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学園
ヒーローの返事
しおりを挟む……よし、ちょっと場を整理しよう。
光龍と呼ばれる(先生に聞いた。説明聞いてないのがバレて怒られた)モフモフを召喚した。
↓
『ミク様』のいるグループに戻った。
↓
呆然としていたが、気になっていた名前を聞こうと思った。
↓
取り巻きがウザイ。
↓
『ミク様』が前に出てきて告白された。
最後だけ脈絡がない……。
「あ、すみません、名前がまだでした。私はミクハ・ユーレーンといいます。第一皇女の娘ですが、お気になさらずミクハとお呼びください」
お、おう。
「……ミクハ、さっきのは告白、なのか?」
「……ええそうです。突然ですみません。ですが、一目惚れですの。返事はいつでもお待ちいたしますから、どうか、お願いします」
……お、おう。
そこまで言うとミクハは頬を赤くし、制服のスカートの裾をきゅっと握った。
場が静まり返る。
これは……俺の言葉待ちなのか?
口を開くが……とてもこんな場面で使える言葉を持ち合わせていない。罵倒なら貴族が言ってきたからわかるが、相手を思いやるなど……。
「……明日、返事をする」
「本当ですか!」
パアっと花が咲くように笑うミクハ。風が吹いていないのに長いブロンドも踊るように揺れた。気持ちのバロメーターのような存在なのか。
タイミングがいいのか悪いのか、ここで国歌のワンフレーズが放送で流れた。
チャイムに国歌を採用しているらしく悪趣味と言わざるを得ないな。どれだけ軍国家にしたかったのだろう、国王は。今は第一皇子が国政を握っているから早急に変更を求めよう。
いや、そうすればここに通っているとバレるか……?いやいや、それは知り合った友人が通っているとして……そうして友人のことを聞かれたらどうする?寮生活だろう?
「……ん!炎!炎!!」
「……なんだ」
現実逃避から肩を揺さぶられて醒める。
ガクガクと力を強めるのは内海だ。あ、授業終わってたな、そういや。
「……話は署で聞く。もう放課後だから、任意同行してもらおう」
堅苦しく市警口調で物を言う内海をアマツを使ったってなんでもいいからとにかくねじ伏せたかったが、俺自身誰かに話してこの脳内カオスから抜け出したかった。
まだ突っ立っている何人かの生徒を横目に、ミクハはすぐ帰ったななんて思いながら、俺達はその『署』に向かった。
*:†:*:†::†:*:†:*
「さあ、今から事情聴取を始めよう」
「ウザってぇ、単刀直入に聞く。あれはなんだ?」
「それは僕が聞きたいよ!」
「告白……なのか?」
「ミクハさんが、炎に?」
「ありえねぇ……」
「ありえないね……」
寮の部屋。恐らく、思考が伝わってくるからわかるが、閉めてある扉には多くの寮生が詰めかけているはず。
この能力、知ったのは最近だが、扱いは容易かった。こう、なんだかオンとオフがあるように切り替えができる。
あまり目立ちたくない故に、咄嗟のことに反応しても困るから授業中などはオフモード。プライベートになるとオン。というようにしている。魔力を消費するらしく、あまり使いたくはない……。自分の魔力量を具体的には知らないからだ。
要はあの時のミクハの真意をはかり損ねたのが痛手だ。
悔やまれる。
第一皇女の娘だからかはわからないが、アマツを召喚した俺を取り込もうとしたのか……それにしては回りくどすぎる。そもそも第一皇女という後ろ盾があるから俺と真正面から対立しても引けを取らない、むしろ圧勝するくらいは勢力に差がある。
一体俺にどうして欲しいんだ、ミクハ。
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