仲間殺しの英雄

英雄

ヒーロー2

そんなこんなでこの国の実権を握った俺。


だがその治国権は、捨てた。


俺は帝王学を学んでないし、天性のカリスマなどはない。あるのは貴族共の一般常識くらい。


城下はもちろん、貧民街にさえ出ることを許されなかったので、学力もゼロ。魔力はあるらしいが使ったことは無い。使い方は親、友人、そして学校で習うものらしい。




従って一国の王なんぞ出来るわけもなく(圧政ならばできるかもしれない)、俺は第一皇子にそれを譲渡した。



第一皇子は俺を普通の兄弟として扱う。だから任せた。



俺が切ったのは謁見の間にいる王族と貴族らだけで、そもそも俺に好意的な人間はその時知らされておらず、その場にいなかった。


まあ、ものすごく驚かれて、最後は「篝の好きにするといい」って言われたけどな。


あいつは王族の中でもかなり信頼をおかれていたし、できんだろ。と業務を丸投げして、俺は城下へ向かった。





そして、謗られた。



曰く、『別に評判も悪くない王、貴族を殺したのは流石に許せないだろう。一時的とはいえ国が荒れる。その微々たる影響で貧民は特に被害が出る』かららしい。第一皇子談。




俺は学園に入り、魔力を制御することを当面の目標にしていたが……これじゃあ入ってもろくな生活が送れるとは思えない。



ということで、俺は城に舞い戻り、第一皇子に姿形を変える魔法を習い、自身の髪色、目の色、造形をちょこちょこっと弄り、晴れて学園に入学した。




この話は、それからの俺の物語。



リビテイン王国の学園で、俺が色々やらかしたりやらかされたりする、お話。




────開幕である。