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第一章 出会い

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~sideゼン~


 取り敢えず俺は叫びたい!! 凛くん可愛すぎやろーー!!


 まさか愁が変態化するとは思わんかったけど、あれはやばい。顔は赤いわ、苦しそうな声出すわ、喘いでるように聞こえてまうやろ!!


 そんで今は、俺の膝枕でスヤスヤ眠っとる。佐良さんらんかったら、キスチャンス到来やったのに。


「ゼンは本当に凛が好きよね。愁も分かりやすいけど、ゼンは会う前から好きよね??」


「げっ……バレてたん!? なんでや、隠しとったのに」


「なんでって……あれだけ散々会った事もない凛の事を聞かれたら、誰でも気づくわよ」


 まあ、一方的に見た事はあるんよなあ。佐良さんの息子で、上手いって聞いたら見たなるやん。そんで、凛くんが脳震盪で退場した試合、見に行ったんよなあ。静かで綺麗なレシーブする子おるな思っとったら……凛くんやったし……それにあんな事故装って、肉ダルマにぶつかってこられたら、凛くんの体型じゃ吹っ飛ばされんの目に見えとるやん。


「わざと弟に凛の動画送ったのも、今のだって全部凛の為でしょ。あんた分かりやすすぎよ」


「だって好きな子には、好きな事を楽しくやってもらいたいやんか。あわよくば高校卒業後は、うちに来てほしいし、それなりに目に止まらんと、トライアウト合格しても難しいですよね??」


「まあね……でも今回が最後よ。夏のリーグ戦が始まったら流石に、そっちに集中しなさい。ゼンもそろそろ全日本に選抜されてもいいと思うのよ。もし選抜されたら、凛次第だけど私からは何も言わないわ」


「え……それって」


「ゼンお前、凛くんを膝に……なんて羨ましい」


 そやなあ、そろそろ本気で選抜狙いいかなアカンな。凛くん俺におちてこーへんかなあ。


 その後一週間は、弟達の面倒みたんやけど、ブロック何しとんねん!!


「ゼル揃えろや。後ろに凛くんる思って跳びい。静流はサボるなや。山田は止めれるボールは止めな、一点取れるもんも取れへんぞ」


 めちゃくちゃ悪いわけやないけど、リードブロックやるんなら揃えなアカンやろ。なんで隙間あんねん。凛くんはよう拾っとったなあ。


「凛くんがワンチせぇへん方が、取りやすい言うたん分かるわ。凛くんの目ならワンチするか抜けてくるかくらい分かる。それなのに取れへんのは、ブロックがそん時によってバラバラやからやろ」


「というか、レシーバーの気持ち知った方がいいんじゃない?? 俺達のブロックの後に三人のブロック、そのうち一人ずつレシーブしてくってやつ」


 祐希、剛、リュカが凛くんの信者なんは知っとったけど、虐めたい精神強すぎやろ。大会前に心ズタボロにしてどうすんねん。まあやらせるけど。


 分からせんと、そのうち凛くんは練習試合が多くなればなる程、オーバーワークで潰れてまうやろなあ。


 お前等に教えるんは、凛くんの為やからなッ!! 勘違いすんなや!!




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