追放されたクズ勇者の死に戻り ~「オマエはクビだ」からやり直したオレは、破滅フラグを折りまくる~

テツみン

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第一話 クズ勇者、改心する

その十一

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「ちょっと、アレン? 先に行かないでよ!」

 今度は女性の声だ。それも、オレの良く知っている――「ニグレア?」と、つぶやく。
 勇者パーティの魔導士、ニグレアだった。どうして、ここに?

「えっ? グエル?」
 ビックリした表情で、彼女はオレを見ていた。

 彼女だけではない。その隣にクローゼとロゼルもいた。どういうことだ?
 混乱しているオレに、アレンはニヤけた顔で説明する。

「オレたち、はこれから『神書アスタリアズノート』を手に入れるため、ファーナンド遺跡へ行くんだよ」

 勇者――?

 どうやら、昨日、オレから勇者の資格を取り上げたあと、冒険者ギルドマスターのマコーミックから声をかけられ、新生勇者パーティの結成となったらしい。

 アレン以外は、今までの勇者パーティメンバー――つまり、ニグレア、クローゼ、ロゼルである。アレンは自分が『勇者』だと言い張っていたが、正式には神書を手に入れてから国王陛下が任命することになっているようだ。

「そういうことだ。まあ、オマエよりも立派に勇者をこなしてみせるさ。なあ!」
 そう言って、アレンはニグレアの肩に手を回す。
 ずいぶんと馴れ馴れしい。自分のオンナだとも言いたいのだろうか?

 どうでもイイが、ニグレアが嫌がっているぞ。ああいう顔のニグレアはあとが怖いんだよなぁ。

「そうか――せいぜい頑張れよ」

 そんなふうに皮肉めいた言い方をすると、アレンは――

「せいぜい? はっ! 何を言っている? 勇者をクビになるようなオマエとは違うんだよ! ファーナンド遺跡なんかカンタンに攻略してみせるさ」

 そういきがってみせるので、マルタが「カンタンではないよ。あのダンジョンは他とは比べモノにならないくらい危険なんだから。しっかり、作戦を練って――」と忠告する。

「はあ? 運び屋がオレに話しかけるんじゃねえ!」と、アレンがいきなりマルタを殴ろうとした。そのパンチをオレは掴んで止める。

「おい。マルタに手を出すな」

 睨みながらオレが言うと、ビックリしたような顔をアレンは見せた。

「くそ――」と、つぶやいたあと、いくぞとその場を離れようとする。
「はっ! そうやって、役立たずとつるんでいるほうが、オマエにはお似合いなんだよ!」

 こういうのを捨てセリフと言うのだろう――アレンはオレに向かって声を荒げると、ちょうど到着した馬車に乗り込んだ。
 冒険者ギルドが用意した馬車だ。そのあとをニグレア、クローゼ、ロゼルと仲間だった三人が続く。ロゼルと目が合ったオレは彼に近づき、「今度は死ぬなよ」と声をかけた。前の人生で、ロゼルはこれから向かうファーナンド遺跡で死んだ。
 もちろん、彼はそんなことを知らない。当然、怪訝の顔を見せていたが、「わかりました」とロゼルはニッコリ笑う。ヤツらしい。
 そしてオレとマルタは、ヤツらの乗る馬車を見送るのだった。

 その時、オレは自分の右腕を見た。アレンのパンチを掴んだ右腕を――だ。
 いくら、手を抜いていたとしても、アレンはオレと勇者選抜決勝で戦っていた相手。あのときはほぼ互角だったのに、今のオレはヤツのパンチを余裕で止められた。
 そうか、二つのS級ダンジョンを攻略して、オレはずいぶんとレベルが上がったんだな――そう理解する。優越感より、アレンがかわいそうに思えたのはなぜだろう――

「ごめん、ボクのせいで、またグエルが笑われた」

 マルタがまた謝るので、「だから、気にするなって」とオレは笑った。

「だけど、あっちもファーナンド遺跡にいくんだよね? イイの?」
 そう、マルタが不安そうにたずねてくる。

 言いたいことはわかった。アイツらに先越されて神書を奪われたら、オレたちは行き損になってしまう。

「まあ、大丈夫だろう」
 オレはそう応えた。

 もちろん根拠はある。
 前の人生でオレたち『勇者パーティ』はリッチに遭遇し、攻略に失敗した。そのとおりになるとは限らないが、オレには自信があった。

「なぜなら、アイツらにはマルタがいないからな」

 しばらくして、リーム行きの乗合馬車が到着する。リームという町は小さいが、比較的王都から近いので乗る客も多かった。結局十人、満席で馬車は出発した。
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