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第二話 クズ勇者、旅に出る
その十一
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なんか、今は機嫌がイイみたいだぞ。気持ちが変わらないうちに、いただけるモノはいただこう!
それから、あらためて自己紹介をして、オレたちはアスワンのキャラバンに加わった。
最初の峠を登り切り、中腹まで下ったところでお昼となる。
オレたちは、約束どおり食事を分けてもらうことに。材料を用意して調理するのかと思ったら、あらかじめ調理済みの料理を密封できる容器に入れ、無限収納のカバンに入れて保存してあるのだとか――
「へえ、魔法で温めるだけでおいしくいただけるんですね」
フィルが興味津々に具材をのぞき込んでいる。
「冷めても美味しく食べられるように調理をしているが、やはり温かいほうが美味しいからね。この容器は下に魔石が仕組まれていて、魔力を込めると熱が出る仕組みなんだ」
キャラバンのリーダ、アスワンがそんなふうに説明した。
一口食べる。オイシイ! 町の料理屋でもこんなに美味しい料理はなかなか食べられない。
「ウチの弁当は、全国から集めた食材と調味料で作ってあるからね。そんじょそこらの料理屋ではマネできないさ」とムネを張る。
まあ、自慢したくなるのも当然だろう。これだけ、美味しければ――ん? べんとう?
「ああ。ここだけの話だが、こういった調理法は異世界からやってきたらしいんだ」
えっ? 異世界――?
彼の祖父に異世界人の知り合いがいたそうで、その人物から教えてもらったのだとか――以降、彼の家では秘伝の調理法として伝えられ続けているらしい。
『弁当』は旅に出る前、帝国ですべての調理と容器への詰め込みをして、予定日数に合わせて用意しているとのこと。これにより、出先で料理をする時間が省け、移動時間の短縮になったという。
「それに、この容器もスゴいよ。フタに樹脂が巻き付けてあって、液体でも漏れないようになっているんだ。魔石で加熱する仕組みもおもしろい!」
マルタがとても興奮している。そう言えば、マルタは魔道具フェチだったもんな――
「ハ、ハ、ハ。気に入ったかい? なんなら、売ろうか? 安くしておくよ」
そこはタダじゃないんだな。さすが、商売がウマい。
それにしても、異世界人かよ――
オレのじいちゃんも実は異世界人だったらしい。これはわが家の秘密とされているのだが――意外と異世界人って多いのかもしれないな。
「ところでこのキャラバン、護衛はいないのか? みんな、運び屋ばかりのようだけど」
二十人を超えるほどの大きなキャラバンである。これだけの規模なら冒険者を雇って護衛させているのがふつうなのだが――
「ああ、以前は護衛を雇っていたけど、今はやめた」
やめた? なんで?
「王国の冒険者は運び屋職のことを見下すんでね。ハラが立つから、雇うのをやめたんだよ」
うーん、言われれば――
「実は、さっきなんかずいぶんとイイ馬車に乗っていた冒険者が、『酒を売れ』と言ってきてね。言い方が気に障ったので、売らなかったんだ。そしたら、ウチのクルーを見て、『運び屋のくせにデカいツラすんな!』と言って、いきなり殴ろうとしてきたんだよ。まったく、だから冒険者はキライなんだ」
オレは苦笑いになる。それにしても、いきなり殴ろう――って……
「その冒険者パーティ、剣士二人に女魔導士と聖職者の四人組ではなかったか?」
「ああ、たしかにそうだった。なんだ、知り合いか?」
ああ、やっぱり、アイツらか……
「ま、まあ、ちょっと――ね」
実のところ、前の人生ではオレが同じセリフを言って、アスワンに殴ろうとした気がする。まあ、なんだな。アスワンがオレを嫌っていた理由がわかった。
「あの時は、すまなかった」そう、あやまっておく。
「ん? なんで、グエルさんがあやまるんだ?」
「い、いや、えーと――そう、オレも前は冒険者だったからな。冒険者の代表としてあやまっておこうと――」
うーん。ちょっと、強引だったかな?
すると、アスワンは「ハ、ハ、ハ!」と大声で笑う。
「グエルさんはおもしろいな」そう言われるので、オレはどんな顔をすればイイのか迷ってしまった。
「ですが、護衛がいないのは危なくないですか? 山賊に襲われたりしないのですか?」
フィルがそうたずねる。
そういえばそうだ。いくら、キライだからと冒険者を雇わなくても、賊が襲ってくることに変わりない。
「なあに、商人は商人の、運び屋は運び屋の戦い方があるんだよ」
運び屋の戦い方?
