厩舎の入り口に高くぶら下げられたランプのうちの一つが、ちろちろと情け無いまたたきをみせている。
ラスタは先の別れた長い棒でランプの柄をひょいと引っ掛けて手元に手繰った。
油を足されて煌々とする炎が、ラスタの髪をサンキストオレンジのように映す。
二階の休憩所から降りて来た老いた馬丁が、あ と小さく息をつめた。
「ラスタ様、またですかい⁉︎」
「うん。ちょっとね。」
苦笑しながら壁際の木桶を掴むと中のブラシを取り出す。
馬たちはランプの灯を受けてキラキラする瞳をラスタにむけた。
ラスタは3年前に城に来た。
"養い子"という制度のためだ。
元々"養い子"というのはド辺境で人の出入りが果てしなく少ない領地にある制度だ。近親婚で濃すぎる血を薄める為にと他領の子供を養子にしていく制度だ。
ゾルダン王は親子継承を良しとしなかった。
いわば実力主義者で、自分の子供すら力のない者を切り捨てたのだ。
その為に後継となる王太子を指名していない。
実力で王太子の座を目指せと決められたのが"養い子"の制度だった。
古くからあるローラシア王国の王家の血統は、嫡子も庶子も分家もと網羅するとかなり多い。
数年ごとに8歳から12歳の子供を城へと集めた。
"養い子"はすべからく王の子供として"王子"となる。
そして王太子を目指すレースに参加させられるのだ。
子供達は教育され競わされ煽られて、互いの隙を狙って画策する。
さながら蠱毒の壺の中の様に共喰いしていく。
王はその様子を見て愉しんでいた。
ゾルダン王は王妃との間に三男二女をもうけ、孫すらいる。
その子供達は既に"王太子レース"に参戦して脱落していた。
成人までそのレースを耐え抜いた者が然るべき地位を手に入れる。
その中で王に認められた者が王太子に指名されるという。
だが王太子は未だいなかった。
ラスタの前に集められた"養い子"は既に無い。
ラスタの組も既に5人が脱落している。
"養い子"は城でマナーと教養を叩き込まれて"王子"となる。
そしてスタートライに立たされる。
そのラインは当たり前だが真っ直ぐな一本線では無い。
家や後見人によって立ち位置が違う。
ラスタは行商の家に生まれた。
よく考えれば王国を渡り歩いてなかなかな情報を握ってるだろうとわかる。
だがあちこちの領主の御子息達にしてみれば、領地も持たない定住してもいない最下層な家の息子なのだ。
当たり前だが真っ先に潰そうと仕掛けられた。
ラスタは王国中を歩く足腰と、海千山千な商いの経験を持っている。
甘えた坊ちゃん達は勝手に自爆して、一人減り二人減りしていった。
そうしてるうちにもう3年が経ってしまった。
時々、心の騒めきが治らない時は厩舎で馬と過ごしている。
行商の相棒は馬と毛長牛だった。
馬丁達はもう慣れた者で、たまに馬用のリンゴを分けてくれたりする。
数日前、リュスベルへと馬車が出て行った。
替え馬で進める軍の特別馬車だ。
もうすぐパンゲア族を乗せて帰って来るだろう。
しばらく前から体調を崩した王妃の為だ。
回復しない体調に、医務官が何人か更迭されたという。
パンゲア族を呼ぶという事はそういう事だ。
ラスタはしゅっしゅっと馬体をブラシで撫でながら、エネメは来るのだろうかと考えていた。
ラスタは先の別れた長い棒でランプの柄をひょいと引っ掛けて手元に手繰った。
油を足されて煌々とする炎が、ラスタの髪をサンキストオレンジのように映す。
二階の休憩所から降りて来た老いた馬丁が、あ と小さく息をつめた。
「ラスタ様、またですかい⁉︎」
「うん。ちょっとね。」
苦笑しながら壁際の木桶を掴むと中のブラシを取り出す。
馬たちはランプの灯を受けてキラキラする瞳をラスタにむけた。
ラスタは3年前に城に来た。
"養い子"という制度のためだ。
元々"養い子"というのはド辺境で人の出入りが果てしなく少ない領地にある制度だ。近親婚で濃すぎる血を薄める為にと他領の子供を養子にしていく制度だ。
ゾルダン王は親子継承を良しとしなかった。
いわば実力主義者で、自分の子供すら力のない者を切り捨てたのだ。
その為に後継となる王太子を指名していない。
実力で王太子の座を目指せと決められたのが"養い子"の制度だった。
古くからあるローラシア王国の王家の血統は、嫡子も庶子も分家もと網羅するとかなり多い。
数年ごとに8歳から12歳の子供を城へと集めた。
"養い子"はすべからく王の子供として"王子"となる。
そして王太子を目指すレースに参加させられるのだ。
子供達は教育され競わされ煽られて、互いの隙を狙って画策する。
さながら蠱毒の壺の中の様に共喰いしていく。
王はその様子を見て愉しんでいた。
ゾルダン王は王妃との間に三男二女をもうけ、孫すらいる。
その子供達は既に"王太子レース"に参戦して脱落していた。
成人までそのレースを耐え抜いた者が然るべき地位を手に入れる。
その中で王に認められた者が王太子に指名されるという。
だが王太子は未だいなかった。
ラスタの前に集められた"養い子"は既に無い。
ラスタの組も既に5人が脱落している。
"養い子"は城でマナーと教養を叩き込まれて"王子"となる。
そしてスタートライに立たされる。
そのラインは当たり前だが真っ直ぐな一本線では無い。
家や後見人によって立ち位置が違う。
ラスタは行商の家に生まれた。
よく考えれば王国を渡り歩いてなかなかな情報を握ってるだろうとわかる。
だがあちこちの領主の御子息達にしてみれば、領地も持たない定住してもいない最下層な家の息子なのだ。
当たり前だが真っ先に潰そうと仕掛けられた。
ラスタは王国中を歩く足腰と、海千山千な商いの経験を持っている。
甘えた坊ちゃん達は勝手に自爆して、一人減り二人減りしていった。
そうしてるうちにもう3年が経ってしまった。
時々、心の騒めきが治らない時は厩舎で馬と過ごしている。
行商の相棒は馬と毛長牛だった。
馬丁達はもう慣れた者で、たまに馬用のリンゴを分けてくれたりする。
数日前、リュスベルへと馬車が出て行った。
替え馬で進める軍の特別馬車だ。
もうすぐパンゲア族を乗せて帰って来るだろう。
しばらく前から体調を崩した王妃の為だ。
回復しない体調に、医務官が何人か更迭されたという。
パンゲア族を呼ぶという事はそういう事だ。
ラスタはしゅっしゅっと馬体をブラシで撫でながら、エネメは来るのだろうかと考えていた。
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