追放されたクズ勇者の死に戻り ~「オマエはクビだ」からやり直したオレは、破滅フラグを折りまくる~

テツみン

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第二話 クズ勇者、旅に出る

その十四

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 山賊による襲撃に勝利したオレたちとアスワンのキャラバン。こちらの被害は、五人が腕を折るなどのケガをしたのと、ウマが驚いて、馬車を一台壊してしまった物損くらい。五十人ほどを相手にした被害としては奇跡的な数字だ。

「いやあ、グエルさんのおかげで助かったよ」とアスワンに言われた。

 これって、本音は『余裕でなんとかなったのに出しゃばりやがって。まあ、一応、ほめておくか』というヤツか?

「いや、申し訳ありません。そっちの作戦に気づけなくて――」と謝っておく。

「んっ? 作戦?」とアスワンはしらばっくれて、オレのメンツを保ってくれたみたいだ。

 ケガ人はフィルが魔法であらかた回復する。まあ、壊れた馬車はどうにもならなかったが――幸い、運んでいた荷物はたいして多くなかったので、他の馬車に荷物を乗せ換えることはできたようだ。

 やっと準備が終わり、再出発する。結局、キャンプ地の峠頂上には予定より二時間ほど遅れて到着した。その場所には、すでに数組の旅人がキャンプを張っていたのだが、大きな広場のような場所なので、充分なスペースが確保できた。
 前の人生でも同じ場所を通過したはずなのだが、記憶がないのはなぜだろう。

「あの冒険者はやっぱりいないか――そうなると思ったよ。途中で立ち往生するに決まっているだろうに」

 アスワンがそんなふうにつぶやいているのが聞こえた。
 あの冒険者――? あっ、そうか――彼はアレンのことを言っているのだと、すぐに気づいた。

 きっと、アイツら、「こんなところで野宿できるか! 夜中も馬車を走らせろ!」とわがままを言ったのだろう――なぜ、わかるのかって? 前の人生で、オレが同じセリフを言ったからさ――今さらながら、なんて危ないことをしたんだと後悔する。
 あの時の御者とお馬さん、ゴメンナサイ。

 落ち着く場所を確保すると、キャラバンのメンバーが調理器具や具材をリュックから取り出す。昼は弁当だったが、夜は調理も行うようだ。
 いつの間にか真ん中に焚火が用意され、鍋を吊るすやぐらも立っている。相変わらず手際がイイ。すぐに何とも言えない匂いがしてきた。これって――

「もしかして、カレーなのか?」オレがたずねると、アスワンは「ほう、知っているのかい?」と驚いていた。
 いや、オレのほうが驚いた。これって、オレの故郷ではお祭りとかで人をもてなす時に出てくる料理だ。南国の貴重なスパイスがふんだんに使われているはずなのだが――

「ウチは南の国とも取引をしていて、カレーに使うスパイスを扱っているんだ」

 なんでも、帝都ではカレーライスが空前絶後のブームになっており、そのおかげでアスワンの店もずいぶん儲かったらしい。それにしても、久しぶりのカレーはウマい!

「本当に! とてもおいしいです!」

 フィルがビックリしている。ふだんから宮廷料理を食している彼女でも、カレーのおいしさに感激しているようだ。

「このライスという食べ物もおいしいです!」

 そうだろ、そうだろ――って、まあ、オレが自慢するところではないが――ちなみに、ライスもアスワンの店で取り扱っているのだとか。
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