「それって――」
オレがたずねようとした時に、アスワンは「さあて、行こうか」と立ち上がったので、聞きそびれてしまった。
それから、あらためて自己紹介をして、オレたちはアスワンのキャラバンに加わった。
最初の峠を登り切り、中腹まで下ったところでお昼となる。
オレたちは、約束どおり食事を分けてもらうことに。材料を用意して調理するのかと思ったら、あらかじめ調理済みの料理を密封できる容器に入れ、無限収納のカバンに入れて保存してあるのだとか――
「へえ、魔法で温めるだけでおいしくいただけるんですね」
フィルが興味津々に具材をのぞき込んでいる。
「冷めても美味しく食べられるように調理をしているが、やはり温かいほうが美味しいからね。この容器は下に魔石が仕組まれていて、魔力を込めると熱が出る仕組みなんだ」
キャラバンのリーダ、アスワンがそんなふうに説明した。
一口食べる。オイシイ! 町の料理屋でもこんなに美味しい料理はなかなか食べられない。
「ウチの弁当は、全国から集めた食材と調味料で作ってあるからね。そんじょそこらの料理屋ではマネできないさ」とムネを張る。
まあ、自慢したくなるのも当然だろう。これだけ、美味しければ――ん? べんとう?
「ああ。ここだけの話だが、こういった調理法は異世界からやってきたらしいんだ」
えっ? 異世界――?
彼の祖父に異世界人の知り合いがいたそうで、その人物から教えてもらったのだとか――以降、彼の家では秘伝の調理法として伝えられ続けているらしい。
『弁当』は旅に出る前、帝国ですべての調理と容器への詰め込みをして、予定日数に合わせて用意しているとのこと。これにより、出先で料理をする時間が省け、移動時間の短縮になったという。
「それに、この容器もスゴいよ。フタに樹脂が巻き付けてあって、液体でも漏れないようになっているんだ。魔石で加熱する仕組みもおもしろい!」
マルタがとても興奮している。そう言えば、マルタは魔道具フェチだったもんな――
「ハ、ハ、ハ。気に入ったかい? なんなら、売ろうか? 安くしておくよ」
そこはタダじゃないんだな。さすが、商売がウマい。
それにしても、異世界人かよ――
オレのじいちゃんも実は異世界人だったらしい。これはわが家の秘密とされているのだが――意外と異世界人って多いのかもしれないな。
「ところでこのキャラバン、護衛はいないのか? みんな、運び屋ばかりのようだけど」
二十人を超えるほどの大きなキャラバンである。これだけの規模なら冒険者を雇って護衛させているのがふつうなのだが――
「ああ、以前は護衛を雇っていたけど、今はやめた」
やめた? なんで?
「王国の冒険者は運び屋職のことを見下すんでね。ハラが立つから、雇うのをやめたんだよ」
うーん、言われれば――
「実は、さっきなんかずいぶんとイイ馬車に乗っていた冒険者が、『酒を売れ』と言ってきてね。言い方が気に障ったので、売らなかったんだ。そしたら、ウチのクルーを見て、『運び屋のくせにデカいツラすんな!』と言って、いきなり殴ろうとしてきたんだよ。まったく、だから冒険者はキライなんだ」
オレは苦笑いになる。それにしても、いきなり殴ろう――って……
「その冒険者パーティ、剣士二人に女魔導士と聖職者の四人組ではなかったか?」
「ああ、たしかにそうだった。なんだ、知り合いか?」
ああ、やっぱり、アイツらか……
「ま、まあ、ちょっと――ね」
実のところ、前の人生ではオレが同じセリフを言って、アスワンに殴ろうとした気がする。まあ、なんだな。アスワンがオレを嫌っていた理由がわかった。
「あの時は、すまなかった」そう、あやまっておく。
「ん? なんで、グエルさんがあやまるんだ?」
「い、いや、えーと――そう、オレも前は冒険者だったからな。冒険者の代表としてあやまっておこうと――」
うーん。ちょっと、強引だったかな?
すると、アスワンは「ハ、ハ、ハ!」と大声で笑う。
「グエルさんはおもしろいな」そう言われるので、オレはどんな顔をすればイイのか迷ってしまった。
「ですが、護衛がいないのは危なくないですか? 山賊に襲われたりしないのですか?」
フィルがそうたずねる。
そういえばそうだ。いくら、キライだからと冒険者を雇わなくても、賊が襲ってくることに変わりない。
「なあに、商人は商人の、運び屋は運び屋の戦い方があるんだよ」
運び屋の戦い方?
「それって――」
オレがたずねようとした時に、アスワンは「さあて、行こうか」と立ち上がったので、聞きそびれてしまった。
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