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後編
11夢
しおりを挟む「ああ、忘れるところだった。そろそろ式を始めるから呼びに来た。」
父様は、肝心な事を思い出したようだ。
「分かりました。じゃあハル、行こうか。」
「あ、うん。」
僕は、ジルと父様に連れられ、緊張しながらも、式場の扉の前に立った。まずは、ジルが先に出て、僕は父様と出るらしい。
「じゃあ、行ってくるよ。」
ジルは僕の頭をポンポンすると、開かれた扉の向こうに行った。
「ハル、本当に今日のハルは綺麗だ。自身を持って行くといい。」
父様は、緊張している僕に気を使ったのだろうか。それだけ言うと、僕の手を父様の腕にまわすようにした。
「あの時みたいに転ぶなよ。」
「こ、転ばないよ!!それに、あの時は父様が悪い!」
父様は笑って僕に言ってきたが、あれは父様が悪い!!
僕は、怒ってはいたが、その後は何故か落ち着き、再び開いた扉を潜った。
横目で父様を見ると、今まで笑っていた父様は涙を流していた。
あぁ、こんな時でもやっぱり僕の父様はカッコイイ。ありがとう、父様。
僕はそう思いながら、父様から離れジルの元に足を運んだ。
その後は、指輪交換に誓のキス。
周りにいた親族からの拍手とともに、今度はジルと一緒に式場を後にした。
「ハル、これでやっと一つになれた。」
ジルは、控え室に戻ると、僕に抱きついてきた。
「ジル、僕も嬉しいよ。」
すると、ジルは僕から離れキスをしてきた。僕も、それを受け入れる。
「あぁ、これ以上はダメだね。」
ジルは、少し残念そうに言う。
「ジル、次は国の人達に挨拶だよね?もう直ぐに行くの?」
「そうだね、そろそろ呼ばれると思うよ。」
うう、緊張する。
コンコン
「失礼します。準備が整いましたので、お願いします。」
そう言ってきたのはカーディルさんだった。
「ああ、分かった。ハル、行くよ。」
そうして僕はジルに連れられ、お城のベランダの様な所に行った。下には、1万人以上の人達がいる。そして、特別に席を設けられた所には他国の王族であろう人達がいた。
「本日は私達の為に足を運んで頂き、ありがとうございます。私、ジル・ファルージアは、王位につき、こちらのハルーティア・アイザットと結婚しました。これからもより良い国になる様、皆様で造っていきましょう。」
ジルの挨拶が終わると、僕はフードを上げるよう合図され、ジルによって前に出された。
僕は震える手でフードをあげると、拍手とともにみんなの声が響いた。
良かった。歓迎されているみたいだ。
僕はホッとすると、ジルにフードを被せられ、ジルと一緒に手を振り、その場を後にした。
「良かった、何事もなくて。」
僕が安心していると、ジルは険しい顔をしている。
「どうしたの?」
「いや、ちょっとね。後で話すよ。」
??何かあったのか?
僕は不思議に思いながらも、控え室に戻り着替えをした。
ジルは、この後も他国との食事会があるらしく、僕は父様と一緒に屋敷に戻った。
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