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第二話 クズ勇者、旅に出る
その六
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結局、フィルが着替えるのを部屋の外で待ったあと、入れ替わりでオレたちは着替える。それから、老婆のいるダイニングに戻った。
フィルはすでに座っていたのだが、初めて見る女の子と話し込んでいる。
「えーと……」
「お孫さんだそうです」
ああ、そういえば、孫がいるって言っていたな。ゴブリンが怖くて部屋に閉じこもっていたらしい。退治されたと聞いて出てきたようだ。
「お兄ちゃんたち! ゴブリンをやっつけてくれてありがとう!」
元気にお礼を言われた。
「どういたしまして」
そう応える。
老婆の孫とは思えないほど、カワイイ女の子だ――いや、そういう趣味はないが――それよりも、あの耳って……
「サリー! 料理を運ぶのを手伝っておくれ」
「はーい!」と返事をして、女の子は炊事場に向かった。
「なあ、ばあさん。あの子の両親は?」
そうたずねると、老婆は少し顔をしかめて――
「あの子の母親は知らないんだ」
「――えっ?」
老婆の話では、冒険者をやっていた彼女の息子が、数年ぶりに帰ってくると、五歳になるあの子を連れてきたらしい。自分の娘だと言って――
「私に、この子を預かってほしいと言っただけで、この子を置いて、息子はまた出て行ったよ。本当に、とんでもない放蕩息子だったね」
――だった?
「息子さんは今、どうしているのですか?」とフィルがたずねる。すると「死んだよ」と素っ気なく老婆が応えた。
「亡くなったんですか?」
「ああ。昨年、息子の仲間だという人がココに来てね。遺品だと、武器と防具、それに小物がいくつか入った袋を置いていったのさ。ったく、最後まで勝手なコだよ」
そう言っているが、表情は悲しそうだった。
「もしかして、サリーちゃんのお母さんは、その――人間では……」
フィルがたずねる。実はオレも気づいた。サリーという女の子の耳は人間のそれではなかったのだ。
「ああ、それも息子にたずねたのだけど、結局、何も話してくれず、おっ死んじまったよ」
老婆の話では、息子は正真正銘の人間。サリーが彼の子供というのが本当であれば、母親は人間ではないということになる。
「グエルさん、どう思います?」
「ああ、間違いなくエルフだね」
サリーという女の子の特徴は、全てエルフと合致する。
エルフが暮らしていた集落は北にあったのだが、魔族の襲撃でそれまでの集落が全て壊滅した。今は、オレの故郷に移り住んだエルフが王国内、唯一の集落だと聞いている。帝国にもいくつか移住地があるらしい。
「アンタたち、エルフを見たことあるのかね?」
老婆がそうたずねる。
まあ、王国内でエルフはなかなか見かけないからな。オレの故郷以外は――
「実はな――」そう言って、オレはイヤリングを外した。
「えっ?」老婆は目を丸くする。
まあ、当然だろう。オレの耳が急に変化したのだから。
「アンタ、その耳――」
「ああ、オレも人間とエルフの子、ハーフエルフなんだ」
このイヤリングには幻影魔法が付与されていて、耳が人間風に見える仕掛けがしてある。
実は、ハーフエルフであるオレも、エルフの特徴を持っていたのだ。
オレは、老婆に息子の名前をたずねた。自分の故郷にエルフ族が暮らしていることを説明して、サリーの母親を知っている者がいないか調べてみると伝える。
「そうかい――すまなね。ウチの息子の名前はジョージだよ」
フィルはすでに座っていたのだが、初めて見る女の子と話し込んでいる。
「えーと……」
「お孫さんだそうです」
ああ、そういえば、孫がいるって言っていたな。ゴブリンが怖くて部屋に閉じこもっていたらしい。退治されたと聞いて出てきたようだ。
「お兄ちゃんたち! ゴブリンをやっつけてくれてありがとう!」
元気にお礼を言われた。
「どういたしまして」
そう応える。
老婆の孫とは思えないほど、カワイイ女の子だ――いや、そういう趣味はないが――それよりも、あの耳って……
「サリー! 料理を運ぶのを手伝っておくれ」
「はーい!」と返事をして、女の子は炊事場に向かった。
「なあ、ばあさん。あの子の両親は?」
そうたずねると、老婆は少し顔をしかめて――
「あの子の母親は知らないんだ」
「――えっ?」
老婆の話では、冒険者をやっていた彼女の息子が、数年ぶりに帰ってくると、五歳になるあの子を連れてきたらしい。自分の娘だと言って――
「私に、この子を預かってほしいと言っただけで、この子を置いて、息子はまた出て行ったよ。本当に、とんでもない放蕩息子だったね」
――だった?
「息子さんは今、どうしているのですか?」とフィルがたずねる。すると「死んだよ」と素っ気なく老婆が応えた。
「亡くなったんですか?」
「ああ。昨年、息子の仲間だという人がココに来てね。遺品だと、武器と防具、それに小物がいくつか入った袋を置いていったのさ。ったく、最後まで勝手なコだよ」
そう言っているが、表情は悲しそうだった。
「もしかして、サリーちゃんのお母さんは、その――人間では……」
フィルがたずねる。実はオレも気づいた。サリーという女の子の耳は人間のそれではなかったのだ。
「ああ、それも息子にたずねたのだけど、結局、何も話してくれず、おっ死んじまったよ」
老婆の話では、息子は正真正銘の人間。サリーが彼の子供というのが本当であれば、母親は人間ではないということになる。
「グエルさん、どう思います?」
「ああ、間違いなくエルフだね」
サリーという女の子の特徴は、全てエルフと合致する。
エルフが暮らしていた集落は北にあったのだが、魔族の襲撃でそれまでの集落が全て壊滅した。今は、オレの故郷に移り住んだエルフが王国内、唯一の集落だと聞いている。帝国にもいくつか移住地があるらしい。
「アンタたち、エルフを見たことあるのかね?」
老婆がそうたずねる。
まあ、王国内でエルフはなかなか見かけないからな。オレの故郷以外は――
「実はな――」そう言って、オレはイヤリングを外した。
「えっ?」老婆は目を丸くする。
まあ、当然だろう。オレの耳が急に変化したのだから。
「アンタ、その耳――」
「ああ、オレも人間とエルフの子、ハーフエルフなんだ」
このイヤリングには幻影魔法が付与されていて、耳が人間風に見える仕掛けがしてある。
実は、ハーフエルフであるオレも、エルフの特徴を持っていたのだ。
オレは、老婆に息子の名前をたずねた。自分の故郷にエルフ族が暮らしていることを説明して、サリーの母親を知っている者がいないか調べてみると伝える。
「そうかい――すまなね。ウチの息子の名前はジョージだよ」
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