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これまでと、いままでと。ーユーリverー
回想
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僕はルーブル家の三男に生まれた。
長男次男とは違い両親や周りの期待も薄く、問題を起こさず家のために、というのが家庭教師からずっと言われてきた。それを不満に思ったことはなく、自分も何か家のことで助けになりたい、と思い何かできることがあれば率先して行った。
いつしか自分には長男次男より能力があると気付いたが、2人を支えることに専念しようと心に決めた。
性格的にも野心がある方ではなかった。
誰かとゆっくり過ごしていた方が気性にあった。
お茶会や政治がらみの社交界に参加しても、特に目立つこともせず、そして兄より賢い発言をしなかった。人と家の付き合いは、一歩引いている三男だから気づくことも沢山あってそれを家のために活かせるのなら満足だとも思っていた。
※
マリーとは家に交友があったのが始まり。
父上が話をしている最中は、遊んできなさいと言われ部屋から出される。歳の近い僕達は何度も家の庭で色んなことをして遊んだ。
メイド達も着席させてお茶会をしたり、本の貸し借りをして感想を言い合ったりした。
マリーはとても明るくて、僕とは違った。元気いっぱいに遊び、子供なのに時々ハッとさせられるような発言をする。
マリーの周りには笑顔がたえなかった。マリーの両親も周りからも、マリーは必要とされていて、大事にされていた。その輪に入ると、何だか自分も大事にされてるような気分になった。
そのことが年少時代の自分にはいつしか心の支えになっていたんだと思う。
※
この後のことは今でも夢に見る。
マリーと馬の練習を一緒にしていた時のこと。
マリーの頑張って!という応援が聞こえ、少しだけ良い格好をしたくなった。
少しだけ駆けてみましょうか、という声に合わせて思いっきり力を入れてしまった。
馬が、驚いて、、そしてーー。
気が付いたらマリーが倒れていて足から出血していた。悲鳴が溢れ、大人達が駆け寄ってきて僕は何もできず、ただ怖くて震えた。
父が寄ってくるのが目の端に捉え、泣き付こうとした。まだ子供だったからー。
そして僕は、父に、殴られた。
とんでもないことをした、と何度も。
ごめんなさいと何度も繰り返したけれど、声に出せたのだろうかー。
途中で気を失い、目が覚めたのは、マリーの家のベットの上だった。
豪華な天蓋を見て、涙が流れていくのを感じた。
マリー、マリーはどこ?
か細く言う自分に、近くに控えていたメイドが気の毒そうに覗き込んできて、マリー様はご無事だということ。馬に襲われかけたが僕が夢中で手綱を引き、馬の方向を変えたこと。その時驚いて地面に落ちていた木でザックリと足を切ったのだということを教えてくれた。今はもう傷も縫われて、出血もとまり、安静にしているらしい。
そうか、助かったんだ、よかった、本当によかったー。
ーこの目の前の小さな男の子は自分の顔が腫れ上がっているのにも気にかけずマリーのことだけを案じているのが、メイドにはそれが気の毒だったー。
それから2、3日経った後、父上に呼び出された。
あの日は父上はクラベル家の当主と話さなければいけないから先に帰されてしまった。そこからは父上にお会いしたくても、高熱を出してしまい、会うことはできなかった。
何を考えているか分からない父上に、酷く殴られた時のことを思い出されて、足が震えるくらい怖かった。
常日頃から問題は起こさずにと言われてたのにどうしよう、と頭の中でぐるぐる巡った。
父上が、クラベル家には借りができた、お前は向こうがお許しになるまでクラベル家に仕えなさい。このことは他言無用だ、と言われた。
そして次の日から、毎日、マリーの側にいる
長男次男とは違い両親や周りの期待も薄く、問題を起こさず家のために、というのが家庭教師からずっと言われてきた。それを不満に思ったことはなく、自分も何か家のことで助けになりたい、と思い何かできることがあれば率先して行った。
いつしか自分には長男次男より能力があると気付いたが、2人を支えることに専念しようと心に決めた。
性格的にも野心がある方ではなかった。
誰かとゆっくり過ごしていた方が気性にあった。
お茶会や政治がらみの社交界に参加しても、特に目立つこともせず、そして兄より賢い発言をしなかった。人と家の付き合いは、一歩引いている三男だから気づくことも沢山あってそれを家のために活かせるのなら満足だとも思っていた。
※
マリーとは家に交友があったのが始まり。
父上が話をしている最中は、遊んできなさいと言われ部屋から出される。歳の近い僕達は何度も家の庭で色んなことをして遊んだ。
メイド達も着席させてお茶会をしたり、本の貸し借りをして感想を言い合ったりした。
マリーはとても明るくて、僕とは違った。元気いっぱいに遊び、子供なのに時々ハッとさせられるような発言をする。
マリーの周りには笑顔がたえなかった。マリーの両親も周りからも、マリーは必要とされていて、大事にされていた。その輪に入ると、何だか自分も大事にされてるような気分になった。
そのことが年少時代の自分にはいつしか心の支えになっていたんだと思う。
※
この後のことは今でも夢に見る。
マリーと馬の練習を一緒にしていた時のこと。
マリーの頑張って!という応援が聞こえ、少しだけ良い格好をしたくなった。
少しだけ駆けてみましょうか、という声に合わせて思いっきり力を入れてしまった。
馬が、驚いて、、そしてーー。
気が付いたらマリーが倒れていて足から出血していた。悲鳴が溢れ、大人達が駆け寄ってきて僕は何もできず、ただ怖くて震えた。
父が寄ってくるのが目の端に捉え、泣き付こうとした。まだ子供だったからー。
そして僕は、父に、殴られた。
とんでもないことをした、と何度も。
ごめんなさいと何度も繰り返したけれど、声に出せたのだろうかー。
途中で気を失い、目が覚めたのは、マリーの家のベットの上だった。
豪華な天蓋を見て、涙が流れていくのを感じた。
マリー、マリーはどこ?
か細く言う自分に、近くに控えていたメイドが気の毒そうに覗き込んできて、マリー様はご無事だということ。馬に襲われかけたが僕が夢中で手綱を引き、馬の方向を変えたこと。その時驚いて地面に落ちていた木でザックリと足を切ったのだということを教えてくれた。今はもう傷も縫われて、出血もとまり、安静にしているらしい。
そうか、助かったんだ、よかった、本当によかったー。
ーこの目の前の小さな男の子は自分の顔が腫れ上がっているのにも気にかけずマリーのことだけを案じているのが、メイドにはそれが気の毒だったー。
それから2、3日経った後、父上に呼び出された。
あの日は父上はクラベル家の当主と話さなければいけないから先に帰されてしまった。そこからは父上にお会いしたくても、高熱を出してしまい、会うことはできなかった。
何を考えているか分からない父上に、酷く殴られた時のことを思い出されて、足が震えるくらい怖かった。
常日頃から問題は起こさずにと言われてたのにどうしよう、と頭の中でぐるぐる巡った。
父上が、クラベル家には借りができた、お前は向こうがお許しになるまでクラベル家に仕えなさい。このことは他言無用だ、と言われた。
そして次の日から、毎日、マリーの側にいる
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