追放されたクズ勇者の死に戻り ~「オマエはクビだ」からやり直したオレは、破滅フラグを折りまくる~

テツみン

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第二話 クズ勇者、旅に出る

その十三

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 しかし、想定外なことはいつでも起こる。
 今回の場合、相手の人数だ。五十人ほどいる。こんな規模の山賊なんて滅多にいない。最初は優勢だったのだが、人数で少しずつ押されてきた。

「よし、ココからはオレの出番だな」

 こっちに勢いがある状況では邪魔してはいけないと黙って見ていたが、押されてきたところでオレは剣を手にした。

 まあ、オレも勇者と呼ばれたことのある男。こんな賊に後れを取ることはない。バタバタと斬っていく。
 すると、形勢が一気に逆転し、賊側は一斉に逃げ出した。

 よーし! これで食事代くらいの仕事はできただろう――と、キャラバンの人を見たら、なぜか呆然としていた。
 ん? なんだ? このリアクションって?

 それで、「はっ!」と気づいてしまう。

 実は、押されているように見せかけた作戦だったのかぁ?
『なんだ、コイツ? 勝手に出しゃばってきてドヤ顔してんだけど? 美味しいところだけ持っていきやがって、邪魔すんじゃねえよ!』と思われている?

 うわっ! はずかしい!

 取り逃がした賊は再び人を襲い、新たな犠牲者が出てしまう。だから、賊は生死を問わず、全員捕まえなければならない。そこまで彼らは考えての行動だったのかぁ!?

「ご、ごめんなさい! 責任持って、全員始末してきます!」

 慌ててその場を離れると、オレは逃げ出す相手を次々と仕留める。

 そして、最後のひとりとなった。すると、相手は命乞いをし始めるではないか!

「ま、待て! カネは置いていくから見逃してくれ!」

 なんだ? 往生際の悪いヤツだなあ――ん? 待てよ――コイツ、見覚えがある。どこだっけか?
 そう考え、「あっ!」と声が出る。

 それは前の人生のこと。
 マルタに魔力とスキルを奪われ国外追放となり、帝国領内で放浪していたオレは、賊に捕まり奴隷商人に売られた。その時の賊がコイツだった。
 フ、フ、フ――なるほどな。こんなところで会えるとは思わなかったよ。

「見逃せ? はっ! 何を言っている? オマエだけは見逃すわけがないだろ? 恨みがあるからな!」
「恨み? な、何を言っている? キサマなんか知らないぞ」

 オマエは知らなくても、オレは知っているんだよ。
 この悪党め! 容赦なく、相手の顔を思いっきり殴った。よくも『あの時』はチカラを失ったオレを奴隷商人に売ってくれたな! オレの本気パンチを味わえ!

 しかし、少しばっかり気合を入れ過ぎてしまったようだ。男は一発で泡を吹いて気絶してしまう。くっ、もっといたぶってやるつもりだったのだが――残念。

 こうして、息のある者は縄で縛り、連れて行くことにした。賊に襲われたことを証明するためだ。四、五人も連れて行けば充分なのだが、生きている十二人全員を連れていくという。

「少し間引いてもイイんじゃないか?」

 アスワンに持ちかけると、「捕虜は殺してはいけないことになっている」そう返答があった。
 まあ、それは知っているが、律義りちぎに守っている人物を初めて見た。うん、これがジェントルマンというヤツだな――
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