追放されたクズ勇者の死に戻り ~「オマエはクビだ」からやり直したオレは、破滅フラグを折りまくる~

テツみン

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第一話 クズ勇者、改心する

その十

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 翌日、旅支度を済ませたオレとマルタは王都中央広場近くのロータリーにいた。ファーナンド遺跡へ向かうため、乗合馬車を待っていたのだ。

「それで、ファーナンドにはどうやって行くんだ?」
 オレはそんなことを言う。

 前の人生では冒険者ギルドが馬車をチャーターしてくれた。それに乗って、ファーナンド遺跡近くの街、ファーナンドまでただ座っているだけでたどり着いた。だから、行き方なんて覚えていない。
 今回は、自分たちで行程を考えて、馬車を手配しなければならない。

「まずは、リームという町まで行って、そこでザブレロという町へ行く馬車に乗り換える。ザブレロで一泊したら、今度は峠越えの馬車に乗るんだ」

 峠越えでは山中で一泊することになるらしい。

「ずいぶんと長旅になるんだな」

 そんなに遠かったのか――なんて、いまさら思う。

「うん。でも、それからが問題なんだ」
「……もんだい?」

 峠を越えるとガルチ聖教国となる。つまり、国境を越えるのだ。

「王国と聖教国は国交があるから、王国の国民なら誰でも聖教国に入れるんだけど――」
「だけど?」
「ボクたち、冒険者の身分証も取り上げられちゃったよね?」
「あ……」

 そうだった。オレたちはギルドをクビになり、今は無職。つまり、身分を証明するモノを持っていなかった。

「まあ……なんとかなるさ」
 いざとなれば、検問の兵にカネを渡せばイイ。
「ならイイんだけど――」

 不安そうな顔を見せるマルタに、「大丈夫だって」と励ます。まあ、オレもなにか策があるわけではないけどな。そんなことを考えていた時――

「あれえ? そこにいるのは、勇者廃業のグエル様じゃないかぁ?」
 そんな男の声が聞こえた、人をバカにしたような気に障る話し方だ。

「――アレン」

 オレはコイツを知っている。
 アレン・ブラフォード。冒険者ギルドに所属する剣士だ。

 二年前、オレは勇者選抜の剣術大会決勝でコイツと戦った。
 昔からオレを田舎者とバカにしてきたヤツだったのだが、剣の腕前は確かで、オレと互角だった。ただ、剣スキルを使用した後、左ワキが甘くなるという情報をマルタから教えてもらっていたので、その弱点を突いてオレが勝利した。それからはオレに絡んでくるようなことはなくなったのだが――

「なんだぁ? 王都に居づらくなって、出ていくのかぁ?」
 アレンがそんなふうにオレのことを挑発する。

 昔のオレならすぐに乗ってきただろう――でも、今は違う。

「まあ、そういうことにしてやるよ」と、適当に返事をした。

「なあ、オレ、これからどこに行くと思う?」

 ふん。オマエがどこに行こうが興味はない。

「ファーナンド遺跡に行くんだよ」
「――えっ?」

 どういうことだ?
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